最近、とくに注目されている高脂血症です。その患者数は確実に増え続け、平成17年から26年までの8年間でほぼ倍増。

 

また、ある臨床医グループの調査によると、日本人推定患者数は、約2300万人にのぼるといわれています。

 

血液中に脂質が異常に増えた状態である高脂血症。全国事業所で行われる健康診断でも、毎年、もっとも異常値が多いのも「血中脂質」。動脈硬化を招き、心筋梗塞や脳梗塞につながる危険な病気です。

 

 

高脂血症とは?

 

医学的にいえば、「血清脂質の血清濃度が高い状態」のことをいいます。

 

簡単にいえば血液中に含まれる脂質が多い病気。血液中の脂質にはコレステロール、中性脂肪、リン脂質、遊離脂肪酸の4つがありますが、生活習慣病と因果関係の深いのはコレステロールと中性脂肪。これらが過剰になると動脈硬化を招きやすく、心筋梗塞や脳梗塞の危険につながります。

 

自覚症状がまったくないので、健診などの血液検査でしか発見できません。

 

でも、健康診断結果で「高脂血症です」といわれても、ほとんどの人がピンとこないし、「異常あり」といわれても軽く考えてしまいがち。そのため、治療を怠っている人は、患者全体の8割にも及ぶといわれています。

 

自覚症状が出るころになると、動脈硬化がかなり進行し、脳・心臓疾患をおこす危険性が非常に高く、そのイエローカードが高脂血症……なのです。

 

 

高脂血症の歴史と現状

 

高脂血症が動脈硬化を引き起こし、心筋梗塞や狭心症といった心疾患や脳梗塞などの脳血管障害の危険因子であることは、以前より漠然と考えられていました。

 

●80年代に行われた大々的な疫学調査

それが立証されたのは1970年代。欧米を中心に高脂血症と動脈硬化に関する研究が始まり、80年代には大規模な疫学調査も行われ、コレステロールなどの血清脂質が高まると動脈硬化の発症につながることが証明されました。

 

とくに高コレステロール血症は、動脈硬化の危険因子であり、高コレステロール血症の人を長年にわたって追跡調査してみると、確実に動脈硬化が進んでおり、それが原因でおこる心疾患や脳血管障害などの発症率が明らかに高くなることが証明されたのです。

 

●アメリカ人よりも多い日本人の血液中の脂肪

アメリカ人に比べて脂肪量の摂取が少ないとされていた日本人は、脂肪の摂取は肥満との関連でしか考えられていませんでした。

 

ところが、80年代の日本人と70年代のアメリカ人との総コレステロールを比べた調査によると、30歳以下では日本人のほうが高くなっていたのです。

 

そして、このままでは10〜20年後には、動脈硬化による疾患の患者が急増することが予想されました。それから20年たった今、高脂血症は第三の国民病といわれるほどに急増しています。

 

 

高脂血症の正体

 

高脂血症」には、原因不明のものや遺伝体質によって起こる1次性高脂血症と、病気や薬などの原因があって起こる2次性高脂血症があります。

 

原因不明の場合には、食事内容や肥満、運動不足などとおおいに関連していると共に、遺伝的な体質とも関連があり、家系のなかに高脂血症の人がいたり、若くして心筋梗塞や突然死をした人がいる場合にはより注意すべきです。

 

血液中に必要以上に脂質がたまるルートにはふたつあります。

 

ひとつは食べ物のなかに含まれ、食事によって腸から吸収され、腸のまわりのリンパ管を通って静脈から心臓に入り、心臓から動脈に入るルートです。

 

もうひとつの供給ルートは肝臓です。肝臓は糖や脂肪酸から脂肪を合成し、肝静脈を経て下大静脈へ、さらに心臓を経由して動脈に入るルートです。コレステロールは肝臓で合成されるものが約80%。食物中から吸収されるのはわずか20%にすぎません。

 

いずれにしても、体にとって必要以上に摂取したときに、余ってしまった脂肪は細胞のなかに貯められ、飢餓や病気による栄養不良などの緊急事態になったらいつでも血液中に入ってエネルギーになるよう、待機しています。

 

しかし現代にあっては、そうした緊急事態はなかなか起こりません。そこにさらに過食、飽食によって脂肪が蓄積します。

 

そして肥満がおこり、待機する場を失った脂質は血液中にあふれ出すことになります。

 

そして、あふれ出した血中脂質は、血液の濃度を高くし、血管壁にへばりつかせることになり、動脈硬化を進展させてしまうことになります。