うつ病の人に対して、「頑張って」などの激励の言葉はいけないと広く知れ渡るようになりました。この理由はご存知でしょうか?

 

うつ病にかかりやすい人は、根が真面目で熱心な方、努力家や頑張り屋が多いです。その人に「頑張って」というと言われた患者は「まだ頑張りが足りないんだな…」と自分を責めてしまい、深く傷ついてしまうことになるのです。

 

 

言葉そのものが悪いのではない

 

肝心なのは、この「頑張って」という言葉そのものがNGワードというわけではなく、うつ病に罹っている当人にとって叱咤激励の意味になるもの、それがいけないという点です。

 

叱咤激励の定義は人それぞれによって違うものです。例えば家事なんかしたことない人が作った料理を「あんまり美味くないね」といっても、本人は「そりゃそうだろう」で済みますが、本職が料理人だったり主婦の方に対して同じ言葉は叱咤にもとれます。

 

叱咤激励の定義は様々です。どのような言葉が叱咤激励になるのか、話し合うことも大事でしょう。絶対言ってはいけないのが「あんな言葉が叱咤なんだー信じられないー」です。二重に叱咤している修辞なの、お分かりでしょうか?周囲の方は、接し方に十分注意してあげてください。

 

 

元気が出てきた時は目を離さずに!!

 

うつ病を見守っている方に是非注意していただきたいことがあります。うつ病には目を離さないでほしいタイミングが、2点あります。一つは発症初めの時期。経験したことのない苦しさに、患者は苦しみ戸惑っています。出来る限りそばにいてあげましょう。もう一つは、もう治ったかな、と思う時期。それは自殺の心配があるからです。うつ病がひどい時には、自殺する元気すらありません。

 

しかし抗うつ剤が効いてきて、少し元気になってくると、その元気を自殺するパワーにしてしまうケースが非常に多いのです。加えて難しいのが、周囲から見て経過が良くても、本人に聞くと悪化していたり医師に診断してもらうと横ばい状態であることがよくあることです。

 

元気に見えるのは心配かけまいと、精一杯の気遣いでしていることも多いのです。逆にそういったように、傍から見れば元気ない様に見えても本人の心は穏やかで、回復しつつあるという場合もあります。肝心なのは患者さんを信じ、注意しながら対話をして、病状を確認することです。

 

 

選択させずに選んであげましょう!!

 

うつ病の方は、脳の力が低下し判断力が低下しています。このちょっとした判断でもストレスに感じてしまう場合もあります。ですから日常生活でも、できる限り選択を促さずに選択してあげましょう。

 

例えば食事の際も、「今日どうしたい?」「何でも作るし、食べに行ってもいいよ」と振るとうつ病の方は困ってしまいますそれよりは、「カレーかカツ丼が食べたい気分なんだけど、カレーでいい?」と言ってあげた方が負担はかかりません。服に関しても「何が着たい?」と漠然と振るのではなく、「今日は温かいから、あの薄手のブルーのシャツといつものジーンズがいいと思うよ」の方が助かります。選択させるのではなく、選択してあげる、これがポイントです。

 

このように接してくると、もしかすると「そんなに指図しないで。着たいものぐらい自分で決めるわ」と本人が言ってくるかもしれません。ちょっと生意気に聞こえるかもしれませんが、こういう風に自己主張してくるのは、経過が少しよくなった証拠です。決して怒ってはいけません。むしろ歓迎すべきです。自分で選択する、というエネルギーが溜まってきたのです。

 

ちなみに鬱病の前段階ともいえる「適応障害」においても、鬱病のような強い抑うつ状態が発現することがあります。鬱病と同様に、頑張れという言葉や叱責は逆効果となりますので、温かく見守ってあげてください。(関連:鬱じゃない!鬱っぽい症状が続く「適応障害」の診断・原因・治療