推定患者数200万人といわれ、40歳以上の30人に1人がかかっているといわれる緑内障。眼圧が高くなることによって視神経が障害され、視野欠損、視野狭窄をおこし、ついには失明に至る病気です。したがって、この病気のキーポイントが“眼圧”。眼圧が高くならなければ、緑内障はおこらない……。

 

ところが、眼圧は正常であるにも関わらず、緑内障とまったく同じ経過をたどるのが『正常眼圧緑内障』。全緑内障の約半分がこのタイプと考えられています。

 

 

神経系の破壊が原因

 

緑内障は視野が次第に狭くなり、ついには失明してしまいます。これは、目から脳へと情報を伝達する視神経が破壊されてしまうことでおこります。

 

視神経が破壊される原因は、眼圧の異常な上昇によるもの、というのが、従来の緑内障の定義。ところが、約10年くらい前から、眼圧は正常であるにもかかわらず、従来の緑内障と同じ症状が起こるケースが多々あることが問題になってきました。それが今、話題になっている正常眼圧緑内障です。

 

 

緑内障の3つのタイプ

 

緑内障にはにはいくつかのタイプがありますが、大別して2つ。「閉塞隅角緑内障」と「開放隅角緑内障」です。閉塞隅角緑内障の場合には、ある日突然、霧がかかったように眼がかすみ、眼の奥が痛み、頭もひどく痛みます。同時に急激な吐き気がおこり、実際に嘔吐するため、眼の痛みを忘れて、内科的な病気に間違うほどです。

 

したがって、このタイプの緑内障は、その症状の激しさから、たいていの場合には病院での治療を受けることになるため、適切な治療を受けることができます。

 

問題になるのは「開放隅角緑内障」。視野が鼻側から徐々に欠けてきますが、両目で互いの視野をかばいあうために、ほとんど気づきません。気づいたときには、120万本もあった正常な視神経線維が3分の2ほど失われてしまっていることが多く、失明に至る率も高くなります。

 

この開放隅角緑内障のなかには、眼圧が高いタイプと正常なタイプがあり、正常なタイプが正常眼圧緑内障です。

 

 

早期発見早期治療が大切

 

眼球が丸い形を保っているのは、眼球内から外に向かって適当な圧力がかかっているからです。この圧力が眼圧。眼圧は通常10?20mm/Hg に保たれています。この正常な眼圧を保っているのは、眼球内で「房水」という特種な水が常につくられ、さらにそれが常に眼球外に排出されていることによります。

 

その産生と排出のバランスが同じならば、眼圧は正常を保ちますが、バランスが崩れると眼圧に変化がおこります。房水が眼内に貯留すると、眼圧が高くなります。それが長く続くと、視神経線維は次第に侵され、機能を失います。

 

いったん機能を失ったら、どんなに治療しても元には戻りません。その理由は、眼底にある視神経の出口のところが眼圧で押されて血液の流れが悪くなるためといわれています。

 

したがって、緑内障の予防は眼圧をウオッチングすることであり、治療もまた眼圧を調整するよう、房水の排出をよくしてやったりします。

 

つまり、ポイントは眼圧。ところが、房水の循環もスムーズに行われており、眼圧も正常範囲であるにもかかわらず、視神経障害が同じようにおこるのが正常眼圧緑内障。

 

原因は不明ですが、正常眼圧であっても、その人個人にとっては高すぎるのかもしれません。あるいは、視神経の出口付近に何らかの異常があり、眼圧に関わりなく視神経線維が傷んでくるとも考えられます。

 

広く考えられているのは、視神経が生まれつき弱い、視神経の循環に異常がある、加齢とともに弱くなって、視神経が壊れるなど。しかし、いずれにしても仮説の域を出ていません。

 

従来の緑内障の場合には、完全とはいえないまでも、治療目標と方法がある程度確立しています。眼圧が高くない正常眼圧緑内障でも、目標や方針が確立されつつあります。

 

まず、薬物療法によりある程度(30%程度が提案されています)まで眼圧を下げながら様子をみ、必要によってはより低い眼圧を保つための手術を行います。

 

また、緑内障性視神経障害の原因は眼圧以外にもある、と主張する専門家が増えてきています。それらの説では、体全体の血流の問題や視神経自体の問題などがとりあげられており、視神経を保護したり、視神経の血流を改善したりする治療が行われてています。

 

現在は原因も治療法も完全に確立されてはいませんが、一般的に進行が遅く、日常生活に支障をきたすまでには、長い時間がかかります。したがって、定期的に検診を受け、眼圧をコントロールしていきさえすれば、とにかくそう簡単に失明することはありません。早めに発見して視神経を失わないよう、進行を止めることを目的にコントロールを始め、医学の進歩を待って対処していくようにしましょう。

 

原因は不明で、全緑内障の半分はこのタイプともいわれていますから、約100万人が眼圧が正常なまま、緑内障にかかっているということができます。