寒い冬が過ぎ、気持ちのよい風が吹く春が到来したことで、多くの方がスポーツに取り組み始めているのではないでしょうか?

 

スポーツは体にとっても心にとっても非常に重要なものですので、どんどん積極的に行うのをお勧めしています。ただし、過度な運動による疲労骨折や炎症には注意しなければいけません。

 

 

スポーツ障害に注意して

 

スポーツ障害とは、走る、投げる、打つ、などのその競技特有の動作のくり返しによって、特定の筋肉や関節に負担がかかることによっておこる障害をいいます。

 

今までにも楽しんできたスポーツなのになぜ突然痛みが? と思うかもしれません。しかしこれらはひそかに進行していたものであることが多く、痛みとして現れる以前から、違和感があったり、重圧感や軽い痛みがあったはずです。

 

これらのサインを見逃さずに、運動量を見直したり、休んだりすれば、重大な障害につながらずにすんだかもしれません。

 

筋肉や関節にかかる負担はスポーツの種類によってさまざまです。また、個人の運動能力、技術によっても変わってくるものですから、何よりも自分のコンディションを見極めることが重要です。

 

 

注意すべきスポーツ

 

スポーツ障害をおこしやすいスポーツには次のものがあります。主に、テニス、ゴルフ、短・長距離走など、同じ筋肉や骨に負担がかかりやすいスポーツはスポーツ障害をおこしやすい傾向にあります。

 

●テニス肘(上腕骨内上顆(か)炎)

スポーツ障害のなかでも高い頻度でみられ、大半は利き腕の肘の外側におこるものです。手関節の背屈や指を伸ばすときに働く筋肉の付着部での炎症が原因といわれています。最初はバックハンドでボールを打つときの痛みから始まり、徐々に全ストローク中に痛みが出て、日常生活にも支障をきたすことがあります。

 

●ゴルフ肘(上腕骨内上顆(か)炎)

両手を体の前に置き、手のひらを前に向けて肘の内側をみてください。小指側の肘にちょっと出っ張ったところがあります。ここは物を持ったり、指を曲げたり、手首を使ったりするときに働く筋肉が、腱となって上腕骨につながっているところです。また、肘の横方向への安定性を高める、内側側副靭帯の付着部でもあります。ここが炎症をおこすと、インパクトの瞬間に激痛が走ります。

ゴルフクラブの端のほうを持ってリードする手(多くの人は利き手である左手)に痛みが出やすく、ダフったりすると、肘のみならず、手首にも痛みが出てきます。

このようなテニス肘、ゴルフ肘と呼ばれる傷害の予防には、正しいフォームの練習による合理的なスイングやストロークのマスター、筋力の強化、運動前後の十分なストレッチング、そして痛みを感じたら無理をせず、運動後の安静やアイシングなどが必要です。市販のテニス肘用のサポーターの使用も効果的です。

 

●ランナー膝

一口にランナー膝といっても、その原因は多様であり、痛みの出る場所、性質もさまざまです。ランニングはジャンプと着地のくり返しであり、膝関節、下腿骨、足関節やそれを支える靭帯、筋肉に絶え間なく負荷がかかる運動です。

膝関節の軟骨面の変性(老化)にともなう変形性膝関節症、筋肉と骨の付着部での炎症による腸脛靭帯炎や膝蓋靭帯炎、また下腿骨の疲労に伴う脛骨過労性骨膜炎、脛骨疲労骨折など、いずれもくり返される衝撃の蓄積による障害といえます。

このような障害の予防にはまず適切なフォーム、練習量の調整に加え、各自に合った靴、とくに衝撃吸収性の良いものの選択が重要です。もちろん運動前の十分なウォームアップ、運動後のストレッチングも欠かせません。また、X脚やO脚がある人では、ひざの外側や内側に体重の負荷が集中しがちなため、専用のインソールなどを使用するのもよいでしょう。

 

そのほか、野球やサッカー、バスケットボール、バレーボール、バトミントンなどもスポーツ障害をおこしやすく、過度に運動することが原因ですので、技能向上のために必死に頑張るという気持ちも分かりますが、違和感を感じたら休息をとってください。休息による体調管理も立派な運動であり、休息なくして技能向上は見込めません。

 

 

準備なしは無謀!

 

ふだん動かない人が、急に運動をしてけがをする、というケースはめずらしくありません。きちんと準備運動さえしていれば、防げるけがも少なくないのです。けがで多いのは、走ることでおこる、足首のねんざ、ふくらはぎや太ももの肉ばなれ、アキレス腱断裂などですが、ほかにも突き指や腰痛などいろいろです。

 

けが予防の準備運動として、ぜひ行いたいのが筋肉を柔軟にするストレッチング。ただし、正しく行えば効果大ですが、誤ったやり方だと効果がないばかりか、逆に筋肉を傷めることもあるので要注意。

 

また、昔はスポーツ選手。体力に自信ありという人がいますが、過信はとても危険です。鍛え上げたスポーツ選手でも、3カ月ほど運動から遠ざかれば、筋肉はすっかり元に戻り、”タダの人”になってしまいます。

 

準備運動をおざなりにしたり、競技で無理をするのは禁物です。万が一、運動中に足をひねったりしたら、すぐに冷やす、圧迫するなど適切な手当てをすることが大切。手当て次第で、痛みや腫れを最小限におさえ、早く治すことができるのです。

 

● 行う競技を事前にやっておく

短距離走に臨むのなら、競技の前に五〜八分の力で走っておく、ソフトボールであれば、キャッチボールや素振りを必ず行うなど、実際に行うスポーツを事前にやって、動きにからだを慣らしておくのも、けが防止のための重要なウォーミングアップです

 

● 受診はあわてなくてもよい

ねんざや肉離れが疑われるときは、痛みが強くなければ受診は2〜3日後でもかまいません。ただ、「軽いから」と放置すると、癖になったりすることがありますから、一度、整形外科で診断・処置を受けましょう。痛みが強いときや、骨や関節に明らかな変形があるとき(骨折や脱臼の可能性大)、気持ちが悪い、顔色が悪いなどの症状があったら(骨折の可能性あり)すみやかに受診しましょう。

 

●ケガ予防のストレッチ

けが予防のために、最低3日前から筋肉や関節に柔軟性をもたせるストレッチングを行いましょう。運動で使用する筋肉を伸ばします。ここでは走るときに、最低限、行いたいストレッチングを紹介します。

ふくらはぎ〜アキレス腱

かかとを床につけたまま、ふくらはぎを伸ばす。

太もも〜ひざの裏側

脚を腰くらいの高さに上げ、頭をひざにつけるように上体を倒す。

太ももの前側〜ひざ

かかとをおしりにつけるように引っぱる。

 

 

ケガをした場合の手当

 

手当ての基本はI・C・E

 

運動中、足首をひねるなどのけがをしたら、競技を中断し、適切な手当てを。基本は、冷やす(Ice)、圧迫する(Compression)、高く上げる(Elevation)の3つ。頭文字をとって「ICE」、または最初に休養(Rest)のRをつけて「RICE」と呼ばれています。

 

● 冷やす

けが直後から冷やすと内出血や腫れの予防になる。ビニールに氷水を入れて患部にあてたり、冷却湿布剤を貼る、氷水を入れたバケツに患部を浸してもよい。目安は20〜30分。

 

●圧迫する

患部を固定し安静を保つため、包帯やテーピングを巻く。腫れを防ぐ効果もあるが、きつすぎると血行を悪くするので軽く巻く。

 

●高く上げる

患部を高く上げると、血液やリンパ液が流れやすくなり、腫れも引きやすくなる。

 

 

早めに整形外科を受診しよう

 

毎日トレーニングを積み重ねているスポーツ選手と違い、週末に運動を楽しむ程度の私たちにとって、スポーツ障害の発見は遅れがちです。また、日常生活や仕事上での負担がかかっていたところに、運動をすることによって痛みが生じることも考えられます。

 

「どうも最近、運動中に痛みが出る」「運動後の痛みがなかなか直らない」……そんなときには要注意。少し安静にして、痛んだ関節を休めてあげてください。それでも痛みが引かないときは、専門の先生に相談しましょう。