便を体外に素早く排出してくれる下剤。効果が高いことから、ダイエットや長く続く便秘に下剤を使う人がいますが、下剤には健康を害する悪影響が存在します。

 

その主たるものに“習慣性”があり、下剤の効果が強いばかりに習慣的に下剤を使ってしまうのです。また、下剤に頼る余り、下剤なくして便を排出できない体になってしまうこともあるのです。

 

下剤は効果が高く、使い方によっては非常に助かる薬ですが、習慣性を考慮しなければ健康に害を及ぼす危険性がありますので、節度をもって使うようにしてください。

 

 

下剤に潜む習慣性の恐怖

 

太りたくないから、おなかが出るのが嫌だからと、便秘もしていないのに下剤を飲むようになり、いつのまにか薬がなければ便が出ないという薬依存状態に陥ってしまう人が最近増えています。

 

下剤の多くは、長期間連用しているとだんだん効かなくなるうえに、習慣性も出てきます。そのため、徐々に服用量が増えて下痢をする。下痢をすると体内のカリウムが減ってしまうので、全身の筋肉の力が弱くなり、便を押し出す力が弱まって便秘になる。

 

それでまた下剤を飲むという悪循環が起こってきます。こうした状態に陥りやすいのが、下剤のもっとも怖い点です。(下剤性大腸症候群ともよんでいます)

 

そして、浣腸にもまた下剤と同じように習慣性があります。浣腸の成分自体は、体に害のあるものではありませんが、むやみに用いると癖になって、浣腸なしでは排便できなくなってしまうのです。

 

さらに、浣腸を乱用すると、直腸粘膜が過敏になって、1日に何度もトイレに通うようになったり、下痢がずっと続いたりすることもあります。安易に用いることは絶対に避けなければなりません。

 

下剤を飲んで痩せたいとの理由から、極端なケースでは、下剤を毎日50錠から100 錠飲んでいる人もいます。また、何種類もの下剤を同時に飲んだり、下剤と浣腸を併用するようになったりする人もいます。

 

こうなると一種の神経症なので、内科の治療だけで薬を断ち切るのは難しいかもしれません。一度精神科を受診して、相談してみるのがよいでしょう。

 

 

便秘薬で病気の発見が遅れることも

 

そもそも日本人は薬好きの国民といわれ、ちょっと頭が重いと鎮痛剤、少し下痢気味になると下痢止めと、すぐ薬に頼ってしまう人が少なくありません。

 

便秘の場合も、1日でも便が出ないと気持ちが悪いといって、安易に下剤を用いる人がたくさんいます。これは、体にとって決してよいことではありません。

 

便秘を解消するためには、朝のトイレタイムを習慣づけるなど便意をつける工夫するほか、食物繊維の多い食品をとって便の量を増やす、体をよく動かして腸を刺激する、などの日常生活の改善が必要です。それでも、どうしても便秘がよくならないときにはじめて薬を用いるのが正しいあり方です。

 

下剤は上手に使えば有益です。たとえば、一過性便秘のように単純なものであれば、一時的に下痢を服用することで、ほとんどは治ります。

 

しかし、慢性便秘の場合、安易に薬を用いると、先のケースと同じように、いつの間にか薬に頼らずにはいられなくなる薬依存の状態に陥ってしまうケースが少なくないのです。

 

また、便秘のなかには、病気が原因で起こっているものもあります。便秘の原因を確かめずに下剤を使っていると、こうした病気を見逃してしまう危険性もあるということを、覚えておいてください。

 

 

薬の量を少しずつ減らしてみよう

 

便秘薬依存の状態になっている人に、いきなり薬をやめろといっても無理があります。そこで、徐々に薬の量を減らしていく方法をご紹介します。

 

具体的には、まず現在飲んでいる薬の量を一割ほど減らします。たとえば、錠剤で10錠飲んでいた人は、9 錠に。薬を減らした分、食物繊維をたっぷりとる、運動をするなど、生活習慣を改善してください。

 

これで2 週間ほど様子をみてから、さらに分量を1割ほど減らします。その後も、およそ2週間経過するごとに、一割くらいずつ減らしていきましょう。きちんと排便があれば、もっと早いペースで減らしてもかまいません。

 

薬の量を減らしていき、最終的に飲まなくても排便できるようになったら、それでOK。後はまた逆戻りすることがないように、食事と生活習慣に注意しましょう。

 

とにかく、むやみに薬に頼るのは、よいことではありません。「1に生活、2に食事、3、4がなくて5に下剤」というように、下剤は最後の手段と考えることです。

 

 

最後に

 

下剤や浣腸は便秘のお供として非常に有益な薬ですが、依存性が高く、下剤や浣腸なしで便が出ないという体を作ってしまいます。また、ダイエットで用いる人もいますが、そもそも便を排出したからといって、根本的に痩せるわけではありません。

 

すでに依存に陥っている人は、少しずつでいいので量を減らすことが大切。自分自身で制御するのが難しければ病院に行くのも1つの手です。下剤は効果が高い反面、負担も大きいので、下剤の体への悪影響をしっかり理解した上で、正しく使用するようにしてください。