うつ病は最近は「心の風邪」という言葉で表されることが多いものですが、実は症状としては相当辛いものです。

 

心の病気だけに痛みは基本的につきまといません(稀に仮面うつ病の場合は痛みが伴う場合もありますが)。実はそれだからこそ厄介な部分もあるのは確かなことです。

 

また、最近では、「うつは心の風邪」というキャッチコピーでテレビ広告もやっていますが、逆に考えるとそう言わざるを得ないところに、心の病気に対する根強い抵抗感があるのではないかとも思います。

 

基本的には、どの診療科も全くといって良いほど同じなのですが、健康管理意識が強く、「ちょっと調子が悪いな」と思ったら即座に病院に行く方はあまり多くは無いのではないかと思います。

 

特に、男女問わず、働き盛りの方は、「心の病気」というレッテルを貼られるのを嫌がるものです。ですから、病院に行く前段階として、もし、ご同居のご家族・伴侶が調子が悪そうでしたら、本人に抵抗感があるようでしたら、ご家族・ご同居の方から、「病院に行った方がいいよ」と勧めるのが大事。

 

どの病気も早期発見、早期治療が最も効果的であるのは、当然誰もが知っていることだと思います。心の風邪も、心の病気も例外でないことを忘れないで頂きたいと思います。

 

 

どの病院にかかるのがいいか

 

私は基本的に、総合病院・大学病院または、クリニック、どれにかかっても基本的に同じだと思います。問題は患者さん本人にあると思います。大学病院・総合病院の場合ですと、複数の医師が必ず常駐していますので、安心は安心です。

 

それに、規模が大きい病院であればあるほど、他の診療かが必ずあるので、「うつ病」しれないけれど、実は違う病気かもしれない場合もありますので、検査が割りと迅速に受けられるというメリットは確かにあります。だからと言って、その複数人の医師の全員が全員、技術的にも高い水準にあり、高い理念を持っているとは限りません。

 

総合病院・大学病院を誹謗するつもりは全くありませんが、場合によっては技術的に高い水準にある医師の診察を受けられない可能性があることは否定できません。

 

また、総合病院・大学病院等規模の大きな病院になればなるほど、「初診」の予約が受け付けられるまでに待たされる可能性もあることも否定できません。

 

クリニック等、小規模な開業医の場合、開業しているぐらいですから、恐らく医師は自信を持って診察にあたっていることとは思われますが、万一他の病気を併発していた場合、即座に検査を受けられるかどうか少々疑問です。

 

高い理念と、高い技術を持っているからこそ、開業できたのだと思いますが、これも場合によっては、親が開業医で、子息がそのクリニック等を受け継いだ可能性も中にはあると思います。ですから、そこまで突っ込んで考えた場合、本当に技術的に高い水準を持っているかどうかは本当のところは不明です。

 

また、特に個人開業のクリニック等の場合、医師が一人しかいないことも場合によってはあるかもしれません。そういう場合はどうしても具合の悪い時に即座に他の医師にかかれないところはクリニック等のデメリットでしょう。

 

いきなりデメリットを書きましたが、これには理由があります。風邪を引いた。腹痛を起こした。等々の内科的な症状の場合、特定の医師に診察を受けなければならない理由は必ずしもあるわけではありません。

 

それに対して、うつ病のように、心身ともに疲れきって、特に心に貯まった負担が大きくて体調自体を崩してしまった場合、最も早く治るのは「信頼できる医師に出会えて、誰にもい言えなかった心の重石を早いこと吐き出してしまうこと」が、最も近道だと思うからなのです。うつ病・もしくは抑うつ状態の疑いがある場合の医者選びは慎重にして頂きたいと思います。

 

 

病院に連れて行く方法

 

自らの体調不良が、内科的・外科的疾患ではなく、「心から来る病気」と自ら悟って病院に行こうとされている方については、上記の通り、総合病院等にするか、クリニック等にするかは、ある程度は本人に任せても良いと思います。

 

ただ、もし、その方が、ご同居の家族であったり、配偶者であったりした場合は、第1回目の診察と少なくとも検査が終わるまでは、時間が許されるならば、同伴してあげて下さい。

 

それにもやはり大まかに分けて2つの理由があります。まず、第1の理由なのですが、うつ病・もしくは抑うつ状態の患者さんは、概して記憶力が低下していることが往々としてあります。

 

医師に言われたこと、医師に指示されたこと、そして処方された薬を、同伴した方が基本的に管理して欲しい、という理由が第1です。

 

第2の理由は、やはり第3者の目として、同伴された方がその医師が本当に信頼に値する方か客観的に観察して頂きたいのです。

 

ドクターショッピングはお勧めしませんが、第3者の目として見て、「この医師は信頼できない」と感じたならば、患者さんが医師を信じきってしまう前に、医師を替えるか、病院を変えることは重要だと思います。

 

体調が悪いにもかかわらず、医者にかかろうとしない方の場合なのですが、これは迷わずクリニックではなく総合病院・大学病院等できるだけ規模の大きな病院に行くように誘導してあげて下さい。こういう方の場合、原因が無いのに体調が悪くてもなかなか自発的に病院に行こうとしません。

 

また、場合によっては、はっきりとした抑うつ状態に該当する症状(代表的なものとして睡眠障害)が現れているにも関わらず、精神科・神経科・心療内科等に対して偏見を持っている可能性があります。

 

うつ病は場合によってはストレッサーが無くなることにより、自然治癒してしまうこともあるのですが、それは例外的と考えた方が良いと思います。調子が悪いのに我慢を重ねれば重ねるほど、殆どの場合が症状が悪化してしまいます。

 

とにかくこういう頑固な方には、自らがうつ病・抑うつ状態にあることを知らしめるために、内科的には何の問題も無いことを診察費はかかるかもしれませんが知らしめる必要があると思います。

 

そして、内科の医師に、内科的には問題がないことを本人に伝えてもらい、例えば不眠の原因がストレス等から来ていることを言ってもらって下さい。

 

そして、出来ることならその日のうちに、精神科・神経科・心療内科等の、心の病気を扱っている診療科への紹介状を貰って下さい。そして、診察を受けさせて下さい。

 

とにかく、うつ病にしろ抑うつ状態にしろ、「自分が今そういう状態にあるんだ」ということを本人が納得しなければ、悪くなることはあれ良くなることはありません。

 

ですから、先にクリニックのところで書きましたが、初回の診察時及び検査結果が出るまでは、時間が許されるなら出来るだけ付き添って行ってあげて下さい。

 

どう言っても、どこの診療科にもかかろうとしない方の場合なのですが、こういう方の場合、上手く行けば場合によっては放っておいても治ってしまう可能性は若干はあります。

 

しかし、どのようなストレスに晒されているのか分かりませんが、同じストレスに晒され続けた場合には残念ながら、悪くなってしまう可能性の方が高いと思います。

 

この場合、本人が頭が上がらない方に説得を依頼するしか恐らく方法は無いのでしょうが、とにかく良くなることを天に祈るしかありません。

 

 

病院に同伴できた場合の対応方法

 

病院の形態にかかわらず、同居していたり、近くに住んでいたりして、病院に同伴できた場合なのですが、心配は分かるのですが、出来るだけ患者さんに話させた方が良いと思います。

 

仮に患者さんが言っていることに違和感を覚えたとしても、途中で口を挟まずに、医師と一緒に患者さんの話を聞いてあげた方が良いと思います。仮に患者さんの言っていることが、辻褄の合わないことでも、そうは思わないことでも、途中で口を挟まない方が良いと思います。

 

辻褄の合わないこと、そうは思わないことは、医師が必ず「どうして、そう思うの?」、「どうして、そう感じるの?」等々必ず言ってくれます。

 

余計なところで口を挟むと、患者さんは、次からの同伴を場合によっては拒むようになります。個々人の心の奥底の悩みは、例えどんな些細なことでも、本人が感じていることを理解することは、素人では難しいのです。余計な口を挟むことで、患者さんが本心を言わなくなるようなことが無いようにして下さい。

 

 

症状が重くて入院となった場合

 

こうなったら、敢えて言うことはありません。医師と看護士に任せて、退院してくる時は良くなって戻って来ると信じて、とにかくご自身の体調管理に一番気をつけて下さい。

 

また、入院となった場合なのですが、入院初日は、余程のことが無ければ、一緒に病院に付き添って病棟まで行って下さい。患者さんは本当に不安です。

 

具合が悪いのに、住み慣れた家・常に一緒にいた家族から一時的とはいえ、常時顔を合わせることが出来ない状態になるのです。少しでも不安を和らげるように援助してあげて下さい。

 

かと言って、病棟に入ったら、同室の患者さんに挨拶を済ませて、所要を済ませたらいたずらに長居しないようにしてあげて下さい。患者さんは、否が応でも病棟内で、同じ病棟で入院している患者さんとの人間関係を築かなければならないのです。

 

ずっと付き添っていてあげたい気持ちは分かりますが、付き添い時間が長ければ長いほど、患者さんは本当に具合が悪くて動けない状態でなければ、間仕切りで仕切られたベッドの周りの狭い空間しか行動範囲が無くなってしまいます。

 

入院が患者さんにとって益々ストレスを感じる場にならないように気を遣ってあげて下さい。但し、お見舞いなのですが、基本的には行ける方は、短時間でも構わないので、2~3日おきに誰かしらが行ってあげて下さい。

 

入院した病棟での人間関係はある程度重要ですが、やはり赤の他人よりは、家族、配偶者等々身近な人が来てくれる方が本当に嬉しいものです。

 

面倒臭いかもしれませんが、1ヶ月もすれば、入院の場合余程症状が改善しない場合を除き、外泊によって帰宅が許されるようになります。1ヶ月の辛抱と思って短時間で全く問題ないので、出来る限りお見舞いに行ってあげて欲しいと思います。

 

お見舞いに行くことは、本人にとって心が休まることであると同時に、入院患者さん同士の人間関係から、一時的にでも開放されることも意味しています。(患者さん同士の人間関係は必ずしも良いものとは限らないのです。)あとは、良くなって退院してくるまで、気長に待ってあげて下さい。

 

 

外来治療となった場合

 

外来治療となっても、男女を問わず、通勤または家事等に支障が無い、と言われ、単に抗鬱剤と精神安定剤場合によっては睡眠薬が処方された方は、とにかく無理しないで頂ければそれで問題は無いと思います。処方された薬を決められたとおりにきちんと服用していれば、時間の問題で抑うつ状態は改善するはずです。

 

このケースに当てはまる方は、とにかく医者がもう大丈夫と太鼓判を押すまで、自己判断で通院を中止しないで頂ければ、それ以上悪化することは稀なのではないかと思います。

 

 

仕事または家事等全般を休むように言われた場合

 

このケースに当てはまった場合は、絶対に無理させないで下さい。仕事を休むよう診断書が出たならば、しっかりと休ませるべきですし、当然家事等も然りです。今の状態は、入院する必要までは無いものの、仕事・家事等は無理と医者が判断したのです。

 

患者さんが男性ならば、絶対に仕事に行かせてはいけません。診断書が出たら、もし会社が認めてくれるならば、配偶者・ご家族が診断書を持っていっても問題ないと思います。

 

逆に患者さんが女性で既婚者の場合でしたら、ご主人が家事全般をするべきです。余程料理好きなご主人でない限り殆どの方が、奥様の家事の大変さを知らないことでしょう。この機会に奥様が毎日どれくらい大変な思いをしているか知るべきだと思います。

 

とにかく、こういう診断が出たら、入院一歩手前の状態なのだということを患者さんに自覚させて、自発的な気晴らしに類する行動以外は基本的にさせないで、とにかく休ませることに専念させて下さい。