いつもあわただしく、仕事など何かとストレスのたまりやすい現代。ストレスが原因となってあらわれる身体的な変化は数多くありますが、耳のトラブルもそのひとつ。

 

ある日突然難聴が起こり、早期に治療をしないとそのまま一生治らない、ということもありますから、甘くみるのは禁物。耳の異変に気づいたら一刻も早く、病院へと急ぎましょう。

 

 

ストレスが引き起こす様々な症状

 

精神的ストレスや肉体的ストレス、暑さや寒さなどの物理的ストレス、騒音や空気汚染などの環境的ストレス……などなど、現代社会にはストレスが蔓延しています。そのため、自分ではストレスだと思っていなくても、実は知らず知らずのうちにストレス過多に陥っているケースも多々あります。問題は、これらのストレスが耳鳴りや難聴、めまいを引き起こす一因となってしまうことがあることです。

 

心や体にストレスがかかると、その刺激は脳の視床下部に伝えられます。視床下部は自律神経や内分泌機能をコントロールする役目を担う場所です。自律神経は体のあらゆる臓器や器官の働きを調節している神経で、身体活動を亢進させる交感神経とそれを抑制する副交感神経の2種類があり、この相反する両神経は互いにバランスをとり合っています。

 

ところが、長期にわたって強いストレスにさらされたりすると、視床下部が自律神経をうまく調節することができなくなり、それによって交感神経が緊張し、自律神経のバランスが乱れることに……。その結果、交感神経が亢進して血管を収縮、血流が阻害され、耳鳴りや難聴、めまいなどの症状となって現われてくることになります。

 

 

ストレスが誘引する疾病

 

耳鳴りや難聴、めまいが起こる病気にはさまざまな種類がありますが、ストレスが原因のひとつとなって起こるものには、主に次の3つがあります。

 

メニエール病

 

ある日突然、激しいめまいが起こり、耳鳴りや難聴を伴うのが特徴です。めまいは、30分?半日ほど続きます。突発性難聴にも同じような症状が現われますが、メニエール病の場合は、このようなめまい発作が何回もくり返し起こります。めまいは、ぐるぐるまわる回転性のものが多く、嘔吐や悪心を伴うこともあります。難聴や耳鳴りは、片方の耳にだけ起こるケースがほとんどです。

 

発作をくり返すごとに、耳鳴りや難聴はしだいに進行し、聴力が低下。そのため、早期に診断をして治療を開始し、発作をくり返さないように注意をすることが重要です。

 

ストレスが引き金になることが多く、内耳の内リンパ液の量が増えて水圧が上がってしまうことが原因で起こるといわれています。男性は40歳代に、女性は30歳代に多い病気です。

 

 

突発性難聴

 

朝、目覚めたら何も聞こえなくなっていた、電話で話している最中、突然聞こえなくなってしまったなど、なんの前触れもなく急に難聴が起こります。同時に耳鳴り、耳閉感が現われ、めまいや吐き気、嘔吐を伴うこともあります。

 

難聴の程度には個人差があり、まったく聞こえなくなるというものからちょっと耳が詰まった感じがする程度のものまでさまざま。片方の耳にだけ起こるケースがほとんどです。原因は解明されていませんが、内耳にとおっている血管は1本しかないため、ストレスなどで自律神経の交感神経が緊張し、血管が収縮することにより、音を感知する蝸牛(感覚細胞)に血流障害が起きるため、あるいはウイルス感染による神経の障害のため、などによるものではないかと考えられています。

 

突発性難聴も、早期発見、早期治療が重要です。難聴になってから1週間以上放置していると、聴力が戻りにくくなってしまいます。

 

 

急性低音障害感音型難聴

 

最近目立って増えている病気です。一部メニエール病とオーバーラップする新しいカテゴリーの病気ですが、ひどいめまいや、重い難聴はあまり起こりません。

 

病気の特徴は、耳閉塞感があり、声がこもるような感覚を覚えます。そして低周波の音だけが聞こえなくなるというのも特徴のひとつです。20?40歳代の女性に多い病気です。  比較的治りやすく、自然に治ることもありますが、再発することも多いので注意が必要です。また、メニエール病と同じように、ストレスや心身的疲労が引き金となっており、何回も発作をくり返すとメニエール病になっていくといわれています。

 

 

現在社会におけるストレスの加速

こうした病気は、最近のストレス社会においてどんどん増えてくる傾向にあるといえます。メニエール病、突発性難聴、急性低音障害感音型難聴ともども、ストレスをためないことや睡眠をよくとることなどが重要です。積極的に生活環境を変えていくことも、自分でできるケアとして行ってみるべきです。

 

病院における治療法としては、メニエール病で激しいめまいなどの発作が起きているときには「抗めまい剤」を注射、または点滴します。発作が起きていないときには、発作を予防するために、利尿剤やステロイド剤などを用いた薬物療法を行うほか、心理療法士などによるストレス対策が必要なこともあります。

 

薬物療法を行っても発作がたびたび起こったり、症状が改善されない場合には手術を行うこともありますが、手術後も難聴が残る可能性はあります。

 

突発性難聴は、まず安静を保ち、次に薬物療法を行います。急性低音障害感音型難聴の場合も、基本的には安静を保ち、薬物療法やストレス対策を行います。

 

自分でできる予防法としては、ある程度症状が治まった後も予防的に薬を継続して飲んでみる、調子が悪くなったときのために薬をストックしておくことなどにより、再発をくり返さないようにしましょう。

 

これらの病気は、簡単に気づきそうですが、片耳難聴の場合、もう一方の耳で聞いていることから、放置してしまうことも多いものです。どんな病気もそうですが、特にこれらの難聴の場合、早期発見・早期治療が大切。ちょっとした異変に気づいたら、一刻も早く、病院へと急ぎましょう。