運動は、冠状動脈の血流をよくし、ふだん使われない動脈(細動脈)にも血液を循環させます。細動脈が十分に稼働していれば、たとえ冠動脈の一部が詰まっても、細動脈を通って血液が循環するため、心筋梗塞を軽減することができます。

 

ただし、どんな運動でも一時的に血圧を高めるので、急に激しい運動を始めるのは危険。かえって悪い結果になりかねません。運動慣れしていない人は、軽い運動から始めましょう。

 

 

心身と共にスリムにする運動の効果

 

適度な運動は、肺の機能や心臓の働きを高め、血液の循環をよくします。身体活動の多いグループは、少ないグループに比べて高血圧の発症は35〜50%も少ないことが明らか。また、最大酸素摂取量の50%の強度で行う運動を、週4〜5日続けると、最大、最小血圧ともに数mmHg低下することが証明されています。

 

そればかりではありません。適度な運動は中性脂肪値を低下させ、HDLコレステロールを増加させる効果があります。動脈硬化を予防する働きもあり、1日150〜300キロカロリーを消費する運動を続けると、虚血性心疾患のリスクが減ることも明らかになっています。

 

運動のメリットは、さらに肥満解消やストレス解消にも一役かっています。運動することによって脂肪が燃焼し、消費エネルギーが増えるために減量の効果も期待できます。

 

ひと口に肥満といっても、最近は脂肪が蓄積している部位に注目されています。腹部に脂肪が蓄積した中心型肥満、いわゆる中年太りでは、お尻や大腿部などに脂肪が蓄積したタイプよりも心臓病が多発するといわれています。

 

ウエストサイズをヒップサイズ(cm)で割ってみましょう。0.9を超えたら中心型肥満。正確には、CTスキャンで臍部の高さで断層写真を撮影し、腹壁の脂肪と内臓の脂肪の面積を計測して内臓脂肪型肥満を判定します。また、体重1キロ増えるごとに血圧は1〜1.5mmHg増加するといわれ、減量は減塩よりも降圧効果が大きいとさえいわれています。

 

 

血管強化運動はウォーキングが一番

 

運動には酸素を取り入れながら行う有酸素運動と、息を止めて行う無酸素運動がありますが、心臓病を予防し、動脈硬化を改善するための運動は、脂肪がエネルギー源になる有酸素運動がいちばん。

 

ウォーキングや水中歩行、軽いジョギング、サイクリングがこれに当たります。なかでも、もっとも安全で、長続きでき、効果的なのがウォーキングです。それもだらだら歩くのではなく、早歩きしましょう。

 

■日常生活のなかに組み込んで

今まで車を使っている人はやめる、駅まで自転車を使っていたら徒歩に、ひとつ先の駅で乗降、買い物は隣町まで、などで生活のなかに運動を組み込みます。

 

■最低、1日1回30〜40分歩こう

有酸素運動のときにエネルギーとして消費されるのは体のなかに蓄積された脂肪です。でも、この脂肪が燃焼し始めるには、約20分かかります。そのため、20分続けなければ、脂肪の燃焼につながりません。とくに肥満解消を目指して歩くのであれば、1回に30〜40分が必要。

 

■運動強度は調整して

時速4キロ程度は、もっとも楽な歩き方。運動効果はあまりありません。ところが、6キロ以上になると、歩いていることが逆に苦痛になり、小走りのほうが楽になってきます。したがってウォーキングの効果をもっとも高めるのは時速5キロ。けっこう早歩きです。そのときの心臓の速さ、心拍数を測れば、120くらいになっているはず。そのくらいまで上げないと効果がないので、心拍数を目安にして速さを決めてもよいでしょう。

ウォーキングのよさは、その日の体調によって運動強度が変えられることです。調子のよい日なら、もっと速く歩いても平気かもしれませんし、体調が悪い日には、きついと感じるかもしれません。自分の体の声を聞きながら、歩数にとらわれずに、時間を目安に歩くようにしましょう。

 

 

自分に適したウォーキング時間の算出法

 

1. まず、あなたにとって必要なカロリー量を計算します。

適正カロリー量(kcal)={身長(m)×身長(m)×22}×生活強度(軽度25 中程度30 重労働35)

 

2. 次にあなたにとって最低必要な運動量を計算します。

適正運動量(kcal)=適正カロリー(kcal)×0.2

※適正カロリー1600kcalの人が20%を消費する運動を行う場合には、1600×0.2(20%の場合)=320kcalとなり、320kcalを消費する運動が適正です。

 

3. 適正運動量のすべてをウォーキングで消費する時間を計算します。

あなたのウォーキングの目安(分)=あなたの適正運動量(kcal)÷あなたの現体重÷「速歩」の補正係数0.0623(または0.1083)

320kcalを全部ウォーキングで消費するためには、あなたの現体重が60キロの場合、320÷あなたの現体重(kg)÷ 0.0623(「ふつうの速さ」の補正係数)=85.6分

 

320÷あなたの現体重(kg)÷ 0.1083(「速歩」の補正係数)=49.2分となります。この計算式にしたがって、自分のウォーキングの目安の時間を算出しましょう。

 

ウォーキングは心臓病やその他さまざまな疾患の予防だけでなく、ダイエットにも効果的です。車や電車、自転車など、気軽に使える”道具”があることで、運動不足になりがちですが、疾患予防のため、ダイエットのために、ウォーキングを始めてみてはいかがでしょうか?(⇒ダイエットにはやっぱりウォーキングが一番!