口の中がカラカラに渇き、さらに痛みが生じる場合には、精神的な原因から生じていることもあります。外的な病気が該当せず、原因不明と言われた方は、精神的な要因を疑ってください。

 

 

外因でなく内因のケースが多々ある

 

治療を受ける患者さんのなかには、どんな治療を行っても症状が改善しない人がいます。また、いくら詳しく診察しても、歯や口腔自体に特に悪いところが見つからない人もいます。そのような患者さんに対しては、体だけでなく、ストレスを含めた心理的なケアを行うことで、症状が改善することがわかってきました。

 

心の問題から、歯やアゴの異常を訴える患者さんは年々増えています。どう関わっているのかについてはまだはっきりとわかってはいませんが、一般によく知られているようにストレスは体にさまざまな影響を及ぼします。特に、口腔内は体のなかでも敏感な感覚器官なので、影響が大きいことが考えられます。

 

心が関わるケースでは、次のような症状がよく現れます。

 

●舌がヒリヒリする

舌の先や横がヒリヒリしたり、熱く焼けるような感じがします。

 

●アゴが痛い

形態や機能には問題がないのに、口を開けるときにアゴが痛い、口が開かないなど顎関節症の症状が現れます。

 

●虫歯がないのに歯が痛む

患部を明示できなかったり、痛みが時間によって出てきたりするのが特徴です。

 

●口が乾燥する

唾液の分泌には副交感神経が作用しますが、情緒が不安定になると唾液の分泌が減少し、口中が乾燥します。

 

●入れ歯や詰め物が合わない気がする

調整はうまくいっているはずなのに、入れ歯や詰め物が合わないと気になって仕方がない症状です。何度調整しても、つくり直しても症状は改善しません。入れ歯の場合には義歯ノイローゼと呼ばれます。

 

●自臭症

口臭ノイローゼともいわれます。他人は感じていないにも関わらず、自分は口臭があると悩みます。

 

歯やアゴの状態をいくら詳しく診察しても症状が見つからない、X線などで検査をしてみても機能的な問題がみつからない……などの場合には、患者さんに心理的な要因がないか、心理テストや性格テストなどを行い検討することになります。

 

 

心理的要因である場合の治療法

 

心理的な要因がある場合は、次の手順で治療が行われます。まずは、発症の仕組みや原因、症状の進み具合を、患者さんが納得するまで説明します。

 

①簡易精神療法

一般的には簡易精神療法を行います。話を十分に聞きながら、不安や緊張を取り除いていく療法です。これだけで治る患者さんもいます。また、検査やテストの結果を示し、今後の治療方法を伝えます。

②薬物療法

簡易精神療法と並行して行われます。状態に合わせて、抗うつ薬、抗不安薬、漢方薬、自律神経調整薬を用います。

③自律訓練法

これは体の緊張をほぐすことで心の安定を促すことを目的とします。一種の自己暗示方法で、2週間に1度くらい通院します。根気よく続ければ3カ月ほどで効果が現れます。行動療法を行うこともあります。

 

行動療法の1つに脱感作療法があります。不安や緊張を感じるものを、刺激の弱いものから、徐々に強いものへと段階的に提示することで、不安や恐怖感を克服します。例えば口臭が気になって人と話せない患者さんには、まず多数の人と話をすることに慣れてもらい、1対1で対応できるようになるまで訓練します。

 

 

ストレスを溜めないことが重要

 

予防のためのもっとも効果的な方法は、ストレスをためないこと。実際には簡単なことではありませんが、できるだけリラックスできる生活環境を整え、活動的な生活を送ることが大事です。

 

不安によるストレスがたまると、体にさまざまな症状が現れます。しかし、歯やアゴなどは、心の問題であることに気づかず、症状が改善しないと悩む場合も多いようです。

 

歯やアゴの症状以外に、食欲がない、手足が冷たい、頭が重い、肩がこりやすい、めまいや耳鳴りがする、急に息苦しくなる、寝つきが悪い、人と会うのが億劫……などの症状があったら、ストレスによるサインだと考えてください。