「食欲がない」「体がだるい」「気力がない」「疲労がたまってとれない」などが一般的な夏バテの症状。ひどい場合には、めまい、頭痛、発熱、耳鳴り、冷汗、顔面蒼白などが起こります。

 

また、発汗によって体内の水分が減少し、血液が濃縮されて、脈拍が速くなったり、尿の出かたが少なくなったり、色が濃くなることもあります。

 

 

夏バテの原因

 

夏バテの原因にはいくつかのメカニズムが考えられます。

 

その一つは、血液などの循環と調節機能の低下。気温が上がると脳の中枢にある体温調節機能が働いて、皮膚の血流が増して汗を出し、体温を発散させます。ところが、日本の夏のように湿度が高いと、この発散がうまく起こらず、熱が体内にこもり、軽い熱中症が起こります。

 

二つ目の原因は、皮膚の血流が増すと胃腸の血流量が減少することです。その結果、胃液の分泌と胃腸の運動が緩慢になり、食欲がなくなります。

 

三つ目は熱帯夜による睡眠不足です。四つ目は暑いための運動不足があげられます。さらに、冷房のきき過ぎによる体の冷えと筋肉の凝りなどです。これらの症状から、自律神経系やホルモンの分泌系に乱れが生じて、心身の疲れ、夏バテが起こるのです。

 

 

「暑い」からはじまる悪循環

 

暑くて汗をかくと、エネルギーを消耗し、体内からミネラルやビタミンB1が失われます。すると、疲れがたまりやすくなり、食欲もなくなります。

 

水分や冷たいものばかり摂っていると、必要な栄養素の補給ができないばかりか、消化機能が低下し、さらなる食欲不振におちいってしまう、という悪循環に。この連鎖、どこかで断ち切らないと、夏の終わりには何をする気力もおきないなんてことにもなりかねません。

 

食欲がなくても、3食きちんと摂ることが大切です。たんぱく質、ビタミン、ミネラルなど、少量でもバランスよく摂るように心掛けましょう。食事で摂取できなければ、ビタミン剤などで補って。

 

 

ご用心!夏の病気

 

■夏かぜ

かぜといえば冬のものと考えがちですが、夏でもかぜによくかかります。かぜの病原体はほとんどがウイルスで、夏かぜも例外ではありません。夏かぜの主役は主にアデノウイルス、コクサッキーウイルス、エコーウイルスという3種のウイルス。

症状は冬のかぜと基本的には変わらず、くしゃみ、鼻みず、のどの痛み、せき、発熱、頭痛などです。のどの痛み(咽頭炎)が強い、熱が高い、下痢を伴うことが多い、というのが夏のかぜの特徴です。

予防には、まず手をよく洗うこと。冷房をかけすぎて体を冷やすと、かぜウイルスに感染しやすくなります。また、睡眠不足でも抵抗力が落ちがちになるので、十分な休養、睡眠、栄養をとることに気を配ることが大切です。

■プール病

もう一つ、夏かぜの代表的なものに「咽頭結膜熱」という病気があります。プールに入った後、発熱やのどの痛み、目の結膜炎などを起こすのが特徴で、「プール熱」と呼ばれています。

アデノウイルスが病原体で、潜伏期間は2〜7日間。熱は37度ぐらい、のどの痛みは軽度ですが、のどのはれもみられます。また、吐き気、下痢も起こることがあります。

結膜炎の症状は白目部分の赤みとまぶたの裏の赤目の部分に赤みとはれが出ます。また多量の目やにのほか、耳の前のリンパ節のはれもしばしばみられます。

 

■夏型過敏性肺炎

6〜9月に集中して発生するアレルギー性の肺炎が「夏型過敏性肺炎」。その原因は、なんと家の中のカビ。一般家庭の台所、洗面所、ふろ場の水まわりなど、湿気を含み木の腐りやすい所などに繁殖する「トリコスポロン」というカビの一種で最もよく起こることがわかっています。

 このカビが鼻から吸い込まれ、肺に入るとアレルギー反応が起き、炎症につながるのです。直ちに命にかかわることはありませんが、レントゲン写真を撮ると肺炎の影が写って、慢性化すると、肺が縮む肺線維症につながることも。

予防は当然、カビを繁殖させないこと。そのためには、家の隅々まで風通しを良くし、もし材木が腐っている所を発見したら、取り除いて補修することが大切です。 

 

■レジオネア肺炎、マイコプラズマ肺炎

夏場に集団発生しやすいことでよく知られる肺炎に、レジオネラ肺炎とマイコプラズマ肺炎があります。レジオネラの病原は細菌で、クーラーの水冷塔で増殖し、室内でその冷やされた空気を吸うことで感染することが知られています。

マイコプラズマはウイルスと細菌の中間に位置する微生物で、体内に入ると、気管支周辺の細胞で増殖し、毒素を出して、肺に炎症を引き起こすと考えられいます。3〜5年の周期で流行すると言われています。

 

■脂肪肝

「夏の食生活は脂肪肝にもつながりやすい」と指摘する医師もいます。夏は、消化器の疲れからついつい「糖分」にかたよった食事になりがちだと言うのです。

そう言われれば、のどが乾いたと言ってジュースを飲み、食事は「食欲がない」とそうめんか冷や麦ですませる一方、アイスクリームやかき氷、スイカ、ブドウなどの果物をしょっちゅう口にしてはいませんか?

糖分を摂取すると、血糖値が上がり「おなかがいっぱいになった」という信号を脳に送ります。そのため、だらだら糖分をとっていると食事の時間になっても食欲がわきません。

 

さらに、血糖値を下げようとすい臓からインスリンが出ますが、このホルモンは糖分を脂肪に変え肝臓にとりこむよう働き掛けます。これが脂肪肝を引き起こすのです。肝臓から脂肪を追い出すのはたんぱく質ですが、たんぱくの豊富な肉や魚を食べる量が減るのもこの時期。

夏ばてだと思ったら、食生活を変えること。食欲がなければ、比較的食べやすい魚、豆類でたんぱく質をとり、間食を避け、寝る2時間前には、絶対食べないことなどが重要です。

 

 

夏太りの正体は「むくみ」だった!

 

「夏痩せ」こそすれ夏に太るなんて、と考えがちですが、最近では「夏太り」型の夏バテも多いようです。暑くて食欲もないのに、どうして太ってしまうの?と思い悩んでいる人もいるかもしれません。ジュースやアイスクリームなどの甘いものを摂りすぎていませんか?冷房で体を冷やし過ぎていませんか?

 

食欲がないと言いつつ、ジュースをたくさん飲んだり、冷たいデザートばかり食べていたら、当然、摂取カロリーは高くなります。また、「冷房病」による自律神経失調症によって体の代謝機能が低下すると、体内に余分な脂肪や水分がたまってしまいがちです。

 

冷房の当たり過ぎを防ぎ、代謝機能を高めて、「むくみ」を防ぎましょう。「むくみ(水腫)」は腎機能が低下し、皮下組織にからだの水分が異常にたまり、まぶたや顔がはれぼったくなったり、指輪が抜けなくなったり、足が太くなって靴がはけなかったり、疲れやすくなったりするのが特徴です。「薬膳」を取り入れて、すっきり解消しましょう。

 

むくみの薬膳で有名なのは何といってもコイと小豆のスープ。そのほかハトムギ、ショウガ、冬瓜、とうもろこしの毛、スイカ、白菜、柿の葉、黒豆などもむくみ解消に効果的です。

 

なお小豆や黒豆はゆで汁を飲むことが大切なので、絶対に捨てたりしないこと。また昔から、慢性腎炎のむくみに抜群の力を発揮するといわれるのがスイカ糖。

 

せんじ茶としてはアシタバ、オオバコ、黄耆(おうぎ)、茯苓(ぶくりょう)などが利用されますが、特に黄耆は慢性腎炎によく利尿、強壮に働いて、毛細血管を拡張して皮膚の栄養もよくします。

 

ハトムギや党参(とうじん)などとおかゆにすることも多いようです。お茶は濃くせんじて少量を飲むようにしたほうが効果的。また、モチ米、ギンナンは体から出る水分を止める働きがあるので食べすぎないように。