子供の鼠径ヘルニアは早めに手術した方が良く、放置すると様々な弊害が起きる可能性があります。もちろん、何の弊害もなく自然治癒する子もいます。

 

しかしながら、大事に至ってからでは遅く、進行すると手術は困難になるばかりです。現代の先進医療では、鼠径ヘルニアの手術は容易なものであり、日帰りで退院できることもあるため、少しでも早く医師に相談し、必要あれば手術を受けるようにしてください。

 

 

 

足の付け根から内臓がとびだす病気

 

鼠径ヘルニアとは、おなかの中の内臓(とくに腸)が下腹部の足のつけ根のそけい(鼠径)部という部位にとびだしてくる病気で、俗にいう脱腸です。

 

子供のヘルニアは、胎児のときのそけい部にある腹膜鞘状突起(ふくまくしょうじょうとっき)という袋が閉じきらずに生まれてきたことが原因となります。

 

新生児から3歳くらいまでに多く、男の子のほうが女の子の4倍以上も多く見られます。また、右側におきることが多いのですが、もちろん左側や両側に見られることもあります。

 

ふつう、鼠径部あるいはそけい部から陰嚢にかけて、やわらかいふくらみが見られることで発見されます。入浴時や泣いたとき、立ち上がったときなど腹圧がかかったときにだけふくらむこともあります。

 

ヘルニアとしてでる臓器としては、小腸が多いのですが、女の子では、卵巣がでることもあり、豆のようなしこりとして、ふれることもあります。

 

鼠径ヘルニアに似た病気としては、そけい部から陰嚢部に水が溜まる陰嚢水腫があります。また、睾丸が陰嚢の中に固定されず、そけい部に溜まる停留睾丸という疾患では、睾丸が鼠径部のしこりとしてふれます。

 

 

なるべく早めに手術した方が良い

 

乳児のヘルニアは自然治癒することもありますが、ほとんどの場合で手術をしたほうがよいと考えられます。それは、おなかの外にでた腸が戻らなくなることがあるためで、こういう状態を嵌頓(かんとん)ヘルニアと呼びます。

 

嵌頓ヘルニアでは、脱出した腸が脱出部(ヘルニア門といいます)でしめつけられるために腸閉塞(ちょうへいそく)になり、腸管の血行が著しく悪くなった場合には、腸が破れて非常に危険な状態になります。

 

また、女の子では、脱出した卵巣が壊死に陥る危険もあるので、ヘルニアと診断されたら手術を受けることをおすすめします。

 

 

日帰りで手術できる病院もある

 

鼠径ヘルニアは小児外科で扱う病気のうちでもっとも多いものです。子供のヘルニアの手術は、下腹部のヘルニアのでているところを1~2cmほど切って、ヘルニアの袋を取りだしその根元を縛るもので、専門医にとっては比較的容易な手術です。

 

しかし、手術は、ヘルニアの袋に接して存在する睾丸を養う血管や、将来精子を運ぶ精管を傷つけますと睾丸が萎縮し発育が不良になったり、将来不妊になる恐れがあったり、決して簡単ではありません。したがって、小児外科専門医のいる病院で受けたほうがよいでしょう。

 

小児の場合、ほとんどが全身麻酔で行われ、手術時間は片側で、15~30分くらいです。入院期間は2~3日くらいが標準的ですが、一部の小児病院では日帰り手術も行われています。もちろん健康保険も適用されます。

 

手術後は、生活の制限はほとんどありませんが、しばらくは激しい運動は避けるほうがよいでしょう。最近は、手術に関する危険性はほとんどないといってよい状況ですので、そけいヘルニアの疑いがある場合には、できるだけ早めに小児科医あるいは小児外科医に相談することをおすすめします。