便通は体の健康状態を示すバロメーター。たかが便秘、されど便秘です。全身のさまざまな筋肉や神経の協力あってスムーズに行われる排便ですから、それらに関わる機能がスムーズに動かないと便秘になったり、下痢になったり。

 

それらにはストレスがおおいに関わり、納得できる便通の邪魔をしているようです。便秘を治すには、腸と大脳の連携プレーで効果的に行うのがポイントです。(関連:子どもの便秘|食事管理が鉄則、ひどい場合は強制排泄も

 

 

自分の納得できる排便がテーマ

 

便秘とは、便が長時間に渡って腸のなかにとどまり、排便が困難になっている状態です。腸のなかにどのくらい“停滞”していたら便秘なのか、ということになると個人差があります。

 

1日2回の排便習慣がある人が、まる1日排便がなかったら便秘ですし、1日や2日おきに定期的な排便があり、それがごく自然である場合には、便秘ではありません。簡単にいえば、その人の習慣による一定のリズムによって、自分が“納得できる”排便があれば、便秘ではありません。

 

問題は、この“納得できる”かどうか。たとえリズム通りであっても、量が少なかったり、硬くてうまく出ない、そのために腹痛やおなかの張りがある場合には、やはり便秘のなかに入ります。

 

排便とは、口から食べたものが消化され、食べカスになって排泄される作業です。この単純作業がうまくいかなくなる理由には、2つのことが考えられます。

 

ひとつは、口から入った食べ物が消化吸収されて便となるまでの道筋のどこかに異常がある場合です。腸に炎症や癒着がおこっていると、便が腸を通過できません。これを器質性便秘といい、外科的治療が必要になってくる場合もあります。

 

もうひとつには、腸の運動機能に狂いが生じ、便の運びや通りを悪くしている場合です。消化管は自律神経と深い関係にあり、腸管を支配する自律神経には、腸の運動を抑制する交感神経と、亢進させる副交感神経があります。この両者のバランス関係が大事で、どちらかに狂いが生じると、排便のメカニズムが崩れ、便秘や下痢がおこります。

 

自律神経のバランスを狂わす最大の要因がストレスです。ストレスによって自律神経の働きが低下してくると、便意も弱くなり、次第に排便をうながすシステムが機能しなくなって便秘が常習化してしまいます。このタイプの便秘を機能性便秘といい、ストレスなど心因性によるものや全身的な活力低下によって起こります。

 

 

溜まった便は、とにかく出してしまうことが先決

 

食事のあとに胃がふくらむと、胃は大腸にサインを送り、大腸は反射的に蠕動運動をはじめます。そして便が直腸に達したときに直腸壁が刺激を受け、骨盤神経から脊髄を通して大脳にサインが送られ、便意が起こります。直腸から大腸にも合図がいき、便はさらに直腸へと送り込まれます。便意が起こると、下腹部へ「いきむ」ように脳から命令が下り、肛門括約筋がゆるんで体外へと排泄されます。

 

機能性便秘では、腸の運動機能や運動を促す命令系統に狂いが生じ、便がスムーズに直腸へと送られなくなってしまいます。機能性便秘には、腸全体が活力を失っている弛緩性便秘、腸の収縮が強すぎて、うさぎの糞のようにコロコロとした便になる痙攣性便秘、便が直腸の下のほうにたまってしまい動きのとれない状態になる直腸性便秘があります。

 

いずれの原因であっても、便秘になったらまず、停滞している便を動かして、なんとか排泄してしまうことを考えましょう。もっとも悪いのが、便意がおきてもがまんしてしまうことです。習慣的にがまんし続けると、直腸壁が刺激されても便意が起こらなくなってしまいます。

 

腸が過剰に緊張するタイプの人では、腸が痙攣性に収縮して便が移動しなくなり、便秘をきたします。このような人では、便意があってもコロコロしたウサギの糞のような便になります。お年寄りのように腸管の運動が低下して、摂取する水分が少なくなると、大腸に大量の便が溜まりっぱなしになり、弛緩性便秘から直腸性便秘になる傾向があります。

 

弛緩性便秘の場合には、一足飛びに下剤の使用を考えずに、朝起きたら冷たい水や塩水を飲み、朝食をしっかり食べるようにしてみましょう。胃のなかに飲食物を入れると、それによって自然に腸管が動く反射を利用しましょう。

 

補助手段として、マッサージやストレッチングなどを行うこともよいことです。市販されている食物繊維の入った健康食品を試してみるのもよいでしょう。それでも解消できない場合には、作用が穏やかな増量性下剤「カマ(か性マグネシウム)」を処方してもらいましょう。

 

それでも効果がない場合には、一般市販され、CMでもおなじみの刺激性下剤を使用します。ただし、初めて下剤を使用する人の場合には強すぎることもあり、下痢をおこすことにもなりかねません。下痢をすると、水分が少なくなり、その次には直腸性便秘を増長してしまいますから、初めて下剤を使用するときには、医師の指示をあおいでほうがよいでしょう。

 

 

直腸性便秘への対処法

 

直腸性便秘の典型的なものでは、便意があり、便も肛門からすぐそこにあるのですが、まるでコルクで栓でもしてしまったかのように、硬く、ビクとも動かなくなってしまった便秘です。そうなったら、どんなにいきんでも無駄ですし、あまり強くいきむと心臓や脳の発作につながります。

 

そんなときにはまず、浣腸をしてみましょう。市販されている浣腸で大丈夫。もしそれでもビクともしないならば、手でかき出すしかありません。ゴム手袋をして、ワセリンなどの潤滑剤をつけ、肛門から指を入れて便を砕くようにして掻き出します。

 

指の届く範囲まで掻き出したら、そこに浣腸液を入れ、できるだけがまんしてから、一気に押し出してしまうことがコツ。そして、もう二度とそんな苦しみを繰り返さないよう、十分にケアしてください。便秘にならないためには、まず、便意があったときには、それがデート中であっても、外出先であっても排便する習慣をつけましょう。排泄を何よりも優先させてください。

 

便の材料になるものを食べることも大事です。便の材料は食物繊維と水分。ごぼうやセロリなどの長い繊維よりも、細かい粒子をたくさん含んだ米や麦、海藻類、豆類、きのこ類が効果的です。また、大脳の働きをよくし、自律神経機能を低下させないように、たっぷりと睡眠をとることです。快眠のあとには快便、不眠のあとの便秘を体験的に知っている人は多いはずです。便秘は腸と大脳との連携プレイで解消しましょう。