ワキガに悩む人は10年前と比べてかなり増えています。医療技術の進歩により、ワキガ治療はより簡単になったものの、未だにリスクはつきものです。

 

ワキガの手術には様々な種類・方法があり、これは病院やクリニックによって異なるため、どのような種類があり、どのような方法で手術を行うのか、治療する前に知っておきましょう。

 

 

進化するわきが治療

 

わきがを治す方法については、これまでいくつかの手術法が考案されてきました。それらはすべて、欧米では多汗症を治す目的で行われたものです。日本では、ニオイを消す目的で、ミョウバンをわきの下につけたりしたことはありましたが、手術によってわきがを治すようになったのは、ここ最近のことです。

 

しかし、医学の力が日進月歩しているように、わきが治療も日々格段の進歩を遂げ、今では改善を重ね、非常に高度なものが登場するようになりました。

 

手術法はわきが治療を行っているクリニックによって異なり、また当然結果にも差が出てくるわけですが、まずは、現在のわきが治療の手術法に焦点をあてて解説していきます。

 

 

切除法とは?

 

切除法はわきがの原因がわきの下の皮膚にあるという考え方が基づいて、わき毛の生えているわきの下の皮膚を皮下脂肪ごと一緒に切り取ってしまう方法です。この手術法を行うとほとんどのわきがは無くなります。しかし、同時に大きな問題を抱えることになってしまいます。

 

それは傷跡です。

 

切除法ではわき毛の生えている部分を5~7センチ、広い場合には6~20センチも切り取るという、結構大がかりな手術になります。ですから、術後は傷口を固定し、少なくとも2週間の安静入院が必要になります。

 

そして、傷口が回復したとしても傷跡はわきの下に10~15センチの長さでハッキリとついてしまいます。そればかりか、わきの下の皮膚そのものがなくなっていますから、それがどうしても突っ張ってしまい、神経や血管を圧迫するために、さまざまな障害を引き起こしてしまうのです。

 

しかもわきの部分に周囲の皮膚が移動するため、完全に無汗の状態にはなり得ません。現在、実際にこの方法を行っているクリニックはほとんど無いといっていいでしょう。

 

 

煎除法とは?

 

切除法に代わって行われるようになったのが、「煎除法」(せんじょほう)という方法です。この方法は、皮膚は切り取らず、アポクリン汗腺だけを取り除こうという方法です。

 

まずわきのしたの皮膚を数センチ切開します。そこから靴下や手袋をひっくり返すように、皮膚の裏をむき出しにします。そして、皮膚の裏にあるカズノコのようにブツブツになったアポクリン汗腺を医者が目で見て確認しながらひとつひとつハサミで摘み取っていくのです。

 

アポクリン汗腺ばかりでなく、皮脂腺も一緒に取ってしまうので、わきがの元はほとんど除去することができるわけです。この煎除法は、少し前までは、わきが手術の主流でした。現在でも、この方法で手術を行う病院やクリニックは存在します。しかし、この方法もまた、センチ単位とはいえ皮膚を切開してしまいますから、どうしても手術の傷跡は残りますし、入院したり通院したりする必要が生じてきます。

 

 

掻爬法とは?

 

切除法、煎除法を補うために開発され、それらに代わって行われるようになったのが「掻爬法」(そうはほう)です。煎除法がセンチ単位の皮膚切開であるのにして、掻爬法というのは、ミリ単位で皮膚に孔を開けていくというところが大きな違いです。

 

ミリ単位の小さな穴から器具を挿入して、皮膚の内側にあるアポクリン汗腺。エクリン汗腺、皮脂腺を掻き出してしまうわけです。この方法だと、皮膚には小さな穴の跡しか残りませんので、傷口は目立たず、外見上は手術をしたようには見えません。

 

ですから、見た目にはきれいで、美容上では大変メリットがあるといえます。ただ、効果となるとやや疑問が残ります。というのも、この方法では皮膚の裏側を手探りで手術していくからです。ちょっとした間違いで皮膚を傷つけてしまったり、また手術の際の出血が皮膚の下に溜まったりすると、再び手術を行って、わきの下に管を挿入しなければなりません。

 

皮下組織削除法

掻爬法のキューレットの代わりに特殊な専用器具を使って、皮膚内の組織を均一に削ぎ取るという方法です。この専用器具はハサミの形状をしており、片方の刃に当たる部分にはローラーがもう片方には皮下組織を掻き取る刃がついています。

 

わきに1センチほどの切れ目を入れて、刃の方を皮下組織に差し込みます。ローラー部分を皮膚表面に当て、転がしながら皮膚内の組織を均一に削ぎとっていく手法です。この方法は上手く施術すればアポクリン汗腺だけでなく、エクリン汗腺や皮脂腺まで取り除くことが可能で、わきが・多汗症の両方を治療することが可能です。

 

しかし、一度に広範囲の施術をすることができないのが欠点です。わき全体を行うには、結局、数ヵ所に切れ目を入れますから、傷跡が多く残ってしまうことになります。また皮膚を薄く削ぎ取るため、皮膚に黒ずみが残りやすく、かなりの熟練した医師の技術が要求されます。

 

技術が未熟だと、皮膚に穴を開けてしまうこともあります。3日の入院と、術後1週間はわきを固定しておく必要があるなど、手術に伴う体への負担や生活への支障を充分考慮しなくてはなりません。

 

 

吸引法とは?

 

これまで解説してきました従来の方法には、次の3つの問題がありました。

 

(1)後遺症

(2)手術のための入院・通院と日常生活での支障

(3)傷跡

 

これは長い間、わきが治療に携わる医師の課題として検討されていた問題ですが、これらをクリアした新しい手術法が「吸引法」です。吸引法は簡単にいうとわきの下に細い管を挿入して、わきがの原因を掃除機のように吸い込んでしまうというものです。たくさんのクリニックでこの吸引法が採用されてきています。

 

吸引法は原理が単純なだけに、医師の技術がストレートに結果として表れるので、上手になるためにはそれなりの努力と研究が要求されます。中には吸引法は良くないとする医師もいますが、この方法によって満足のいく結果を出せるだけの技術を持つようになることは可能とみてよいでしょう。

 

皮下組織吸引法手術

わきに直接数ミリの小さな穴を開け、そこから「カニューレ」という細い管を差し込み、汗腺類を掻き取りながら吸い取ってしまう方法です。この手法は、腹部や太ももなどの脂肪を吸引してスリムにする「脂肪吸引」の美容技術と同じものです。皮膚を切開するのではなく、小さな穴を開けるだけなので、傷跡もほとんど残らず、体への負担が極めて軽いことが利点です。さらに、術後の回復も早いので、入院の必要がない手軽さもあります。

現在ではわきが・多汗症の治療として主流になっており、多くのクリニックで採用されています。しかし、この吸引法でも汗腺類を完全に除去することは難しく、十分な治療効果が、あがらないことがあります。そのため、症状が重い患者さんですと、手術後にもまだ少しニオイが残る、ということがあるのも事実です。

 

 

超音波治療法とは?

 

「超音波治療」は、血管や神経などの皮下組織を傷つけずに、汗腺類だけを破壊できます。私たちが持つ組織はそれぞれ固さが違います。骨のように固いものもあれば、傷つきやすく繊細な粘膜もあります。皮下組織においては、破壊したい汗腺類と血管や神経などの固さが違うのです。

 

超音波の周波数を微妙に調節することで、固く弾力のない汗腺類は超音波の振動エネルギーで破壊され、弾力に富むその他の組織には影響を与えません。そのため、出血も少なく、確実に汗腺類だけを破壊し、高い治療効果を得ることができるといえます。

 

超音波治療の特長

まず皮膚に数ミリの穴を開け、そこに超音波発生器を差し込んで行います。切開部分は数ミリなので、大きな傷跡が残る心配はありません。また、神経や血管などの大切な組織を傷つけることもありませんから、後遺症の心配や体へのストレスが極めて少ないというのが大きなメリットです。

施術時間はわずか30分、という早さで、術後の回復も早いので、基本的には入院や通院の必要もありません。この方法のメリットを以下に挙げます。

・痛くない
・傷跡の心配がない
・血管や神経を傷つけない
・短時間で施術ができる
・術後の回復が早い
・基本的に入院・通院が不要*わき毛を残す・残さないの選択ができる
・治療効果が高く、再発の不安がない。

 

まとめ

 

現在のわきが治療は主に「吸引法」と「超音波」が用いられています。超音波よりも吸引の方が効果が高いがリスクも高いというように、各々にメリット・デメリットが存在しますが、やはり安全第一ですので、初めての方はまず「超音波治療」を受けてみましょう。

 

とはいえ、超音波治療が全く害がないというわけではありませんので、その点はしっかりと頭に留めておいてください。