新たな生命の誕生を”ゼロ”にしてしまうのは悲しいものですが、経済的な問題などを理由に、子供を産めないという人もいるかと思います。

 

すでに妊娠してしまった(受胎してしまった)場合には、流産させるしかありません。しかし、今では緊急的に避妊できる方法が確立してしますので、どうしても妊娠したくないという人は、以下にご紹介する方法で緊急的に回避するようにしてください。

 

 

緊急避妊の2つの方法

 

緊急避妊とは、避妊に失敗したりレイプされたなどの緊急事態のときに、性交後に妊娠を防ぐ方法です。緊急避妊には次の2つの方法があります。

 

●中用量ピルの服用

性交後72時間以内に緊急避妊に適した中用量ピルを2錠服用し、最初の服用から12時間後にさらに2錠を服用する。

 

●銅付加IUDの使用

性交後120時間(5日)以内に銅付加IUDを子宮内に挿入する。

 

 

中用量ピルについて

 

急激に黄体ホルモンの濃度を上げ、その後急激に下げることで子宮内膜を剥がして出血を促し、妊娠を回避する方法です。海外では緊急避妊専用に開発されたピルがあり、緊急避妊薬、緊急避妊ピル、モーニングアフターピルなどといいます。

 

しかし日本ではまだ認可されていないため、緊急避妊に適した中用量ピルを緊急避妊薬として代用します。このような方法を「ヤッペ法」といい、国際的にも行われています。

 

タイムリミットは性交から72時間以内です。また、72時間以内であっても早ければ早いほど効果は高く、できれば24時間以内がよいといわれています。一方で、120時間以内なら成功率は下がるけれどある程度の効果があるという報告もあります。

 

避妊に失敗してしまったら、まずは72時間以内に間に合うように、できるだけ早く病院に行きましょう。そして、もしも間に合わなくて、なおかつ銅付加IUDが使えない場合は、120時間以内なら諦めないで薬を処方してもらったほうがいいでしょう。短期間で多量のホルモンを摂取するため体に多少負担がかかります。あくまでも緊急用であり、日常の避妊には使えません。一般的な副作用は倦怠感、頭痛、吐き気などですが、個人差があります。

 

重大な副作用には血栓症がありますが、健康な女性なら可能性は低いです。ただし、体質や持病の関係でピルが服用できない、または慎重に服用する必要のある人はリスクが上がります。一方で、緊急避妊は一度に多量のホルモンを摂取するとはいえ、一時的な服用のため、ピル服用のリスクが高い人でも大丈夫な場合もあるかと思います。そのへんに関しては医師とよく相談してみてください。

 

費用は数千円〜数万円と病院によって幅がありますが、5000円〜1万円くらいが相場のようです。緊急避妊の存在を知らない医師や誤った服用指導をする医師もいるので注意が必要です。

 

万が一避妊に失敗することを想定して事前に処方してもらっておくのも一つの手です。特に盆暮れ正月やゴールデンウィークなど休みが続くときや旅行のときにはいいと思います。病院にもよるでしょうが、最初から「万が一のときのために処方してください」と言うよりは、「コンドームが破れてしまいました」とでも言ってしまったほうが無難かもしれませんね。

 

でも、そのことで油断するのは厳禁です。緊急避妊はあくまでも最終手段として、日頃から細心の注意で避妊してください。また、いざ失敗したときに薬が古くなっていたなんてことにならないように気をつけてください。薬は冷暗所に保管し、使用期限に注意しましょう。

 

実施に際する注意点

まず最初に、現時点ですでに妊娠していないか確かめます。すでに妊娠している場合は緊急避妊はできません。緊急避妊後、数日〜数週間で消退出血が来ます。消退出血とは、ピルによって人工的に来る生理のことです。3週間経っても消退出血が来なければ、妊娠検査薬を使ってみてください。緊急避妊をしてから消退出血が来るまでの間は、セックスは絶対にやめたほうがいいです。もし、消退出血を待っている期間のセックスで再びコンドームが破れるなど、避妊の失敗があると大変だからです。

 

服用後に嘔吐や激しい下痢が起こると、効果が薄れる可能性があります。(低用量ピルを通常の避妊で飲むときは、服用後4時間以内の嘔吐や激しい下痢で効果が薄れる可能性あり)緊急避妊は一度に多量のホルモンを摂取するため、副作用として吐き気を感じ、嘔吐してしまうかもしれません。

 

予防として吐き気止めの薬を併用するといいです。もし服用後に嘔吐や激しい下痢を起こしたら、場合によっては追加服用が必要かもしれません。処方してもらった医師に相談するか、以下の所に電話してみるといいでしょう。また、念のため、緊急避妊後は血栓症の初期症状に注意してください。

 

・血栓症の初期症状

下肢の疼痛・浮腫、突然の息切れ、胸痛、激しい頭痛、急性視力障害など

・血栓症のリスクが高まる状態

体を動かせない状態、顕著な血圧上昇がみられた場合など

 

 

ピル服用の規制

≪服用できない人≫

  • ピルの成分に対し過敏性素因のある人
  • エストロゲン依存性腫瘍(乳ガン、子宮体ガン、子宮筋腫など)・子宮頸ガン、またはその疑いのある人
  • 診断の確定していない異常性器出血のある人
  • 血栓性静脈炎、肺塞栓症、脳血管障害、冠動脈疾患またはその既往症のある人
  • 35歳以上で1日15本以上の喫煙者
  • 血栓性素因のある人
  • 抗リン脂質抗体症候群の人
  • 手術前4週間以内の人、術後2週間以内の人、産後4週間以内の人、長期安静状態の人
  • 重篤な肝障害のある人
  • 肝腫瘍のある人
  • 脂質代謝異常のある人
  • 高血圧の人(軽度の場合は除く)
  • 耳硬化症の人
  • 妊娠中の黄疸・持続性掻痒症・妊娠ヘルペスの既往歴がある人
  • 妊婦または妊娠している可能性のある人
  • 授乳中の人
  • 思春期前の女性

 

≪慎重に服用すべき人≫

  • 40歳以上の人
  • 乳ガンの家族歴をもつ人、乳房に結節のある人
  • 喫煙者
  • 肥満の人
  • 血栓症の家族歴をもつ人
  • 軽度の高血圧の人、妊娠中の高血圧の既往症をもつ人
  • 糖尿病の人、対糖能異常のある人
  • ポリフィン症の人
  • 肝障害のある人
  • 心疾患・腎疾患、またはその既往症のある人
  • てんかんの人
  • テタニーのある人

 

 

銅付加IUD(膣内挿入器具)について

 

IUDとは、子宮内に器具を挿入して避妊を行う方法のことです。タイムリミットは120時間以内です。中用ピルのタイムリミットが72時間ですので、この期間を過ぎてしまった場合に有効となります。

 

IUDを扱っているのは「母体保護法指定医」という表示のある病院です。費用は数万円かかります。IUDは基本的に経産婦向けです。未産婦は子宮口が堅いので、IUDの挿入が困難な場合があるのです。しかし、未産婦は絶対にIUDが使えないというわけではなく、実際に使っている人もいます。

 

IUDには閉鎖型と開放型があり、現在主流になっている開放型のほうが小さいので、未産婦が使うのであればこちらが奨められます。特に、99年に低用量ピルとともに認可された銅付加IUDは従来の開放型IUDよりもさらに小型になっています。そして、緊急避妊に適しているのはこの銅付加IUDです。

 

未産婦にIUDは使えないと言う医師と、使えるという医師がいます。緊急避妊で銅付加IUDを使用する際の最初の関門がこれでしょう。次に問題になるのが、銅付加IUDを緊急避妊に使えることを知らない医師がいるであろうということです。銅付加IUDを緊急避妊用として、未産婦にも提供してくれる医師を探すことが課題になります。

 

出産経験のある人なら問題は1つクリアなのですが…しかし、いずれにしても望まない妊娠をして中絶手術を受ける場合には、最初に子宮口を広げる処置を行い、子宮内に器具を入れることになります。それを考えれば通常の避妊としてはともかく、緊急避妊として未産婦に銅付加IUDが使えないとは言えないはずですが…

 

それでもやはり、出産経験のない人が子宮内に異物を挿入するのには抵抗感や恐怖感があるでしょうし、実際に挿入が困難で使用不可能な場合もあるかもしれません。ピルの服用に問題がなく、性交後72時間以内であれば中用量ピルでの緊急避妊のほうが無難でしょう。

 

実施に際する注意点

こちらも当然、すでに妊娠している場合は使用できません。事前に妊娠していないことを確認しましょう。ピル同様、IUDも健康状態によっては使えません。特に、性感染症には注意が必要です。最近は感染していても症状の出ないタイプが流行っています。性感染症にかかっている状態でIUDを挿入すると、感染が子宮の中まで広がる危険性があります。また、生理の血(経血)の量が多い月経過多の人も使用はできません。

 

IUD使用の規制

≪IUDを使えない人≫

  • 極端な子宮後屈症の人
  • 子宮頚管や膣に感染症のある人
  • 性感染症にかかっている人
  • 月経過多の人
  • 子宮口が子宮頸管弛緩や裂傷のために広がっている人
  • 子宮内膜炎や卵管炎、膣炎、子宮びらん症のある人
  • 子宮・性器などに変形・炎症のある人
  • 腰痛のある人
  • 妊娠中または妊娠の疑いのある人
  • 子宮ガン・卵巣ガンの疑いのある人
  • 子宮筋腫、子宮内膜症の疑いのある人

 

 

最適な緊急避妊法の選択

 

2つの緊急避妊法を比較して、どちらが自分に適しているか検討してみてください。どちらも使える、またはどちらかが使えるなら問題はありませんが、持病や体質の関係でどちらの方法も適さない場合もあるかと思います。例えば高血圧でクラミジアに感染しているなど…そんなときはとにかく医師に相談してみてください。

 

各個人にそれぞれの緊急避妊を施すことがどのくらいのリスクになるのか、実際に医師が診察してみないと確定的なことはわかりません。インターネットや電話帳をフル活用して、緊急避妊に理解のある医師を探しましょう。出産経験の有無が問題になることや、知らないうちに性感染症にかかっている危険性、費用のことなどを考えると、体質が許せば、まず最初は中用量ピルでの緊急避妊から検討したほうがいいかと思います。

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