かなり遠慮がちに吸っているのに、これみよがしに手で煙を払い除けたり、わざと咳き込んだり……タバコ嫌いな人が隣にくると、本当に頭にきちゃう、と力んでみても、肩身の狭い思いは今始まったわけじゃない。

 

迷惑をかけていることは百も承知。だから絶対に禁煙してやるゾ〜と心に誓うけれど、1時間くらいであえなく挫折……。

 

そんなあなたへの提案。

 

今年は声高に禁煙宣言をしてください。身近に手に入るようになった禁煙補助剤(ニコチンガム製剤)があなたの決意をサポート。

 

以前よりは苦しまず、無理のない禁煙が可能。そしてついにタバコとサヨナラできる日も夢ではありません。

 

 

心理的依存と身体的依存

 

「僕は禁煙の名人でね〜」といいながら、タバコをスパスパおいしそうに吸っているある著名な心理学者の先生。もう数えられないほど何回も禁煙したといいます。

 

最長記録が1カ月。最短は「誓った舌の根が乾く間もなく」なのだそうです。

 

「でもね、もういい加減で本当に禁煙しなければ。タバコを吸うたびに、何かひどく悪いことをしているみたいな意識になって、卑屈になっちゃう。肉体的にはどうあれ、とにかく、心理的にマイナス要因であることは間違いない」といいます。

 

禁煙したいと思っているのにやめられないのは、何もこの心理学者ばかりではありません。

 

喫煙と健康の実態調査では、喫煙者の約64%は「やめたい」「本数を減らしたい」と思っていることが明らかになっています。

 

「喫煙によって肺がんにかかりやすくなる」ことを知っている人は約85%(2013年厚生労働省調査「喫煙と健康問題に関する実態調査」)にものぼっています。

 

それでもやめられないタバコ。いったいタバコの何がそんなに喫煙者を縛りつけているのでしょうか。

 

せっかく禁煙への固い決意をしても、「イライラして集中力が低下する」「吸いたくてたまらなくなる」など、いわゆるニコチン中毒による禁断症状にがまんできず、ついつい吸ってしまう……という経験をもっているならば、それはもう立派なニコチン依存症。

 

実は、禁煙できない理由は、2つの依存症に縛られているからです。ひとつは「身体的依存症」といわれ、タバコをやめて体内のニコチン濃度が低下すると、離脱症状がおこり、やめたくてもやめられないもの。

 

もうひとつは「心理的依存症」といわれるもので、喫煙が生活習慣になっており、気分転換やストレス解消の道具になっているものです。

 

目覚めの一服、仕事の区切りに、会議中に、お酒を飲みながら、食後に、車の運転中、コーヒーを飲みながら……というように、喫煙が生活のなかにとけ込んでいると、固く決意しても無意識にタバコに手が伸び、気づいたときにはもう吸っていた、なんてことになりかねません。

 

 

禁煙補助剤を助けに自分の意思で禁煙

 

心理的依存を断ち切るためには、手の届く場所にタバコを置かない、タバコを吸いたくなったら水を飲む・歯を磨く、マスクをする、いつも何かを手に持っているなどによって阻止することはある程度可能。

 

喫煙エリアには近づかない、お酒を飲むとタバコが吸いたくなり、自制心も弱くなるのでできるだけ飲みに行かない、などにより、喫煙欲求が起こらないようにする、なども大事です。

 

ところが、そうした努力とは裏腹に、体はニコチンを欲しがります。

 

ニコチンには、脳の中枢神経系や抹消神経系に働いて快感をもたらす作用があるため、それが突然なくなってしまうと、落ち着きがなくなったり、心拍数の減少、不安、集中力の低下などの離脱症状がおこります。

 

体調が悪くなったり、気分が重く冴えないなどの状態が続くと、目にみえない将来の健康よりも、今現在の快適さを選ぶのは当然。

 

そうなるとせっかくの心理的依存を断ち切る努力は水の泡になってしまいます。これまでの禁煙がほとんど失敗に終わったのはこのため。

 

そこで、体内のニコチンを急激に減らさずに、段階的に減らして慣らしていく方法が「ニコチン置換療法」です。

 

この療法の基本は、ニコチンを喫煙以外の摂取法に置き換え、離脱症状を軽減しながら、置換したニコチン量を徐々に減らし、ついにはゼロにしてしまうことにあります。

 

そのために必要なのが、喫煙以外のニコチン摂取アイテム。それがニコチンガム製剤やニコチンパッチというハップ剤。

 

ニコチンパッチは医師の処方が必要な医薬品なので使用にあたっては医師の指導に従います。

 

ただし、ニコチンガムにはタバコを嫌いにさせる作用はありませんから、これだけでタバコがやめられる「魔法の薬」などと安易に思わないでください。

 

あくまでも禁煙しようという意志が大事。ニコチン置換療法はそれを助けるものでしかありません。

 

そのため、禁煙を達成させるためには、禁煙をしたいという十分な動機が大前提。その上で適正に行うことにより、スムーズに禁煙が達成できます。

 

 

タバコの恐ろしさ

 

■sタバコの煙のタールの害

タバコの煙のなかには、ダイオキシンなど4000種類以上もの化学物質が含まれ、うち有害物質が200種類以上にのぼるといわれています。とくに煙のなかのタールには、40種類以上の発がん性物質が確認されています。

 

そのため、喫煙者のがん発生率は高く、とくに肺がんはがん死亡のトップに。肺がんで死ぬ危険は、喫煙本数に比例し、非喫煙者の肺がん死亡率を1とすると4.5倍。

 

もっと怖いのは咽頭がん。非喫煙者を1とすると32.5倍にもなります。食道がんでは2.2倍、膀胱がんでは1.6倍、膵臓がんでは1.6 倍……といずれのがんにおいても喫煙はその死亡率を高めています。

 

■ニコチンや一酸化炭素の害

タバコの煙のなかのニコチンや一酸化炭素は血管を収縮させ、血圧を急上昇させます。1本の喫煙で最大血圧は10〜20mmHg上昇。

 

とくに目覚めの一服はほかのときよりも上昇が大きく、30〜40mmHgも上昇します。

 

また、これらの物質は、血液中の総コレステロールやLDLを増やし、動脈硬化の重大なリスクファクターになるともいわれています。

 

■受動喫煙の害

毎日、20本の喫煙者である夫と生活する妻は、夫が非喫煙者に対して冠動脈疾患の危険度は3倍、肺がんの危険度は2倍になります。

 

また、3歳児の喘息様気管支炎の罹患率は親が非喫煙者の場合17%なのに対し、20本以上の喫煙者では34%にのぼっています。