人間は男も女も、いつの世も、老若を間わず、それぞれの年代にそれぞれの愛や悲しみ、喜びや悲しみにもまれながら生きています。

 

「女に生まれて良かった」と微笑むときもあれば、「女になんか生まれなけれぱよかったのに」と思うときもあるでしよう。しかし、女性は女性なのです。男性とは違った機能を備えた肉体を持っているのです。

 

 

ホルモンの影響が強く反映される

 

女性のからだは、女性ホルモン分泌の影響を受けながら絶えず変化しています。そして、女性ホルモン分泌の変化や喪失は体調や精神面に微妙な影響を及ぽします。

 

女性特有のライフサイクルは、ホルモンの働きの変化によって、五つのステージに分けられます。少女期、思春期、成熟期、更年期、老年期の五つです。

 

初潮から始まって、周期的に月経が来るようになり、やがて結婚、妊娠を経験、子育てを経て閉経を迎える。そして年老いて余生を送ることになります。女性の平均寿命が80才を超えた時代では、とくに老年期の延長がが重要になってきています。

 

 

中国で生まれた漢方医学

 

古代中国で生まれ、経験の積み重ねにより体系化され、日本に伝来し独自の発展をとげ現代まで受け継がれてきた伝統医学の一つが漢方医学で、約500年間日本の医療を支えてきました。江戸時代末期に西洋医学「蘭学」が伝えられ、これと区別するため「漢方」と呼ばれるようになりました。

 

漢方薬とは、この漢方医学に使用される薬方(処方)のことで、天然物である生薬(薬草の根や茎、葉などの有用成分を乾燥させたものや動物由来のもの、鉱物など)を原則として二種類以上組み合わせた薬です。

 

現代では、西洋医学と東洋医学の融和を目指して漢方医学が見直されつつあります。漢方薬も西洋薬と同様に科学的な解明がなされつつあり、西洋医学では十分に対応できない部分を埋めることや西洋医学との併用により治療効果を高めます。

 

特に昭和51年に医療用漢方エキス製剤の保険適用により、産婦人科を中心に多くの医療機関でも広く治療薬として使用されるようになっています。

 

 

東洋医学と西洋医学の違い

 

漢方(東洋)医学と西洋医学では治療の仕組みが違います。西洋医学では患者さんに対してその症状や検査の結果から原因を見つけ、病名をつけて、それに基づいて治療しますので、同じ病名なら誰にも同じような薬や治療法が用いられることになります。

 

これに対し、漢方医学では患者さんの症状のほか、体質、病気がどんなふうに現われているかなどを総合的に判断して、どういう薬が効く患者さんであるかという診断がなされます。

 

これを「証」と呼び、この「証」が基本になって、漢方薬が選ばれます。これを「随症治療」といいます。ですから、同じ病気でも各々の患者さんによって用いられる薬が異なることもありますし、「症」の診断が合えば西洋医学での病名が全く違う患者さんに同じ漢方薬をい使うこともあります。

 

「証」を診断する代表的なものに「虚実(表裏、寒熱)、陰陽、気、血、水などの考え方があります。虚実例にとってみますと、その人の体質や体力、病気に対する抵抗力などで判断します。実証とはガッチリして丈夫そうなのに対して、虚証タイプは痩せていて体力のなさそうな人ということになります。

 

陰陽は病状の重症度を体力とのバランスなどから総合的に診る指標で、症状の現われ方、顔色、熱の出方(どのような経緯で、どんな状態か)、発汗状態などを陰と陽のイメージで見分けます。気、血、水は生体の恒常性を維持する三要素と考えられています。

 

「気」とは目に見えない精神的な部分やエネルギーのようなもの、「血」とは血液そのものと機能、「水」とは血液以外の体液とその機能全般と考えられており三者が密接に連動して調和を保ち、健康を維持していると考えられています。そしてそれぞれの流れの障害(うっ滞、過不足など)により病気になるとしています。

 

 

女性のどんな病気にどんな漢方薬がよいか

 

最も一般的に女性に用いられる漢方薬としては、当帰芍薬散、桂枝茯苓丸、加味逍遥散がありますが、その他にも沢山の漢方薬が産婦人科領域で使われております。

 

少女期

帯下、湿疹、神経性胃炎

 

思春期における

月経不順、月経困難症、月経異常、月経随伴症状、膀胱炎、にきび

 

成熟期

不妊症、卵巣機能不全、散発性無排卵症、排卵障害、妊娠中のつわり、妊娠中の風邪、切迫流早産、妊娠中毒症、痔核、便秘、産後回復不全、乳腺炎、膀胱炎、月経前緊張症、自律神経失調症、冷え性、子宮筋腫、子宮内膜症

 

更年期における

更年期不定愁訴症候群、血の道症、肥満、のぼせ、更年期神経症、高血圧

 

老年期

老人性萎縮性膣炎、骨粗鬆症、皮膚掻痒症、腰痛症、性生活、頻尿、排尿障害、尿失禁、膀胱脱、子宮脱

 

など様々な症状、疾患に色々な漢方薬が使われております。

 

漢方では、同じ症状を現わしていても、患者さん個人の「症」により使われる漢方薬が決められます。つまり、自分には効果のあつた漢方薬が、同じ症状のようにみえる他の人に効果があるとは限りません。かえって副作用がでることもあります。

 

また、虚症タイプの人に実症タイプの漢方薬を飲ませると副作用がでることがあります。このように「症」に合わない強い薬を使ったり、大量に使い過ぎると、色々な症状が起きてしまいます。

 

家族(他の人)が自分と同じ病気と思っても自分の薬を飲ませるのではなく、主治医(かかりつけの医師)、または漢方薬にに詳しい医師に相談して、その人に合った適切な漢方薬を服用するようにしてください。

 

これとは別に、漢方薬の利き目が現われ始めるときに「暝眩(めんげん)」といって一時的に症状が悪化することがあります。これはこれまでの固定されていた症状が治る過程におこるもので、薬が効いてくる兆候ですが、一般の人には副作用との見極めがつきにくいので、普段と違う症状が現れたら、必ず主治医(かかりつけの医師)の診察を受けましょう。