人の精神というのは、生活環境や人間関係など、さまざまな要因によって構築されていき、社会に則した精神へと発達していきます。しかしながら、なにかしらの影響を受けて、正常な精神が異常へと移行することがあります。異常に移行する要因にはさまざまなものがあり、これらによって奇行などの行動をとってしまうようになるのです。

 

正常な精神とはなにか、異常な精神とはないか、精神が異常になるのは何が影響しているのかなど、ここでは人の精神について詳しくご説明します。

 

 

正常な精神って一体どんなもの?

 

正常とされる人って一体どういう人たちなのでしょうか。簡単に言いますと「①抑圧」、「②知性化」、「③合理化」、「④昇華」の4つの防衛操作が行える人のことを正常と言います。

 

①抑圧

心の中に深く押さえ込むこと。受け入れられない記憶や感情を意識から追い出してしまうこと。その行き場は無意識です。抑圧された内容は、神経症症状の元となることがあります。

 

②知性化

知恵を働かせて納得すること。例えば、性欲動に対してその欲動と情動を押さえ込んでコントロールしようとすることです。知性化の課程が性欲の代理満足をもたらすのです。

 

③合理化

つじつまが合うように考えて解消すること。

 

④昇華

理想化あるいは社会的に高く評価される方向に向かうこと。

 

人間はこれらの高次元の防衛操作を使い、不安や不満の軽減を行います。これら高次元の防衛操作になにかしらの異常が生じた時に、また無秩序状態になった時に、精神は異常へと移行してしまいます。

 

 

正常な精神と異常な精神

 

正常と異常の境界線ってどこでひくんでしょうかね?テストみたいにあなたは合格(=正常)、あなたは不合格(=異常)と明確な線は引けませんよね。それはなぜ引けないのでしょうか?正常か異常なんて言うものは状況によっていくらでも変わる可能性があるからです。

 

一般的に人を殴り続けること(夫が妻になど)は異常な行動としてとられますが、ボクサーが試合で相手を殴り続けることは正常な行動ですよね。やらなきゃやられますもんね。そういうふうに、状況に応じて境界線の引き方が河って来るんです。では、どうやってその境界線を引くのでしょうか?境界線の尺度として「①量的」、「②質的」、「③調和」が用いられます。

 

①量的尺度

もともと私たちも持っているものが、量が増えすぎたり少なすぎたりすると異常だと言うこと。この尺度は私たちの正常心理の延長線上にあります。たとえば、愛す人が突然交通事故でなくなったとします。そこであなたはどんな行動にでますか?多くの人が悲しみに打ちひしがれて、泣いたり仕事も手に着かないような状態になることでしょう。それが自然と言うものです。しかし、そういう悲しみから徐々にですが立ち直りもとの生活に戻っていきますよね。それが、社会生活を営むものとしての行動だと思います。

ところが、3,4ヶ月も仕事にもでおれないような状況が続いたり、自殺を図ったりしたらどうでしょうか?仕事を休むのも1週間ぐらいなもんですよね。こういったように量的な異常は正常心理の延長線上にあるものなんです。これとは、逆にあまりにもなさ過ぎる場合はどうでしょうか。お葬式の最中キャッキャ笑ってたり、式をそっちのけで遊びに行ったりとか・・・これもまた異常ですよね。なさすぎても異常なんです。

 

②質的な異常

私たちが経験したことのないような異常、妄想、幻聴などがこれにあたります。誰でも、仕事に失敗したり、失恋したりすると、気が滅入ってしまいうつむきがちな生活になることはあります。

誰かが自分の失敗をバカにしてるのではないのかといったような被害妄想的な感情を一時的に体験することはあっても、そんなに長くは続かず、日が経つに連れて自分の思い過ごしだったのではと思えるようになってきますよね。

ところが妄想や幻聴などは、カラスが自分をバカにしてるとと言ったように、誰にも聞こえない音がその人だけに聞こえてくるのです。こういったものは、出現するだけで異様な感じを受けます。正常心理の延長線上にないのも特徴です。

 

③調和の異常

最後に調和の異常です。ひとつひとつの言葉はおかしくなくても、よくよく話を聞いていくうちになんだか常識はずれておかしいと感じることは多いことと思います。常これは日常でもよく経験してそうなことなんですがね・・・

これらのことを定規として使い、平均値から明らかに逸脱した人を異常とするわけですがでは、ずば抜けていい方に逸脱した人を異常とするのでしょうか?自分の考えは正常な社会生活が営めなくなったら異常と判断するべきだと思います。すごく社会的地位のある人が自分は宇宙人だと思ってても、きちんと生活できているのならそれで言いと思います。逆にそういう人を異常だとするよりも、変わってるねとしたほうが・・・結局は医者が決めるんですよね。

 

 

鬱とはどういうもの?

 

 

よく私たちは日常でも「今日はうつだ」なんて使い方しますよね。では、一体この「うつ」とは何なんでしょう。抑うつ状態とは心が晴々とせず、何もやる気が起きない状態を言います。

 

考えることもやめ、意欲、関心、興味の低下した状態を抑うつ状態と呼びます。要するに、気分が沈んだ状態ですね。スランプの時や失恋したときの状態を考えるといいでしょう。「雨降りの日の感情」などとも例えられます。

 

しかし、いつとはなく自然と元気が回復してくる復元力を持ってるのが普通です。これがいつまでも回復しない状態がうつ病と呼ばれるものです。

 

 

不安とは?

 

 

例のように辞書を引いてみますと、「不結果(最悪の事態)に対する恐れに支配され、落ち着かない様子」となっています。漠然とした未分化な(よくわからない)怖れの感情と言い、恐怖とは別のものと定義されます。

 

恐怖がはっきりとした外的なモノを対象としているのに対して、不安は内的な矛盾から生じます。不安は多かれ少なかれ身体的に症状が出てきます。それは、動悸や胸が締めつけられる感じ、発汗などのいわゆる自律神経症状となって出てきます。不安な人の目は瞳孔が開いてることもあります。

 

どうして不安がるのか?

不安を感じたことのない人はいないでしょう?なぜ不安を感じるのかというと、それは人間にとって、普遍的な避けることのできない心理現象だからです。しかも、自己保存本能からくる危険信号の役割を持っていて有用なのです。

 

不安が増えすぎると・・・

いくら人体に有用な信号でも、この量が増えすぎるとちょっと困ります。また、その場面場面に合わないようなとこで不安が反復してあらわれてくると病的不安と言います。病的不安にも生理的(中度、重度のうつ状態に見られる焦燥型の不安や不安神経症 に見られるパニック障害)や欲求不満や内的葛藤が適切に処理できないことから発する心理的な不安もあります。

 

 

恐怖とは

 

不安とよく似たものに「恐怖」というものがあります。不安と違うのはその原因が内的なものではなく、外的にあると言うことです。しかも、はっきりと限定され葛藤のない脅威に対しての反応です。不安には葛藤が見られます。不安が覚醒度を上げる信号であるとともに、恐怖もまた、覚醒度をあげる信号です。フロイトの頃には不安と恐怖のはっきりとした区別はありませんでした。

 

彼の考えでよると、抑圧された無意識の対象に関連する「不安」と、明瞭な外的対象に対する「恐怖」との区別を無視していました。なぜなら、男の子が吠えている犬に恐怖するのは、実際には父親を恐がり、無意識に父親を吠えている犬と関連づけてしまうことがあるように、恐怖が抑圧された無意識の内的対象を外界の他の対象と置き換えたものと言うことがあるからです。

 

不安が慢性的であるのに対して、恐怖が急性的であるとも言えます。恐怖にはよく「驚愕」が先にでてくることがあります。どちらも同じような症状がでてきます。目と口が大きく開、目尻は上がり、心臓ははやく打ちます。心臓がせっせと働いてるからといって、全身に血液が回っているとはとても思えません。失神の前兆のように皮膚は蒼白になり、冷や汗がでてきたりします。筋肉が震えたりもします。

 

 

ストレスとは?

 

 

ストレスという言葉の定義は「外界(外)からのあらゆる要求に対する生体の非特異的な反応」となっています。その反応を引き起こした刺激をストレッサーと呼びます。現在ではストレッサーがストレスと呼ばれることが多く、 また、ストレッサーとストレスを併せてひとまとめにしてストレスと呼ぶことも多いです。

 

ストレッサー

ストレッサーとしては次のようなものがあります。

■物理的ストレス・・・温度や気圧の変化、騒音、手術や外傷など。

■化学的ストレス・・・アルコール、薬物など。

■生物学的ストレス・・・細菌やウイルスなどの微生物。

■心理的ストレス・・・不安や緊張などの情動変化によるもの。

 

ただ、まったくストレス(この場合ストレッサーも含みます)がなかった場合どうなるでしょうか?ある実験で一週間ベットの上で寝て過ごす以外何もしてはいけないという実験がありましたが、誰も耐えることができませんでした。

 

外からの刺激に対して私たちは反応して生きてるわけですから、何もないと言うのもちょっと・・・が、しかし、過度にストレスがかかると・・・体はもちろん、精神にも異常をきたしてしまうのです。

 

 

ストレスが体に与える影響

 

大きく分けるとふたつあり、緊急反応と慢性反応があります。緊急反応は交感神経の反応と言われ、要するに戦闘状態にからだがなります。外からの刺激に身構えて対抗しようとするのです。

 

外部環境(ストレッサー)が変化しても、内部環境は一定に保たれている状態をホメオスターシス(恒常性)と呼びます。ホメオスターシスがストレスによって乱されたときの生体の反応を緊急反応と言います。この状態になると、交感神経が刺激され、内分泌系も刺激され、免疫機能にも影響を与えます。

 

症状としては脈拍の増加、発汗、呼吸が速くなる、血糖値の上昇などです。アドレナリンやノルアドレナリンがたくさん出てます。

 

ストレスに対して十分に対応しきれなかった場合、ホメオスターシスがこわれ、慢性的なストレスによる ストレス病として発症します。身体症状として起こるものがいわゆる 心身症と言われるものです。代表的なものとして胃潰瘍、過敏性大腸炎、過換気症候群、摂食障害、緊張性頭痛、じんましん、低血圧、自律神経失調症などです。

 

心身症を起こしやすい性格として、自分の感情の認知と表現ができにくいひと(失感情言語化症候群)、いろいろな心身症状を抱えながらも相手に併せすぎてしまう(過剰適応)があります。一方精神面で異常が出現すれば、うつ病や神経症となります。個人の遺伝素因や性格、生活環境などのよって現れ方が違ってきます。

 

 

ストレス度のチェック

 

ストレス度のチェックをしてみましょう。次の質問に「はい・いいえ」で答えていってください。

①何事にも我慢できなくなる。

②必要ないのに時計が気になる。

③融通性がなくなる。

④理屈の通らない無理な要求をする。

⑤かんしゃくを起こしやすくなる。

⑥風邪、頭痛、消化不良、胸焼け、便秘、下痢などの心身的症状が現れる。

⑦飲み過ぎたり、食べ過ぎたりする。

⑧のんびりすることに抵抗がある。

⑨会話が少なくなる。

⑩きまじめすぎる。

⑪物思いにふけりがちになる。

⑫すぐ口論になる。

 

以上の12個のうち、いくつ「はい」がありました??以上の12個はストレスのサインとして注意しないといけないものです。特に5項目以上にあてはまるという人は、できるだけはやくストレスを解消した方がいいです。

 

ストレスを解消するためには、自分の行動や態度、ライフスタイルを考え直す必要があります。ストレスを感じたら、できるだけはやく適切な防御反応をとることが大切です。

 

疲れを感じたら睡眠を十分にとる。食事やトイレなどの生活のリズムを整え、趣味やスポーツで発散するのもいいです。人間関係でのストレスは酒に逃げてはいけません。アルコール依存症になる危険性があります。信頼できる人に話した方がいいです。