出産後に起こりえる子宮下垂。これは放置しても問題ないのかですが、結論から先に言えば問題ありません。しかしながら、子宮脱、膀胱脱、直腸脱に移行することも頭の隅に置いておかなければいけません。

 

 

筋肉や靭帯の緩みが原因

 

子宮下垂とは、子宮を支えている組織や筋肉や靱帯(サスペンダーのようなもの)が緩んでくるために、子宮が膣のなかに下がってくる状態をいいます。

 

ひどくなると、膣の外まで子宮がでてきてしまう子宮脱や、膀胱や直腸までいっしょに下がってくる膀胱脱直腸脱にまで移行します。

 

この場合、筒状になっていた膣の壁は、子宮、膀胱、直腸に押しだされて反転して、これらを包むように脱出してきます。

 

出産の直後の子宮下垂は、胎児が産道を通過するときにまわりの組織が引き伸ばされて緩んだためにおこったもので、ほとんどが一時的なものです。

 

 

加齢による子宮下垂は戻らない

 

これに対して、加齢によって組織や靱帯が緩んでおこる子宮下垂や子宮脱は自然に戻ることはありません。50歳代以降に発生することが多いです。

 

トイレでいきんだり、歩いているときにでてくる、膣の外にでてきた子宮の入り口がこすれて気持ち悪い、立つと膣の壁が下がって引っ張られるような不快感がある、尿がすっきりでない、などの症状があります。

 

不快感が強い場合には、子宮、膀胱、直腸を押し上げて、膣の壁や靱帯などを縫い縮める手術をします。

 

膣の奥にペッサリー(リング状の固定器具)を入れて下がってくる子宮や膀胱の底を押さえるという方法もありますが、確実ではありません。また、薬で治すことはできません。

 

 

出産直後は力仕事を避けること

 

出産回数の多い人や力仕事をしていた人に多い病気なので、予防としては、重たいものを持たない、とくに出産直後の力仕事は避ける、便秘しない、多産をさける、つまり下腹部にいきみがかかるような動作を避けることです。

 

子宮下垂といわれた人は子宮脱にならないために、日常こういった注意をすることが必要です。

 

更年期からホルモン補充療法をつづけていると、組織の緊張を持続させることができるので、子宮脱の予防効果が期待できるともいわれていますが、はっきりしたことはわかっていません。

 

体質もありますので、あれこれ注意をしても完全に予防できるわけではありません。しかし、命にかかわる病気というわけではありませんし、いざというときは手術で治るのですから、あまり神経質に考えることはないでしょう。