腸で栄養を吸収して便として排泄される体の仕組み。どのような過程を経て便が形成されるのか、実は胃→腸→肛門へと移行する際に、さまざまな過程を経て便が形成されています。

 

人間の体の仕組みを知るということは非常に大切であり、排便の仕組み・メカニズムを知れば、便秘や下痢の対策にも一役買うこと間違いありません。この機会にぜひ排便の仕組み・メカニズムを学んでください。

 

 

「口」の役割

 

「口」で食物を「噛む」ということが、消化の始まりです。食吻を噛み砕き、唾液と混ぜ合わせるて、飲み込みやすいようにします。「噛む」という行為は消化を助けるだけでなく、唾液により食物のかすを押し出し、口の中をきれいにしてくれます。また、噛むことで自然と満腹感が得られるため、食べ過ぎがなくなります。

 

よく噛むと、口の中で多くの消化酵素が出るため、食物を消化しやすく、栄養の吸収を助けます。よく咀嚼された食物は、胃腸の消化にも良い影響を与えます。

 

 

「胃」で行われる消化

 

食物が腸でしっかりと消化・吸収されるようにするための準備的な消化を担当するのが「胃」です。かみ砕かれ、唾液と混ざった食べ物に胃液を加えて混ぜ合わせて貯めておき、腸での消化の進み具合に合わせて送り出します。強い蠕動運動により食物はかゆ状になります。

 

肉類などのタンパク質の消化を主に行い、だいたい4~6時間で「十二指腸」という小腸の入り口に運ばれていきます。強い胃酸で、細菌を死滅させ、腐敗も防ぎます。胃には、吸収作用はほとんどありません。

 

 

本格的消化の始め「十二指腸」

 

胃の中でおかゆ状態にまで消化が進んだ食べ物は、「十二指腸」へと送られます。長さが25~30センチくらいのほぼ均一な太さの管で、消化についてとても大切な働きを担っています。

 

十二指腸では、膵臓(すいぞう)、胆嚢(たんのう)などから消化液が出て、胃液で強い酸性状態にあった消化物を弱いアルカリ性の状態にします。これによって様々な消化酵素が働きやすいようになります。そしてこれらの作用で、タンパク質、炭水化物が分解され、脂質の分解も始まります。さらに蠕動運動も加わって、おかゆ状態だった食べ物は、さらに細かく砕かれて「空腸」へと運ばれます。

 

 

「小腸」で最後の消化

 

小腸の入り口である十二指腸で本格的に消化を始めた食べ物は、蠕動運動によって空腸へ送られてきます。そして消化液や膵液、胆汁などでさらに細かくされてゆっくりと回腸へと送られていきます。この空腸と回腸は長さが約5~6メートルほどあり、空腸の方が回腸よりも太くなっています。上位6割程を空腸、下位4割程を回腸といいますが、明確な区別はありません。

 

たんぱく質はアミノ酸に、脂肪は脂肪酸とグリセリンに、炭水化物はぶどう糖や果糖などの単糖類にまで分解されて、腸の壁にびっしりと生えそろっている絨毛(じゅうもう)と呼ばれる突起表面の吸収上皮組織から吸収されて血液によって運ばれていきます。

 

小腸は、消化の最終段階を行う消化器系の主役で、全体の約90パーセントを受け持ち、大腸へ送られるのはそのほとんどが残った水分と、消化できない残渣(残りかす)です。

 

 

胃・大腸反射

 

胃の中に食物が入ってふくらむと、胃から大腸に信号が送られ、次の消化物を受け入れるために反射的に収縮運動し、便を直腸へと送り出す行動を起こします。これを胃・大腸反射と呼びます。

 

朝これが一番強く起こる理由は、胃が空っぽの状態である事と、就寝時は体全体の機能も活発ではないので、大腸の運動自体も緩やかになっているからです。この状態で朝食を摂ると、急にお腹に食べ物が入ってくるので胃が驚いたような形になり、これがより強い刺激を大腸に送る事になります。

 

 

「大腸」で消化の後処理

 

大腸は、大きく盲腸、結腸、直腸の3つの部分からなる1.5メートルほどの消化器で、主な働きは水分の吸収です。大腸へ送られてきた、始めドロドロ状態の食物は、大腸内を移動する間に水分吸収が進み、下行結腸へ到達する頃にはほぼ固形状になり、排便を待つ事になります。これによって、食べた食物の最終形態となる便になりました。

 

これが、何らかの原因で、水分の吸収が進まないときには便が下痢状になり、腸内に長くとどまりすぎて水分が吸収されすぎてしまうと硬い便になり、便秘となってしまいます。前半部分で水分やミネラル分を吸収し、後半にかけては、大腸に住み着いている様々な細菌によって作られたり、小腸で吸収しなかった栄養分の吸収を行います。ただしこの栄養分の吸収はごくわずかです。

 

 

「直腸・肛門」

 

直腸はS状結腸から肛門までの約15センチ程で、大腸の終わりに位置し、送られてきた便を一時的に貯めておくところで、食べたものを消化したり、栄養を吸収したりする働きはありません。

 

直腸は、普通空になっています。便は下行結腸に留まり、いっぱいになると直腸まで降りてきて便意が起こります。便意と同時に、結腸にも信号が送られて「直腸・結腸反射」が起こり、活発な運動を開始して、直腸へさらに送り込もうとします。

 

排便は肛門の括約筋の働きによって起こります。この肛門括約筋には内肛門括約筋と外肛門括約筋があり、内肛門括約筋は自律神経の働きで自動的に伸縮しますが、外肛門括約筋は運動神経の働きによって自分の意志で緩めたり締めたりが出来ます。このおかげで、便意を我慢することも出来るのです。

 

 

便秘や下痢予防、腸にやさしい食生活

 

このように、さまざまな過程を経て便が形成されて最終的に体外に排泄されますが、便秘や下痢を予防するためには、腸に優しい食生活を送ることが最大のポイントとなります。具体的には、「食事内容に気をつける」、「規則正しく食事をとる」、「腸内環境を整える」の3つを行うことで、便秘や下痢と無縁な生活を手に入れることができます。

 

食事内容に気をつける

偏った食生活は、腸内の環境を悪化させ、トラブルを起こしやすくします。まずは、栄養バランスのとれた食事を心がけましょう。ファストフードや出来合いのお弁当などが中心の生活だと、どうしても脂質や炭水化物が多くなりがちです。野菜や海藻類、豆類を使った副菜を取り入れたりして、栄養バランスを整えましょう。

 

また、「暴飲暴食」「香辛料やアルコール、脂質のとり過ぎ」にも気をつけます。食物繊維をとることも大切です。食物繊維には便を形づくり適度な軟らかさを与える働きと、腸を刺激して便を出しやすくするという働きがあります。現在、日本人の1日の食物繊維の摂取量の平均は、必要な摂取量を下回っています。意識してとるようにしましょう。

 

さらに、「水分摂取」が不十分だと、便の水分が減ってきて排せつしにくくなるので、適度な水分摂取を心がけます。特に汗をたくさんかいたときなどは、こまめに水分を補給してください。

 

規則正しく食事をとる

規則正しく食事をとると、腸も規則正しく働くことができます。特に、朝食を抜くと、大腸の運動を促す「胃・大腸反射」が起こりにくくなるといわれます。また、1日に何回も間食したり、無理なダイエットをすることも、腸には好ましくありません。1日3食、決まった時間に食事をする習慣をつけましょう。

 

腸内環境を整える

人間の腸にすみついている「腸内細菌」には、人の体によい影響を及ぼすいわゆる「善玉菌」と、悪い影響を及ぼす「悪玉菌」があります。さらに、抗菌薬の服用などで、いつもすみついている善玉菌と悪玉菌の両方が一気に減ったときに、急激に増えてトラブルを起こす「日和見(ひよりみ)菌」もあります。

 

善玉菌と悪玉菌は、食生活や健康状態によってその数が増減します。腸内環境を健康に保つためには、善玉菌と悪玉菌のバランスがとれていることが大切です。そのためには、善玉菌である「ビフィズス菌」などの乳酸菌や「プロバイオティクス」を含む食品をとることをお勧めします。

 

 

まとめ

 

飲食物を口から摂取し、胃→腸→肛門という過程を経て体外に便が排泄され、これは人間を含む動物すべて(例外あり)に当てはまるものです。この過程の中で、何かしらの異常が起これば便秘や下痢が起こり、腹痛や倦怠感の原因となります。

 

便秘や下痢を改善するためには、原因の大部分を占める腸での働きを正常にすることがポイントとなり、それは食生活が大きく関係していますので、腸に優しい食生活を心がけ、便秘や下痢と無縁な生活を手に入れてくださいね。