女性のがんで近年増加傾向にあるのが、乳がん。乳がんの増加には、高脂肪・高たんぱくの欧米型食生活が関係していると考えられています。

 

また、子宮がん、卵巣がんなど、女性特有のこれらのがんは、患者の心の問題にも大きく影響する、重大なものです。定期検診や自己チェックにより早期発見、早期治療に努めましょう。

 

 

「乳がん」危険因子は女性ホルモンと肥満

 

乳がんの危険因子には女性ホルモンと肥満があげられています。出産経験のない人や回数の少ない人、高齢出産者に乳がんが多いのは、それだけ女性ホルモンの分泌期間が長いため。

 

最近は閉経後の乳がんも増えていますが、これは肥満の女性に多く、脂肪細胞が女性ホルモンの合成を促し、閉経後も女性ホルモンの分泌量が減らないためと考えられます。

 

また、乳がんにかかりやすい体質が遺伝する点も見逃せません。

 

好発年齢は40〜50歳代。乳がんは、乳頭から放射状に広がる乳腺に発生します。どちらか片方の乳房にできるのが普通で、乳房の外側上方にできるケースがもっとも多くみられます。

 

 

「乳がん」痛みのないしこりが危険信号

 

関連ページ:乳がんは自己検診が可能!気になる人は今すぐチェックを!

 

がんの中でもっとも自己発見しやすいのが乳がん。ほとんどすべての乳がんにしこりがみられるため、気をつけてチェックしていれば早期に発見することができます。

 

乳がんのしこりはかたくて、境界がはっきりしていない場合が多く、かゆみもなく、押しても痛くありません。がんの種類によっては、進行すると皮膚のひきつれや乳頭からの異常分泌がみられます。

 

さらに進むと、乳房の表面が崩れ、ただれ症状を起こします。

 

治療は手術を基本に、放射線や抗がん剤を組み合わせて行います。早期ならがんの部分だけを切除し、できるかぎり乳房を残す乳房温存術で根治が可能です。

 

乳房を切除したあとは、自分のからだの一部または人工物を移植して乳房を再建することもできます。

 

また、早期発見のためにも、年に一度の集団検診と並行して30歳以上の人は自己チェックを習慣づけるようにしましょう。

 

月経後4〜5日の間、閉経後の人は一定の日を決めて毎月欠かさず行います。

 

やり方は簡単。まず鏡の前で乳房の形や皮膚の変化を調べ、両手を上げてひきつれなどがないかどうかをみる。

 

また仰向けになって乳房にまんべんなく触れ、しこりがないかを確かめます。乳頭からの分泌物やわきの下もよく調べましょう。

 

 

「子宮がん」発生部位によって分類される

 

子宮は西洋梨を逆さまにしたような形をしていて、上3分の2を体部、下3分の1の細くなった部分を頸部といいます。

 

子宮がんは発生部位によって子宮頸がんと子宮体がんに分類されます。かつては子宮頸がんがほとんどでしたが、最近では子宮体がんが増えています。

 

どちらもホルモンに関係があるといわれていますが、子宮頸がんは出産・性交渉の回数や不特定多数の人との性交渉をもつ女性に多く、子宮体がんは逆に、出産経験がなかったり不妊状態が長かった女性、肥満・高血圧・糖尿病体質の人に多いとされています。

 

この2つのがんは診断法も治療法も異なります。

 

子宮頸がんは40〜60歳代、子宮体がんは50歳以降に多いものですが、20歳代から増え始め、成人女性なら誰でも発生する可能性があります。

 

 

「子宮がん」と月経・おりものとの関係

 

子宮頸がんも子宮体がんも、初期にはこれといった症状はありません。しかし、子宮の入り口部分に発生する子宮頸がんのほうが、自覚症状が現れやすいといわれています。

 

初期には、まれにおりものや、性交時の痛み、出血などがあります。がんが骨盤内に広がってくるとおりものや出血が多くなります。

 

進行がんになると、腰・下腹部・下肢などに痛みがでたり、おりものに悪臭が伴うようになります。

 

子宮体がんは、最初は不正出血や月経過多として現れることが多く、おりものが増える場合もあります。

 

がんの進行につれて、おりものは水様性、膿性へと変化していき、量も増え、悪臭が出てきます。発熱、寒気、下腹部痛があらわれるようになったら、危険信号です。

 

ごく初期の子宮頸がんで妊娠を望む場合は、部分的な切除で子宮を温存することが可能。

 

また早期なら放射線療法やレーザー療法も有効なので、患者の希望にそって選択されることもあります。

 

しかし、ある程度がんが広がっていれば、子宮を全部とるのが基本です。骨盤内リンパ節や両側卵巣までとってしまうことも少なくありません。

 

一方、子宮体がんは、進行度の見極めが困難なため、子宮摘出手術が主体となっています。補助療法としては化学療法やホルモン療法が用いられます。

 

 

「卵巣がん」初期症状がほとんどない

 

卵巣がんは、女性のがんのうちもっとも死亡率が高いものですが、これは早期に注意を喚起するような兆候がほとんどなく、発見が遅れるためです。

 

患者の70%は、診断された時点ですでにがんがかなり進行しています。

 

卵巣に起こるがんは、胃がんや子宮体がんから転移し発生するなど転移性の場合もありますが、原発性のものは、40歳代以後に多く発生。原因は不明ですが、経産婦より未産婦に多いといわれています。

 

 

「卵巣がん」下腹部に異変がある場合

 

初期は病巣が小さく無症状ですが、がんが急速に発育することも多く、この場合は腹部が短期間に大きく膨隆してきて気づきます。

 

腹部や胸部に水がたまって発見されることもあります。がんの進行によっては茎捻転を起こし、下腹部の激痛を生じ、それで受診して発見されることもあります。

 

がんが進行すると卵巣の被膜を破って腹腔内にがん細胞をまき散らします。その結果がん性腹膜炎を起こし、腹部や腰部の疼痛が激しくなります。

 

治療法は、がんが発見されたときの進行程度や年齢、妊娠希望の有無などによって異なります。

 

原則的には子宮全摘、卵管や卵巣など両側附属器切除、大網切除などの手術が行われ、リンパ節廓清術が併せ行われることもあります。

 

抗がん剤など薬剤療法、放射線療法も積極的に行われ、いったん開腹手術をして化学療法、放射線療法を行った後に、ふたたび開腹して腫瘍摘出をする方法も実施されています。