1週間や2週間、はたまた1か月以上、胃が痛いという場合は「機能性胃腸症」の可能性があります。

 

機能性胃腸症とはどのような症状なのか、胃痛に悩んでいる方はしっかり知っておきましょう。また、機能性胃腸症を改善する方法も合わせてご説明します。

 

 

機能性胃腸症とは

 

一般に、胃に不快感がある場合、その症状によって胃かいよう、胃炎、胃がん、逆流性食道炎などのいろいろな病気が疑われます。ところが、このような症状がある人を、内視鏡などの検査で調べても、約半数は胃に異常がありません。

 

つまり、胃に炎症や潰瘍がなくても、胃の症状を訴える患者さんが多く見られるのです。

 

これまで、このような症状を訴える患者さんは「慢性胃炎」と診断されてきましたが、最近は、「機能性胃腸症」と呼ぶようになってきました。

 

機能性胃腸症と診断されるのは、「胃の不快な症状が4週間以上続く」「病院での検査で、特に大きな異常が認められない」、しかも「貧血や体重減少がない」場合です 。

 

 

機能性胃腸症の3つのタイプ

 

機能性胃腸症は、「運動不全型」、「潰瘍症状型」、「逆流症状型」というように症状によって、3つのタイプに分類されます。

 

・運動不全型

「もたれ」の症状が中心のもので、日本人で、機能性胃腸症と診断される人の6割がこのタイプです。

胃に過度の負担がかかると、胃の運動機能が低下し、食べ物を消化する速度が遅くなって、「もたれる」という症状が起こると考えられます。原因としては、「不規則な生活、食べ過ぎ、ストレス」などがあげられます。

 

・潰瘍症状型

胃酸の出過ぎによって痛みが起こると考えられます。原因は、運動不全型とほぼ同じです。

 

・逆流症状型

胸やけや主な症状で、胃酸が食道に逆流することによって起こるもので、「逆流症」とも呼ばれます。最大の原因は、食べ過ぎです。

また、前かがみの姿勢を長時間とったり、食後、すぐ横になることなども胃酸の逆流の原因になります。胃酸によって食道に炎症が起きると、「逆流性食道炎」になります。

 

 

胃の機能低下の原因

 

胃の大切な働きは、食べ物を一時ためて消化し、小腸へ送り出すというものです。胃に入った食べ物は、胃酸と混ぜ合わせられます。この過程がうまくいかないと、さまざまな障害が生じることになります。

 

胃の機能が低下する最大の原因は、食習慣の乱れです。特に「早食い、食べ過ぎ、すする」などの習慣があると、おなかが苦しくなったり、痛みが生じたりします。

 

また、胃にたくさんの食べ物がたまっていると、げっぷが出やすくなり、げっぷをするときに、胃酸が一緒に上がってくると、胸やけなどの逆流症状が出ることになります。

 

さらに、食べ物が消化されないまま、胃の中に残っていると、未消化物が小腸へ押し出されることになり、このことも、胃のもたれや痛みを起こす要因になります。

 

 

機能性胃腸症の対策

 

食べ過ぎがよくないので、食べる量は控えめ(腹八分)にします。また、食事は、毎日3食、決まった時間に規則正しくとるようにしましょう。

 

消化活動を活発に行うためには、十分な血流が必要なので、食後30分?1時間くらいはゆっくり休むことも大切です。ただし、すぐに横になって休んだり、眠ることは避けましょう。

 

 

胃に負担をかけない日常の工夫

 

・食材の選び方

機能性胃腸症の人は、胃に負担をかけないという意味で、消化のよいものを食べることが大切です。食べ物が胃の中で消化されるのに必要な時間が短いほうが、胃への負担が少なくなります。

基本的に、炭水化物やたんぱく質は消化がよく、脂肪分の多いものは消化が悪いといえます。また、一般的に、硬い食品は消化が悪く、柔らかいものや、液体に近いもののほうが、消化がよくなります。

 

・調理法の工夫

油を多く使う「揚げる」より、油を使わない「煮る・蒸す・ゆでる」といった調理法のほうが、胃への負担が少なくなります。

 

・喫煙は控える

たばこに含まれるニコチンは、胃や十二指腸の粘膜の血管を収縮させるため、血流が悪くなります。また、喫煙は、噴門の逆流防止機能を弱め、食道逆流症を引き起こす要因にもなります。

 

 

機能性胃腸症の治療

 

まず、原因となっている食習慣や食事内容、あるいはストレスなどを見直し、調整・改善を図ることが第一です。それでも効果がない場合には、薬を服用して症状を改善させます。

 

機能性胃腸症のタイプや症状に合った適切な服薬をすれば(図4)、かなりの確率で症状を改善することができます。

 

しかし、一度治まっても、機能性胃腸症を引き起こす根本的な原因を見直さない限り、再発が起こります。まず、自分の食習慣や日常生活を見直すことから始めましょう。