生理不順や生理痛がひどい場合の多くは、女性ホルモンが関係しています。ホルモンバランスが全体的に崩れたり、ある特定のホルモンが過剰に分泌されるなどで、このような症状が発現します。

 

しかしながら、病気が潜んでいることも珍しくなく、子宮筋腫や子宮内膜症、乳がん・子宮頸がんなど、婦人病といわれる病気の多くが自覚症状が少ないために、発見が遅れることが多々あります。

 

婦人病の多くは生理と非常に強い関わりがありますので、生理不順が続いている場合や生理痛がひどい場合には、一度病院へ受診し、しっかりと検診を受けることを強くお勧めします。(関連:毎回続く生理痛「月経困難症」の発生機序・診断・治療などについて

 

 

婦人科検診の重要性

 

4人に1人が異常を発見

最近、婦人科検診(婦人科超音波検査)では、なんと4人に1人に子宮筋腫などの異常が発見されています。特に子宮筋腫は、40代で多く発見されており、自覚症状が顕著に出ないために、検診によってはじめて発見されるケースが非常に増えています。最悪の事態では手術が必要となるケースもあるほどです。

 

がん検診から2万人の発症者を発見

がんによる死亡者が総死亡者の約3割にもあたることから、厚生労働省は早期発見を促すために、若い方でもがん検診を受けることを強く推奨しています。これらのがん検診とは、乳、肺、子宮頚部と子宮体部、胃、大腸がんの5つの検診のことで、受診者およそ2300万人のうち、なんと2万人あまりのがん患者が発見されているのです。

 

子宮頸がん検診の有効性はダントツ

検診の有効性は、死亡率の減少で見ますが、「子宮頸がん検診」においてはダントツの80%程、次に大腸がん検診では60%程度の死亡率減少効果が証明されています。この原因は、治療の進歩と早期診断の進歩によるものと言われています。つまり、検診の重要性がここでもわかりますね。

 

子宮体がんも検診の有効性は大

子宮体がんの検査は、婦人科検診では行われませんが、40歳以上で症状がある場合のみ、無料で検査を受けることができます。この「子宮体がん検診」は症状が出てから受診する外来発見群に比べ、検診発見群での早期がん割合が多く、生存率が高いことも明らかになっています。

 

乳がん検診に有効なのはマンモグラフィー

乳がんの検査は、視触診、超音波検査、マンモグラフィーとありますが、有意義な死亡率減少効果は、触診法だけでは有効でなく、マンモグラフィー検査の検診への導入が検討されています。なお、乳がんの場合には自己検診で分かることもあります。詳しくは「自分で調べる乳がん検査|しこり・皮膚変化・分泌液で判断を」をお読みください。

 

手術にならないうちに検診を受けるのが吉

既に検診の有効性がはっきりと出ているので、法定検診が指定している年齢の30歳に達していない方、達してはいても受診されていない方にも是非、婦人科検診を自主的に受けられることをお勧めいたします。

 

 

婦人科検診を受けるには

 

婦人科検診の種類

「検診」と「健診」の違いをご存知ですか?「検診」は、がん検診のように初めから一部の臓器に対して異常の有無をチェックして正常か異常かの判断を下すことで、「健診」は健康状態全体の健康度を評価することを指します。国が法律で定めている「法定」か、個人の判断で自費で受ける「任意」か、という区別もあります。詳しくは下記をご覧下さい。

 

法定検診

事業所定期健康診断

日本では、従業員50人以上の事業所で働く人に対しては、労働安全衛生法に基づいて、事業者に義務づけられている年1回の健康診断があります。働く人の健康状態を継続的に把握し、生活習慣病(成人病)を予防することを目的としたもので、女性のみを対象とした子宮がん検査や乳がん検査は必ずしも含まれるとは限りません。

 

老人保健、住民健診

市区町村では、老人保健法により老人保健や住民健診が義務付けられています。保健所など公的施設だけでなく、市区町村から委託されたクリニックでも検診は受けられますが、自分の住所と異なる場所での受診はできません。がん検診では、胃、大腸、肺、子宮、乳房のがんの一次検査が対象になります。これには年齢の制限があり、子宮頚がんと乳がんの検査は30歳以上、子宮体がんの検査は40歳以上の女性が対象となります。

 

任意検診

人間ドッグ、自動化総合健診(健診センターなど)

健診センターや総合病院、クリニックなどで個人の判断で受ける総合的な自費検査と健康指導を指します。企業によっては、健康保険組合の予算で従業員やその配偶者にこれを受けさせるところもあります。自費で受ける検査には、成人病以外にも、性感染症検査やMRIなどの画像診断検査など、受ける施設によって様々なコースが用意されています。

 

婦人科検診を選ぶポイント

法定健診の場合、会社や市区町村が準備したプログラムに従って受ければ、自分で払う費用はかかりません。ただし、この場合は自分の受けたい検査、特に婦人科系の検査は含まれていない場合もあります。含まれていたとしても、特に乳がん検査は触診のみのところが多く、さらに精度の高い検査を望む方にはこれだけでは不十分と言えます。

任意の場合は自費診療なので費用は全額個人が負担(ここで異常があって二次検査に進んだ場合、それ以降は保険診療)しますが、自分の望む検査を自分の希望する施設で受けられることがメリットです。

「設備の充実したところで受けたい」「女性限定のレディス検診日に受けたい」など、希望がはっきりある場合は、こちらのほうが満足度は高いでしょう。いずれにしても、検査項目やその内容を事前に調べ、自分にあった検診を選ぶことが、後々の安心感につながります。

 

検診前の注意事項

問診票をすべて記入しましょう。最近変わったことがあれば遠慮なく申し出ましょう。月経中の方は正確な検査ができませんので、日を改めるか、検査施設にお問い合わせください。

入浴は、検査に問題ありませんので検査前・後ともご自由で結構です。婦人科の検診を受ける際、スカートの方が診察はスムースです。できればスカートで受診しましょう。 痛みはありませんが、緊張し力が入るとかえって痛みを伴うことがあります。リラックスしましょう。超音波検査を行うことがあります。事前にトイレは済ませましょう。

 

 

婦人科検診を受けた後に

 

検診後の注意点

数日のあいだ少量の出血を伴う事があります。心配ありませんのでしばらく様子を見ましょう。量が多いときは相談してください。

 

結果が出るまで

検査結果が出るまで、企業など団体で受ける場合は全員分をまとめるため長くかかることが多いですが、通常は約一週間ほどです。 結果の通知方法は、再度訪問して結果を聞く場合と、書面で郵送する場合の2パターンがあります。再訪問を選んだ場合、結果を確認しに行くのを忘れてしまうケースが意外と多いので、結果は必ず確認しましょう。

 

結果の見方

●細胞診(がん)

クラス1(陰性) ー正常
クラス2(陰性)ー 炎症はあるが正常細胞
クラス3a(偽陽性)ー 軽度~中度の異形成細胞がある
クラス3b(偽陽性) ー高度の異形成細胞がある
クラス4(陽性) ー上皮内がんを想定する
クラス5(陽性) ー浸透がんを想定する
診断の結果クラス3a以上の場合は精密検査を行います。

 

●超音波検査

子宮および卵巣を検査します。子宮筋腫など子宮の良性の異常はほぼ診断可能です。卵巣の場合、排卵期(月経開始から2週目頃)では卵胞という直径2cmほどの円状の陰影が認められます。これは正常ですのでご心配ありません。子宮筋腫の場合1cmほどの小さな筋腫でも発見可能です。小さく症状がない場合はすぐに治療せず、経過を観察します。

 

●触診

触診の場合、しこりなどの異常が認められなければ、おおきな心配はありません。ただし、触診では小さなもの(1cm以下)では診断できないことがあります。心配な方はマンモグラフィーという乳房専用のレントゲン検査をお勧めします。

市区町村によっては乳癌(1次)検診にマンモグラフィーを取り入れているところもあります。一般にマンモグラフィーのほうが診断率は良いとされていますが、コストがかかること、検査施設数が十分でないことレントゲン写真の読映に技術がいることなどの理由で一部の地域に限られています。

 

二次検査

健診で何か異常が見つかって、さらに精密な検査が必要と医師が判断した場合、二次検査に進みます。健診センターでは、そこから先の精密検査・診療は行えないため、専門医に紹介状を書いてもらうことになります。総合病院やクリニックは、その症状の内容や程度により、そこで検査・診療を行う場合と、専門医を紹介する場合があります。どちらの場合でも、二次検査以降の検査・診療は全て保険適応になります。

 

検診の頻度

特に医師の指示がない場合は、一年に一回の検査で問題ありません。