つわりとは、妊娠初期に多くの妊婦さんが経験する、胃のむかつき、嘔吐、吐き気、食欲不振など、主に消化器系の不快感のことを指します。症状の出方は人それぞれであり、また程度の差はありますが、全妊婦さんのおよそ8割に見られるとのデータがあります。

 

つわりは、妊娠5週前後から始まって、15週前後に終わるのが一般的です。時期や期間にも個人差がありますので、中には出産直前まで長引いてしまう人もいます。出産直前というのは相当まれなケースで、たいてい妊娠中期には落ち着いてきます。今はつらいと思いますが、必ず終わるときがきますので、もう少しの辛抱です。つわりが重症化(妊娠悪阻)して、治療を必要とする妊婦さんは、全体の0.5%程度です。つわりは病気ではありませんので、上手に付き合うしか方法はないのが現実です。

 

 

つわりの症状

 

つわりの症状も個人差があります。吐き気や嘔吐で、食べ物を受け付けられなくなるケースが最も多いものの、なんとなく気持ち悪い程度の人、朝起きたときが一番気分が悪い人、食べ物の好みが変わったり、唾液がたくさん出るのを感じる人、同じものばかり食べたくなったり、お腹がすくと気持ち悪くなるので食べ続けてしまう人、いつも眠くてたまらない、体がだるい、においに敏感になるなど、症状は実にさまざまです。

 

水を飲んでも吐いたり、尿の量が極端に減ったりしたときは、脱水の危険性があります。胃液まで吐くようなレベルになったときは、医師に相談してください。

 

つわりで食事が十分にとれないと、お腹の赤ちゃんに影響するのではないかと心配になってしまいますが、妊娠10週頃でも、赤ちゃんはまだすごく小さく数センチほどで、必要な栄養はわずかですので、ママが食べられなくても成長にはそれほど影響しません。もちろん、全く食事が摂れない場合には影響がでてきますので、食べられる時に好きなものを食べるようにしてください。

 

同じものばかり食べたくなるタイプのつわりで、栄養が偏ってしまっても、妊娠初期であれば心配する必要はありません。この時期は仕方がないと割り切ってください。つわりは15週前後には終わっていくので、その後は栄養バランスに気を配ってくださいね。

 

 

つわりのメカニズム

 

いくつかの説があるのですが、はっきりとした原因はわかっていません。現在有力な説は、ホルモンの分泌量の変化によるもの、精神的なものの2つです。

 

妊娠すると、hCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)というホルモンが急激に増えます。市販の妊娠検査薬も、このホルモンを感知して妊娠の有無を調べているのです。このホルモンが、脳の嘔吐中枢を刺激するために、吐き気が起こるのではないかといわれています。

 

甲状腺ホルモンも妊娠初期に増えるため、これがつわりに影響しているのではないかという報告もあります。また、黄体ホルモンも増え、消化管の蠕動運動が妨げられ、消化器の機能が低下するなど、急激なホルモンの変化に体がついていけないために発症する、という見解もあります。

 

つわりは精神的なものも大きく影響すると考えられています。ストレスがあるとつわりが重くなる傾向があり、夫婦間や家庭環境、仕事などでトラブルやストレスがあったり、妊娠への不安や心配などがあると、症状が重くなることが多々あります。また、双子などの多胎妊娠の場合は、つわりが重くなる傾向にあります。

 

 

つわりを乗り切るためのアイデア

 

つわりは病気ではありませんし、症状の出方や程度の差も十人十色です。また、乗り切り方も人それぞれです。つわりを乗り切るためのアイデアをご紹介します。つわりは赤ちゃんが育っている証拠です。上手に付き合って乗り切りましょう。個人差がありますので、参考程度にしてください。

 

■ムリをしない

つわりのときは、肉体的にも精神的にも不安定になることが多いので、家事や仕事では、ときには周りの人に甘えたり、協力してもらいましょう。つわりは今だけ・・・と割り切る勇気も必要ではないかと思います。昼寝をしたり、疲れたら横になるなど、無理をしないように心がけてください。

 

■好きなものしか食べない

とにかく気持ち悪かったり、特定のものしか受け付けなくなったりします。そんなときはもう好きなもの、食べられるものしか食べない。これでいいと思います。つわりが終わったら、栄養のバランスを心がけた食事にすればよいのです。

 

■食事は量を減らして回数を増やす

空腹時に気持ちが悪くなる人は、食事を小分けにするといいでしょう。スナック菓子よりも、お腹がすいたときに簡単につまめるような、おにぎりやサンドウィッチ、果物などが理想です。

 

■枕元にはクラッカーなどを置く

朝、起き抜けに気分が悪くなる人におすすめ。クラッカーやクッキー、ゼリーなど、布団の中に入ったままつまめるような食べ物を枕元に用意して寝ると、朝、気分の悪さが少し落ち着いてから起きることができます。

 

■食べ物は冷やして食べる

つわりでにおいに敏感になる人は多いものです。食べ物は温かい状態よりも冷やした方がにおいが弱くなります。冷たくて口当たりや喉越しのよいものなら、食べられるかもしれません。

 

■マスクをする

においに敏感になって、スーパーの食料品売り場で気持ち悪くなる人がいます。においのガードにもなりますし、風邪などのウィルスもガードできて一石二鳥です。

 

■飴やガムを持ち歩く

空腹になると気持ちが悪くなるつわりの人は、飴やガムを持ち歩くとよいでしょう。外出先でも、飴やガムでしたら、人目を気にせず食べることができます。

 

■好きなことをする

つわりは、精神的なものも大きく影響すると考えられています。散歩や買い物など外出することで気分転換になる人、のんびり読書やお風呂が好きな人、いろいろあると思いますが、ムリをしないことを前提に好きなことを楽しんでみましょう。しかし、ハードなスポーツなど禁物です。

 

■気持ち悪いときはさっさと吐く

気持ち悪くて吐きたいのに吐けないのって辛いですよね。かなり荒療治ですが、口に指を突っ込んで吐いてしまうのも手です。ただし、オススメできる方法ではないので、食べるたびにこれはやめてくださいね。

 

■前向きに考える

気分が悪いときには、なかなか前向き思考にはなれないものですが、つわりは赤ちゃんが元気に育っている証拠なんだと思って、頑張ってください。一生続くものではありません。いつか終わりがきますので、頑張って乗り切りましょう。

 

栄養における注意点

■水分補給を心がける

食べても吐いてしまう場合、脱水が一番心配です。少量ずつでもよいので、水分補給を心がけてください。本来はお茶などが理想ですが、炭酸飲料がスッキリして気分がいいのなら、もうこの際それでもOKです。

 

■調理ができないなら市販品や外食を

食べられないことはないんだけど、調理をしていると気分が悪くなる人がいます。そんなときは、市販品や外食などで乗り切りましょう。ムリをしないことが最優先です。

 

 

こんなときは病院へ

 

つわりは病気ではありません。我慢強い人、弱い人、つわりの症状にも個人差が大きいので一概には言えませんが、我慢のしすぎは厳禁です。病院へ行く目安として参考にしてください。つわりは病気ではないとは言え、つねにムカムカしているのは辛いですよね。

 

精神的な面も大きく左右すると言われているので、好きなこと、たとえばショッピングや読書、散歩、友達と電話などなどをして気分転換をすることは、とてもよいと思います。つわりには必ず終わりが来るので、上手に乗り切りたいのですが、中には治療を必要とするほど、症状が悪化することがあります。妊娠悪阻と言い、重症化すると入院になることもあります。

 

≪病院へ行く目安≫

  • 何も食べられない。水を飲んでも吐いてしまう
  • 1日に数回吐く
  • 1週間で体重が1~2キロ減る
  • 尿の量や回数が減ってきた

 

何か少しでも食べられるといいのですが、何を口にしても吐いてしまう、もしくは何も食べていなくても、水を飲んでも吐いてしまう場合など、ここまで来ると脱水が心配です。点滴で栄養分や水分を補う処置をします。我慢のしすぎは症状を悪化させてしまうかもしれませんので、病院へ行く目安に、ひとつでも当てはまったら、医師に相談してみてください。