尿漏れは何も高齢に伴って起こるものではなく、若者にも起こりえるものです。また、近年では尿漏れを呈する若者の数が増えてきており、ひどい尿漏れに悩まされる人も少なくありません。

 

特に女性の場合は恥ずかしさもあって深刻になりがち。尿漏れはさまざまな原因によって起こるものですので、尿れもに悩まされている方は、その原因と改善法をしっかり学んでおきましょう。

 

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尿失禁にはいくつか種類がある

 

走ったり、鼻をかんだり、せきやくしゃみをするなど、おなかに力が入ると、尿がもれることから、質問者は腹圧性尿失禁の可能性が高いと思われます。

 

①腹圧性尿失禁

正常な状態では、尿道と膀胱の角度は90度くらいであり、腹圧がかかって膀胱が圧迫されても、同時に尿道を締めるようにも働くので、尿がもれないようになっています。

しかし、妊娠、出産、肥満、加齢などにより、骨盤底筋がゆるむと、尿道と膀胱の角度が大きくなり、尿道や膀胱が下がってきます。腹圧が加わって、膀胱が圧迫されると、正常時とは違って、同時に尿道を締めるようにはうまく働かなくなるために、尿がもれてしまうのです。これが腹圧性尿失禁です。そのほかに、尿失禁には、つぎのような種類があります。

 

②切迫性尿失禁

尿意を感じると尿をがまんすることができずに、すぐでてしまい、トイレに間に合わないというタイプです。これは、膀胱容量がふつうより小さく、その人の意思に反して膀胱がかってに収縮してしまうものです。女性の尿失禁のうちでは、腹圧性尿失禁についで多く、ふつう、頻尿を伴います。

 

③混合性尿失禁

腹圧性尿失禁と切迫性腺失禁の両方の症状があります。

 

④溢流性(いつりゅうせい)尿失禁

子宮や大腸の手術の後などにおこることがあります。膀胱の収縮が悪くなるため、尿がでにくく、膀胱内に残った尿があふれでるようにもれるというものです。

 

 

尿失禁をもとから治す骨盤底筋体操

 

腹圧性尿失禁の診断は、まず患者の症状をよく聞いた上で、パッドテスト(実際にどのくらい尿がもれるかをパッドをつけて測ります)を行ったり、レントゲンを撮り、尿道と膀胱の角度を調べたりします。場合によっては、切迫性尿失禁などとの区別のために、膀胱の機能検査が必要なこともあります。

 

腹圧性尿失禁は多産、難産、肥満、便秘、年齢とともに筋肉が弱くなるために、恥骨と尾骨の間にハンモックのように広がっている骨盤底筋が緩んでしまうためにおこります。

 

したがって、腹圧性尿失禁をもとから治すためには、尿道の周りにある尿道括約筋や骨盤底筋を体操で強化することです。

 

骨盤底筋は尿道と膣を締める筋と、肛門を締める筋に分かれ、下から見ると、”8″の字になっています。肛門を締めると、尿道、膣の筋肉も鍛えられます。

 

尿失禁から解放されて、心おきなく何事もできるときが一日も早くくるように、毎日骨盤底筋体操を継続して、洗顔や歯磨きのように一日でも欠かすと落ち着かなくなるぐらいになればもう安心です。

 

十分に改善が期待できます。効果がでてきたからといって中止してはいけません。その後のこともあるので、一生つづけるつもりでいてください。残念ながら、現在のところ、副作用もなく十分な効果を期待できる薬はほとんどありません。

 

 

尿漏れにおける効果的な骨盤底筋体操

 

骨盤底筋群は、尿道・膣と肛門を締める筋に分かれ、下から見ると8の字になっており、骨盤底筋体操は、これらの筋肉を鍛える体操。いすにすわって、テレビをみているときやパスに乗っているときなど、生活のなかで行うように工夫して、続けましょう。

 

1.からだ全体の力を抜いてリラックスする

 

2.そのまま背筋を伸ばし、足を肩幅に開く

 

3.肛門を締める。次に肛門を締めたまま、体の中に引っ張り込む感じ。そのままの状態を5〜10秒間持続する。

 

※体操を行うときは、おなかや大腿・お尻の筋肉をリラックスさせることが大切。

 

 

●薬による治療や手術を行うことも

 

重症の腹圧性尿失禁や、骨盤底筋体操だけでは満足の行く結果が得られなかった場合には、手術が必要になります。数年前までは膀胱頸部吊り上げ術といって、膀胱の出口の左右にナイロン糸のループをつくり、吊り上げ、固定する方法が行われていましたが、時々再発が見らます。

 

最近では手術用の合成繊維糸の素材でできたテープを用いて尿道を持ち上げる手術が主流になっています。手術法が簡単で、手術時間も30分から1時間程度で、傷跡もほとんど残りません。

 

一時期は、テフロンを尿道の周囲に注入するのが話題になりましたが、いろいろ手を尽くしても、尿もれが止まらない場合に試してみる方法で、最後の手段と考えた方が良さそうです。

 

テフロンを注入しすぎると、脈がでにくくなってしまい、ちょうどよいところにコントロールするのは難しいのが現状です。

 

切迫性尿失禁の場合には手術による改善はのぞめませんが、抗コリン剤といって膀胱の収縮を支配する副交感神経の働きを抑え、膀胱の無抑制収縮を減らし、膀胱容量をふやす薬が有効です。

 

このように、尿失禁のタイプによって治療法が違うので、前述のように膀胱、尿道の状態や働きなどについて十分な検査を受け、尿失禁のタイプを見極めてもらうことが重要です。

 

腹圧性尿失禁の予防には、転ばぬ先の杖として尿失禁がなくとも、骨盤底筋体操をしたり、肥満を防ぐためのダイエット、適度の運動などが大切です。また普段から、なるべく階段を使ったり、歩く時間を多くとるように工夫してみてください。