ちょっとしたことにもすぐに緊張してしまう、アガってしまう人は案外多いものです。そこで失敗するとすっかりしょげてしまい、自己嫌悪に陥ったりします。

 

でもそういう人ほど、実はプライドが高く、エネルギーもまた高いものです。輝くばかりのプライドは人生の成功を生み出すとともに、挫折感も強くしてしまいます。

 

私たちの心のなかにあるやっかいでエネルギーに満ちたプライド。自分の心に住み着いたプライドを測ってみませんか。

 

 

緊張する様々なシーン

 

新しい仕事や環境など、かつて体験したことのない出来事に出会うと誰もが緊張します。人前で話したことのない人が初めて人前にたったとき、動悸が高まり、額に汗が噴き出し、のどが渇き、体が震えたりします。

 

そうした体験をすることが多いのが新年度。新入学、新社会人など、当事者はもちろん迎える側でも、あの苦手な自己紹介の機会が多々あります。

 

そのとき、あがらずに十分な自己表現ができる人など誰ひとりとしていないでしょう。ところが、1年もたって同じメンバーの前で話す機会があったときには、そのときよりもずっと落ちついているはずです。

 

ちょっとドキドキはしても、最初のときよりもずっと緩和されている。いったいどうしてでしょうか。

 

初めて皆の前に立ったときには、いいたいことが十分に伝えられるか、自分の話しにみんなが興味をもってくれるか、上手に話せるか、失敗しないか、すてきな人だと思ってもらえるだろうか、など、頭のなかは本題以外のことがバラバラに駆けめぐり、意識が分断されてしまっています。

 

緊張感は、その統一できない自分への不安から生まれるもの。したがって、散漫になっていた意識が必要なことに集中できるようになると、緊張感が適度にコントロールされ、解決されることになります。

 

解決の早道は、まずマイナスイメージを払拭することです。

 

「できないかもしれない」「だめかもしれない」「不可能だ」「うまくやれるだろうか」などといった否定言語をすべて振り払いましょう。

 

くり返し、肯定的な考えやイメージを頭のなかに思い浮かべ、自分を置き換える訓練をします。うまくできた自分、笑顔で話している自分をイメージしてください。緊張感は人生のスパイスのようなもの。スリルやサスペンスの裏を支えているのが緊張感なのですから。

 

 

意気消沈はありあまる意欲や野心の代償

 

必死のがんばりで目指す大学に入学できたり、憧れの職業に就職したり転職したり、あるいは異例の抜擢で思わぬ昇進をしたり……

 

思い通りの環境を得て、意気揚々とした生活を始めたものの、ほんのちょっとした挫折から意気消沈の時間が始まることがあります。

 

それまでの気力や気概、気合が低下し、覇気を失い、身心のエネルギーが低下……。そんなときには、本当は何もしないでやり過ごすことが早道なのです。

 

バッテリーが上がったときのように、少し時間をかけて充電してやれば、自ずと意欲が浮上してくるからです。それを待てないせっかちの人ならば、意気消沈の原因を究明してみましょう。

 

あなたを落ち込ませている原因は、政治や経済、世の中の仕組みのことなのか、それとも身体的な状況なのか、能力不足のせいなのか……。

 

このとき、すべての原因が「自分にある」と思えるようなら、自分と戦ったり、自分を責めたりせずに現状肯定をしましょう。

 

たとえ99%を失敗したと思えても、残りの1%に可能性を見い出せれば、すべてがよくなると楽観的に考えてください。実際、意気消沈できる人は、その1%をうまくやる能力も備わっている人なのです。

 

 

人生への傲慢さを手放せば自己嫌悪から逃れられる

 

緊張から失敗を重ね、意気消沈すると、たいていの場合には自己嫌悪に陥ります。「私は本来そういう人間ではない」「そうした自分が許せない」という自罰的な気分がよけいに自己嫌悪感をつのらせます。

 

自己嫌悪に陥ると、自分が世界中から無視されているように感じてしまいます。そして人はこうあらねばならない、間違いを犯すべきではない、と思いがちです。

 

しかし、もし人生がそうした確固としたものばかりで、ゆらぎのひとつもなければ、かえって楽しくもなく、他への思いやりや新しいものへの挑戦もありません。

 

人は完全ではなく、完全でありたいと思う傲慢さをそっと手放すことがもっとも大事なのかもしれません。

 

自己嫌悪を強くもつ人に限ってNOといえないことが多く、いつもよい人でいたがり、そのために困った立場に追い込まれ、よけいに自己嫌悪感を高めることになります。

 

万能ではない自分、理想的な人間ではない自分を認め、受け入れてください。それが緊張を緩和し、意気消沈や自己嫌悪といったトンネルを脱出する知恵といいます。

 

 

原因のない寂しさ、孤独感は疲れ過ぎから

 

恋人と別れたり、友人が死んだりしたときには寂しさがつのります。でも、そんな理由が何もないのに、どうしようもなく寂しいときがあります。そんなときにはお酒を飲んでも、長電話をしても空回り。よけいに寂しさをつのらせる結果になります。

 

漠然とした、それも長く続く寂しさ、孤独感は、まず疲労と考えてください。疲労が強く、ストレスが解消されないままに取り残されていると、人との輪が断ち切られたかのような錯覚にとらわれがちです。

 

そんなときには無理してまぎらわそうとせずに、まずゆっくり休むことです。孤独を恐れずに、孤独にどっぷりひたって、暗い気分よりもなお暗い音楽に耳を傾けてください。

 

ひとり旅に出るのも一手。本当の孤独の渦中では、人は孤独のなかにある歓びや安心に出会うことができます。

 

 

寂しさのルーツは4~5歳にさかのぼる

 

過労に陥ったり、ハードな仕事が一段落してほっとしたときなど、人はよくかぜをひきます。寂しさもかぜとよく似ていて、心の隙間から忍び入ります。ですから、かならずしもストレスとだけ関連しているということでもありません。

 

寂しさのルーツをたどると、その初体験は物心のつく4~5歳。母親に代表される信頼できる人から自立するときの分離不安にさかのぼります。

 

確実な信頼関係ができあがっていると、安心して自立していけますが、そこに少しでも不安があると、なかなか自立ができず、その心の揺れ動きが寂しさの原型になっています。

 

分離不安は、配偶者や近親者との別離や死別、卒業、転属、単身赴任、定年退職、失恋など、それまであったものを手放すときに常に顔を出します。

 

そのたびに現実には別離しなければならないとわかっていても、心のなかにぽっかり穴があいたように寂しさを感じるものです。

 

 

寂しさは豊かな未来へのスタートライン

 

寂しさは過去の出来事についての現在の心の動きです。決して今起こっていることでの心の動きではないことを忘れないでください。

 

ですから、どうしようもない寂しさに遭遇したら、自分の視点を過去から現在に、現在から未来にと動かすことを考えましょう。

 

そう考えれば寂しさも悪くはありません。寂しさはこれからの豊かな人生へのスタートの合図、新しい人間関係を構築するきっかけになるからです。

 

本当に孤独で、寂しくてたまらないときには、子どもが母親の膝で泣いてから勇気を取り戻してまた遊びに出かけるように、思い切って寂しさをぶつけてしまいましょう。

 

何でもよいので、心の想いを言葉にし、声に出して叫んでください。「お母さん」「お父さん」でもよいし、ほかの言葉でもかまいません。

 

声を出して叫ぶと心にプラスのエネルギーを与えます。小さな声でもかまわないので、騒音に紛らわせて声を出してみましょう。

 

自分がひとり取り残されたような寂しさを感じたときには、何よりもかけがえのない自分という人間がいることを思い出してください。そして、自分で自分のことをそっと抱きしめてください。

 

自分自身を本当に愛したとき、孤独はいやされます。自分自身を信頼し、自分との安定した信頼感をもつことができれば、たとえひとりであっても、かけがえのない自分といっしょであることを実感し、寂しさの輪から抜け出し、孤独を楽しむことができるようになります。

 

 

自分の意思で選択できないと挫折感が溜まる

 

挫折感が強いときには、一時的にせよ、その環境から逃避しましょう。ストレスに対する反発力を失った状態が挫折感になって現れているのですから、反発力を取り戻すためには、逃げるが勝ちです。

 

自分がやってみたいと思っていたことをやってください。趣味があれば没頭し、なければ、旅に出てもよいでしょう。

 

旅といっても何も本格的な旅行でなくてもかまいません。心のふるさとに回帰してみる、昔なつかしい思い出の場所に行ってみる、話を聞いてくれる人やなつかしい人に会ってみる……そんな小さな旅です。

 

挫折感のないときの自分を想起させるような場所に行ったり、人に会ったりすると、少しずつ勇気がわいてきて、本来の自分を取り戻すことができるようになります。どうしても明るい気分になれないならば、その暗さを認めてしまいましょう。

 

うつ状態であるならば、その状態から逃げないことです。もっともまずい対応は逃げたり抵抗したりすることです。なぜうつ状態になったかの原因は複雑ですから、探そうとすればするほどうつ状態にこだわることになります。そうなるとますます逃れられなくなり、逆に落ち込みを深めます。

 

 

社会的支援のネックワークを見直そう

 

人間関係を取り戻すきっかけをつかみ、リラックスできたならば、そこから再スタートしてください。なぜ自分が挫折したのか、を学習しましょう。もしかしたら目標や目的が高すぎたのかもしれません。

 

周囲の評価に自分がついていけなかったのかもしれません。自分の力の過不足もきちんと見極めてください。不足しているならば、自分の力だけで成就しようとはせずに、他からの支援を受けることも大事。これをきっかけに社会的支援のネットワークがどのくらいあるかをチェックしておきましょう。

 

社会的支援のネットワークを多くもっていることは、あらゆる病気の回復に役立つばかりでなく、ストレスに強くなる大きな要素でもあります。

 

社会的支援は受けるばかりでなく、行うこともまた大きな利点になります。挫折は誰にでもあるもの。何回も挫折しながら、次第に成功に近づいていくものと考えれば、現在の挫折は成功への過程です。

 

その挫折をラッキーな出来事と考えることができれば、挫折感も払拭でき、自信をもって歩むことができるでしょう。