何もしていないのに、急に片側の腕や足がむくむことがあります。このむくみは特に女性に多くみられるもので、ほとんどの場合は”リンパ浮腫”という病気が該当します。病気といっても、これは一つの症状であり、リンパ浮腫から重篤な病気に移行することはなく、リンパ浮腫そのものも自覚症状がないことや、生活に支障をきたさない場合が多いため、放っておいても問題はありません。

 

し かしながら、人におっては放置することで、むくみがだんだんひどくなり、生活に支障をきたすことがあります。そんな場合には、マッサージなどによってリン パ液の流れを良くしてあげることが必要です。ここでは、女性に多いリンパ浮腫の概要や原因、改善法などについてご説明します。

 

 

リンパ浮腫とは

 

リンパ浮腫とは、乳がんや子宮がんの術後などにみられることの多い、主に片側の腕や脚に生じるむくみです。多くの場合、色の変化や痛みはなく、ただ何となく腫れている状態が続きます。

 

本人が気になりさえしなければ生活にもあまり支障がないため、そのまま放置されることが多いのですが、症状がひどくなり、いよいよ手や脚が太くなってくると、本人にとっては重大な問題となってきます。急に真っ赤になって熱を出す(蜂窩織炎)こともあります。

 

リンパ浮腫はこれまで医師にもあまり馴染みがなく、それほど積極的には対応されてこなかったのが実情です。しかし最近では患者さんの間でも広く知られるようになり、患者さんの生活の質を低下させるものとして注目され、社会問題ともなりつつあります。

 

 

たんぱく成分や水分がむくみの原因

 

では、そもそもリンパ浮腫とはどうして起こるのでしょうか。人間の体には、血管のほかにリンパ管が張り巡らされています。通常、動脈を流れてきた血液は、末梢の毛細血管の動脈側から血管の外に出て、組織の細胞に取り込まれます。細胞で使われた後、水分は静脈に回収され、たんぱくなどの大きな物質(と少量の水分)はリンパ管に入り、それぞれ体幹部のほうへと流れていきます。

 

ところが、たんぱく成分がリンパ管にうまく流れていかなくなり、リンパ液の流れが滞ってしまった場合が問題です。組織の間にたんぱく成分や水分がたまり、むくみが生じます。これがリンパ浮腫の症状です。

 

リンパ浮腫の9割以上が、乳がんや子宮がん、卵巣がんなどの手術時にリンパ節(リンパ液の中の病原体や毒物、異物を排除する)を切除したことによって起こるもので、例えば乳がんの術後では手術した側の腕がむくみ、子宮がんや卵巣がんの術後では片方の脚だけにむくみが生じます。肥満がある人の場合は、両脚がむくむこともあります。

 

 

リンパ浮腫によるむくみの改善策

 

通常は、手術などによりリンパ管の一部が障害されても、なんとかリンパ液を流そうとして、体内では副行路(バイパス)が発達してきます。バイパスの働きが不十分だと、むくみがひどくなります。バイパスを含めたリンパ管を、いかに活発に働かせてリンパ液の滞りを改善することができるか、それがリンパ浮腫治療に取り組む上で大切なことです。

 

具体的には、腕や脚を上げたりマッサージをしたりして、たまったリンパ液を心臓方向へ流したり、圧の強い弾性ストッキングやスリーブを着用します。このような地道な努力でかなりむくみは改善できます。

 

マッサージは、むくみが現れている部分だけでなく、体全体に行いましょう。強くこすったりせず、心臓の方向へ軽くさするようにします。脚のむくみの場合は太ももの付け根を、腕のむくみの場合は脇の下を、それぞれ心臓へ向けてマッサージし、順次末端のマッサージに移っていきます。また、リンパ液の流れをよくするため、できるだけ体を動かすようにしましょう。立っているときに軽く足を動かしたり、手を上げてブラブラと動かすだけでも効果があります。眠るときは腕や両脚の下にクッション、枕などを置き、心臓よりも高く保ち、リンパ液が流れるようにします。

 

日常生活では肥満の予防も心がけましょう。脂肪がリンパ管を圧迫して、リンパ液の流れを悪くすることで、マッサージや弾性ストッキングなどの治療の効果が現れにくくなってしまうためです。また、わずかな細菌が体内に侵入しただけでも症状はすぐに悪化してしまうため、常に清潔を保つことや過労を避けることも大切です。リンパ浮腫の治療は、短時間で終わるものではありませんが、続けることでむくみのない腕や脚を維持することができます。焦らず、根気よく、治療に取り組んでいきましょう。

 

 

まとめ

 

リンパ浮腫は、たんぱく成分がリンパ管にうまく流れていかなくなってり、リンパ液の流れが滞った時に起こり、組織の間にたんぱく成分や水分が溜まることで、むくみとなって現れます。このむくみは、手術の後にみられることが多い症状ですが、日常生活において急に発現する場合も多々あります。ひどくなると熱を感じ、また痛みを感じることがありますので、体を動かしたり、マッサージによって改善を図りましょう。

 

なお、生理前に顔や手足などにむくみが生じる場合は、また別の原因となりますので、生理前のむくみに悩んでいる方は、「生理前に太る!?顔や手足の「むくみ」の原因と対策・解消法」をお読みください。