肥満だからダイエット……多くの肥満者は何回ものダイエットにチャレンジしてきたはずです。にもかかわらず、いまだに太っているとすれば、そのすべてのダイエット法が間違っていたことになります。

 

そして、肥満から肥満症になってしまったとき、医学的にはいったいどんな治療をしてダイエットに成功をもたらすのでしょうか。まずは内科的にみてみましょう。

 

 

リバウンド後は脂肪だらけの身体に

 

「またダイエットに失敗しちゃった」……と苦笑していませんか。実は苦笑して済ませられるような問題ではありません。なぜならばダイエットを始め、体重が減少するときには筋肉も同時に落ちてしまうので、その減量したなかには筋肉の重量も含まれています。

 

ところが減量に失敗して元の体重に戻ってしまったときには、筋肉は戻ってきませんから、体重は元と同じでも、その中身はまったく違って脂肪量がぐんと多くなっています。

 

しかも、筋肉というエネルギーの大食らいが減ってしまったということは、基礎代謝量(快適環境温度のもと、肉体的にも精神的にも安静状態にして、食後12〜15時間経過して消化・吸収作用も終了し、目がさめた状態で横になっているときに消費するエネルギー量)も少なくてよいことになり、これまでと同じようにエネルギーを摂取すれば、多過ぎることになってしまいます。

 

余った分は脂肪蓄積へ。当然、さらに肥満に拍車をかけることになります。ですから、何回もダイエットを繰り返し、何回も失敗を繰り返していると、次第に体は脂肪だらけになり、太りやすい体になってしまうのです。失敗しちゃった、などと笑って過ごせる状態ではありません。

 

 

肥満治療は自分の意思決定でしかない

 

それでは、ダイエットに成功するためにはいったいどうしたらよいのでしょうか。もともとなぜ太るのかについては、遺伝や体質、生活環境など、個人差に基づくものですから、すべての人を成功に導く共通のダイエット法などないのです。

 

したがってダイエットのまず第一は、自分の肥満の原因を正しく知り、その原因に対処する方法でなければなりません。

 

自分個人用のダイエット法でなければ、成功はあり得ないのです。一時的に成功したかのように見えても、またいずれかならず肥満に戻ってしまいます。巷のダイエット法に失敗したのは、ただお仕着せのダイエット法をむやみに信じて行ったからであり、そのダイエット法がその人の生活習慣のなかに溶け込まなかったから。

 

現代医療における肥満治療だからといって特別なことを行うわけではありません。合併症の治療のために、なんとしても急激にやせなければならない場合には、入院管理のもとに超低カロリー食などによる治療を行いますが、それほど急を要さない場合にはじっくりとその人に向かい合い、どうしたらやせるのか、について考え、無理なく生活習慣のなかに組み入れていきます。

 

自分が太った原因を自分で見出し、検証することによって排除していきます。ここでの医師はアドバイザーであり、カウンセラーでしかありません。何をどのように考えて選ぶかは、その人自身。自分の意思によって、自分で生活環境を整えないと、治療が終わった時点でまた元の道へ逆戻りしてしまうからです。

 

 

様々な要素を分析・検討する

 

巷でのダイエット法とは“がまんして”行うものばかりです。食べることをがまんしたり、がまんして運動したり、がまんして嫌なものを飲んだり食べたりなど。しかし、がまんには限界があります。

 

がまんしたまま一生を過ごせるわけではありませんから、かならず終わりがきます。終わりがきたときには、ダイエットも終わりです。したがって、このがまんすることをやめて、がまんしないでやせることを考えていきます。

 

詳細な食事メモをつける

まず、食べることへのがまんです。やせようと思っているのですから、多少、節食しなければならないことはわかります。でも、その節食をどこでどのように行うかが問題。それを見出すために、まず、毎日食べたものを全部メモします。何を、何時に、どのくらい食べたか、を毎日きちんとメモします。

 

生活行動をメモする

ついでに、毎日の生活行動もメモしておきます。何時に、どこで、何をしたかなどもメモしておきます。何も考えずに、この作業を1カ月続けます。1カ月分のメモがたまったら、そこから分析を始めます。食べたもののメモと行動メモを合わせて、じっくり分析してください。

間食が多くないか、イライラしたあとに食べる習慣がないか、運動が少な過ぎないか、など問題点を探していきます。その問題点について検討して改善法を自分で選択していきます。がまんしたり、無理することなく、やれる範囲でやることが大事です。

 

体重、体脂肪の折れ線グラフをつくる

この食事メモと日常行動メモと同時でもかまいませんが、1カ月遅れからでもかまわないので、体重測定をしてください。ついでに体脂肪も測れればなおよいでしょう。 測る時間は、朝起きてトイレに行った直後、朝食を食べた後、夕食を食べる前、寝る前の4回。4回が無理ならば、朝起きたときと寝る前など、決まった時間に測定し、折れ線グラフをつくります。

体重測定をしていると、食べると増え、食べないと減り、寝る前よりも翌朝起きたときには1キロ程度減っていることなどがわかります。食べ過ぎれば、翌朝の体重が前日の体重まで戻らなくなりますから、その日は食べることをちょっと控える、あるいは倍くらいの運動をするなどして微調整します。

 

このようにして、自分の肥満の原因を生活のなかから探し出し、できる範囲で改善していくと、次第に体重は減ってきます。特別にダイエットしなくても、こうした行動を行うだけでも体重は不思議と減っていきます。