慢性腎炎は症状がかなり進まない限り、自覚症状がありません。健康診断の結果、尿たんぱくが多くなり、「要精検」になったとしても、体には何の変調も感じないため、放置してしまいがち。

 

そのうち、じわじわと進行し、ネフローゼ症候群が現れると、自覚症状も出てくるので、受診するようになりますが、そのときには、かなり悪くなっていると考えてください。慢性腎炎にかかったとしても、コントロール次第では健康な人と同様に生活することもできるのですから、ちょっとした兆候やたんぱく尿を見逃さないようにしましょう。

 

 

自分で尿チェックして変だと思ったら受診を

 

慢性腎炎の症状には、わずかに血尿とたんぱく尿はあっても、自覚症状がほとんどなく、腎臓機能も正常である「潜在型」と、明らかにたんぱく尿やむくみ、高血圧、血液中のたんぱくが低いなどの症状がある「ネフローゼ型」があります。

 

頻度としては、自覚症状のない「潜在型」が約65%を占めています。したがって、定期的に尿検査、血液検査をしていない人の場合、もしかしたら、今現在、慢性腎炎にかかっているかもしれません。自分の腎臓の状態を知るための尿チェック法を行ってください。自己チェックして、おかしいと思ったら、かならず検査を受けましょう。

 

尿の自己チェック

①尿量のチェック

健康な人の1日の尿量は約1.5リットルです。腎疾患があれば、尿量が極端に減ったり増えたりします。1日500ml/day未満以下は乏尿、2500ml/day以上は多尿。とくに夜間の尿量が増え、昼間はほとんど出ない場合には要注意。

 

②尿の回数のチェック

健康な人の1日の尿の回数は、昼間4~6回、夜1回あるかないか程度です。通常の回数からかなり増えるようなら病気を疑いましょう。

 

③尿の色チェック

尿の成分は、外界の条件や食べ物の質や量で変化するのが正常です。色の濃淡をチェックしましょう。

●無色
水分摂取が多いと無色になります。病的に尿量が多い場合も無色です。

●淡黄色・むぎわら色
健康な尿の色。食べ物によって若干変わります。

●黄褐色・褐色
発熱や疲労、脱水が続いたとき。肝臓、胆嚢系の病気がある場合にもおこります。

●暗赤色・鮮紅色
尿のなかに血液が混ざっているとき。腎臓の病気が考えられます。服用している薬でおこることもあります。

 

④尿の濁りチェック

多少の色が濃くても、濁りのない場合には腎疾患には関係のないことが多く、反対に薄くても排尿直後から濁っている場合には、腎臓の病気が考えられます。

 

⑤尿のにおいチェック 

健康な人の排尿直後の尿は、芳香性の匂いを放っていて、アンモニアくさくなるのはしばらくたってからのことです。アルコールや薬物を飲んだときの特有のにおいは心配ありません。腎臓病であっても、尿のにおいはほとんど変化しません。糖尿病の人の場合には甘いにおいがします。

 

 

生活習慣病と腎疾患の関係

 

腎機能が低下すると、血圧が高くなり、血液中の脂質も高くなります。高血圧や高コレステロール血症は、動脈硬化の最大のリスクファクター。腎臓のなかの微小血管に動脈硬化がおこると腎機能が低下し、腎不全がおこる危険性があります。

 

腎臓に疾患がおこり、腎機能が低下することによっても血圧は高くなり、血中の脂質も増えますから、この2つの生活習慣病と腎臓とは、密接につながっています。

 

また、糖尿病においては、糖尿病性腎症として3大合併症のひとつに数え上げられています。糖尿病が進行すると、腎臓のなかに血液をろ過する糸球体という細い血管のかたまりの働きが低下します。そのために尿のなかに体に必要なたんぱくが大量に出てしまいます。

 

また、余分な水分が排泄されなくなるため、体のなかの水分が増え過ぎ、むくみも現れます。血圧も上がるので動脈硬化も進み、さらに腎臓機能が低下し、ついには老廃物の排泄ができなくなると、尿毒症をおこすことになるため、人工透析が必要になります。

 

こうした生活習慣病のなかで、その患者人口がもっとも多いのが高血圧。しかも未治療の人が40歳代では70%、50歳代では50%にもおよびます。高血圧はすべての生活習慣病にかかわっており、その進行に拍車をかけます。腎臓への影響も非常に深刻であり、それらの予防と改善のためにも、塩分や脂質の摂取を制限し、積極的に運動を行うなどが必要になります。

 

 

腎機能の状態を反映するクレアチニン

 

最近、「筋肉の瞬発力を強化して競技力を向上できる」としてスポーツ選手に人気の高いサプリメントにもなっているクレアチン。クレアチンとは、肝臓で合成され、血中に入り、ほとんどが筋肉に入ります。そのため、摂取して運動すれば、筋肉量が増えますが、そのかわり摂取したまま運動しないと明らかに肥満になり、生体内で過剰に合成されると脂肪肝をおこします。

 

クレアチンはたんぱく分解によって可逆的にクレアチニンとなり、脱水によって生成されて血液中に出現、腎臓の糸球体でろ過され、ほとんど再吸収されることなく尿中に排泄されます。したがって、腎機能障害があると排泄されず、血液中にクレアチニン値が上昇します。

 

通常、血液中のクレアチン総量は、尿中クレアチニン総量と比例し、体重1キロ当たりの量はほぼ一定しており、食事や尿量にほとんど影響されません。したがって、その値の変動は、腎機能をよりよく反映するといえます。

 

正確に尿中クレアチニン濃度を計測するためには、1日の蓄尿より算出しますが、通常の生活をしながら1日蓄尿をすることはむずかしいため、起床後の第2回目の排尿から、24時間の尿中クレアチニン排泄量を予測します。

 

この値を用いることによって、尿中のナトリウム量やカリウム量が予測できるので、血圧を高くする要因となる塩分の取り過ぎやカリウムの摂取不足などを知ることができます。