普通の人であれば排尿に対する意志があるため、すぐに開始され、途絶えることなく勢いよく30秒以内に排尿が終了します。

 

排尿開始までに時間がかかる、または排尿時間が長いという場合を、”排尿困難”と言い、尿船の異常が原因となっています。

 

尿線の異常は、尿が弧状に連続的に放出されない状態を言い、二段排尿、尿線細小、尿線の分裂、尿線の中絶、放出力減退など、さまざまな原因が関係しており、尿道や前立腺、排尿における神経障害が大元の原因となっています。

 

 

尿道・膀胱や前立腺に起因する疾患

 

■前立腺肥大症

50才以上の老人男性の排尿困難では本症が最も多い。尿腺に勢いがない、夜尿に何回か起きるようになった方は、肥大症を疑ってみることが必要です。

診断、検査:

直腸診、尿検査、超音波、血液検査、尿路造影、内視鏡など。

 

治療:

薬物療法(残尿が少ない場合):排尿改善剤(ハルナール、エビプロスタット、セルニルトン、ミニプレス、漢方など)、前立腺を縮小させる目的でプロスタール、パーセリンなどが一般的です。

 

手術:

薬物療法が効果なく残尿が多かったり、尿閉(尿が出せくなった場合)を来した 場合内視鏡による経尿道的前立腺手術(TUR)、経尿道的レーザー前立腺切除術が一般的。開復である前立腺被膜下摘出術も行われます。

保存的治療になりますが、経尿道的前立腺高温度治療が 肉体的には侵襲が少なく、これは外来治療も可能。いずれの手術が選択されるかは、患者さん個々の条件にもよる。

 

医療費:

初診 500〜10,000円。手術 70,000〜100,000円程度

 

■前立腺炎

若い年代からも見られます。

急性前立腺炎:

突然会陰部痛、排尿痛、悪寒、発熱、頻尿から尿閉に至ることがあります。

 

慢性前立腺炎:

比較的長く続く会陰部痛、残尿感、頻尿などの症状があります。

 

診断:

直腸診、検尿、前立腺按摩、超音波、血液検査、尿路造影など

 

治療:

急性と慢性では大きな違いがあります。急性では、安静の上(場合によっては入院)、抗生物質などの化学療法。尿閉ではカテーテル留置も必要となります。。慢性前立腺炎は治療に比較的長期間を要することが多く、医師の指示に従い定期的な外来通院が必要です。

 

医療費:

初診500〜10,000円程度。

 

■前立腺ガン

近年日本の男性にも増加してます。老人男性、排尿困難や排尿障害は割と少ないことが多いので、検診などによる早期発見がのぞまれます。

 

■尿道・膀胱周辺疾患

尿道狭窄、膀胱頸部硬化症、膀胱結石、尿道結石、尿道の腫瘍、膀胱頸部の腫瘍、膀胱後部腫瘍など多くの疾患が排尿困難の原因になり得ます。

外傷性尿道狭窄、膀胱頸部硬化症、膀胱頸部腫瘍、尿道腫瘍、膀胱後部腫瘍では手術が必要。膀胱結石、尿道結石では自然に排石されることがあります。

 

■子宮筋腫

女性が排尿困難となった場合先ず考えなければいけない疾患の一つ。時に尿閉ともなります。 泌尿器科で、内診・超音波などで診断されることがあります。治療は婦人科の手術による。

 

 

排尿に関与する 神経支配の障害に起因する疾患

 

■神経因性膀胱

排尿を支配する骨盤自律神経回路の障害に起因する排尿異常です。骨盤自律神経は、膀胱、直腸、性器を、陰部神経は尿道、肛門、性器それぞれの括約筋を支配するので、患者さんは排尿の異常とともに、排便の異常、性機能障害などを伴います。

原因となる主な疾患:脳外傷、脳卒中(梗塞、くも膜下出血)、脳髄膜炎、脳性麻痺、パーキンソン病、大脳の深い病巣出血外傷、小脳変性症、Shy−Drager症候群、脊髄損傷(交通事故、労働災害、スポーツ事故などによる)、脊椎腫瘍、脊椎炎、脊髄卒中、脊椎症性脊髄症、脊髄壊死、二分脊椎、腰椎ヘルニア、椎間狭窄、子宮ガン、直腸ガン根治術後、糖尿病性末梢神経障害に起こることがあります。

診断にあたり、患者さん自身以下のことを観察することも大切です。尿意、便意、性感覚は正常にあるか、排尿、排便に苦労していないか、勃起、射精は正常か、尿失禁はないかなど。

検査:

尿検査、超音波、ウロダイナミックス検査(膀胱、尿道内圧、尿流量測定)、尿路造影など。

 

治療:

①薬剤によるもの(尿失禁に対して:ポラキス、バップフォーなど。排尿困難に対して:ウブレチド、ミニプレスなどあります。)

②自己導尿法によるもの:尿が出にくく、薬物療法だけでは残尿が多い場合、自分でカテーテルを用いて尿を排出する方法です。自己導尿に薬物療法を併用することで、患者や介護者の負担を軽くすることが出来ます。

 

医療費:

初診500〜10,000円 程度

 

 

薬剤に起因する排尿障害

 

①総合感冒薬(市販の薬も注意)、②抗ヒスタミン剤、③鎮痙剤、④精神安定剤、⑤抗不整脈剤など、排尿障害を引き起こす薬剤がありますので、特に前立腺肥大症のある方は服用には注意が必要です。医師にご相談下さい。