①原因不明の熱がある、②肘や手首、膝、足首などの関節が左右対称に痛む、③痛みがあちこちの関節に移動している、④関節がこわばっている、⑤関節部分の皮膚の下にしこりがある、これらの症状がみられれば、膠原病の疑いがあります。

 

膠原病は、自己免疫が原因で、全身の血管や関節などが侵される病気です。早期に発見して粘り強く治療し、後遺症を抑えることが大切です。

 

 

膠原病とは

 

膠原病とは、結合組織が侵される病気の総称です。全身のあらゆる組織や器官の間を埋め、結び付けている組織を結合組織といいます。例えば、真皮、皮下組織、腱、筋膜、骨膜などは結合組織です。この結合組織の主な線維成分は膠原(コラーゲン)というたんぱく質が並んでできていて、膠原線維とよばれます。

 

膠原病は膠原線維に病変が起こることから名づけられた呼び名ですが、実際には膠原線維だけでなく、結合組織に炎症が起こる全身性の病気の総称です。

 

血管や皮膚、関節など、病変が起こる部位によって、さまざまな症状が現れます。初期の分類では、慢性関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、強皮症、皮膚筋炎、結節性動脈周囲炎、リウマチ熱が膠原病とされていました。現在では症状に共通性のある病気が、膠原病として扱われ、シェーグレン症候群や多発性筋炎、多発動脈炎、混合性結合組織病などが含まれます。

 

そのなかで子どもがかかると特有な症状を示すのが、リウマチ熱と若年性の慢性関節リウマチです。そのほかの膠原病の症状は大人と基本的な違いはありません。

 

子どもの膠原病で多数を占めていたリウマチ熱は、発病の原因となる溶連菌の感染に抗生物質が早期使用されるようになり、激減しています。リウマチ熱は膠原病に含めない考え方もあります。現在増えているのは若年性関節リウマチで、全身性エリテマトーデス、皮膚筋炎がこれに続きます。

 

 

膠原病の原因

 

体内に侵入した異物を攻撃する免疫反応は、通常、自分のからだに対しては起こりません。ところが、自分の体内の臓器や組織を攻撃してしまう自己免疫が生じる場合があります。体内のさまざまな臓器で自己免疫反応を起こす病気を全身性自己免疫疾患といい、膠原病はその代表です。

 

リウマチ熱は溶連菌の感染が原因ですが、その他の自己免疫疾患ではなぜ自己免疫反応が起こるのか、よくわかっていません。しかし、発病のきっかけとして、発症しやすい家族素因、感染や薬剤の使用、内分泌的な要素などが考えられます。

 

リウマチ熱

7〜14歳の学童期の子どもに多い病気で、幼児期の発症はまれです。リウマチ熱はA群溶連菌による扁桃炎や咽頭炎などの上気道感染症、ときには中耳炎や猩紅熱などにかかって、1〜4週間後に発症します。現在では、溶連菌に感染した子どもがリウマチ熱を発症するケースは感染者の1%以下といわれており、10万人当たり2〜8人の発病率です。リウマチ熱はA群溶連菌の表面にあるたんぱく質が、心筋を構成するたんぱく質とよく似ているため、溶連菌に対する抗体が心筋を攻撃して発症します。

 

 

膠原病の主な症状

 

初期症状は原因不明の高熱と、5〜7日であちこちの関節に移動する関節炎です。関節痛は主に膝、足、肘、股間などの大きな関節に左右同時に起こり、指のような小さな関節に現れるのはまれです。関節が化膿することはなく、後遺症を残しません。

 

リウマチ熱は3週間から数ヶ月で治まりますが、問題となるのは、高熱と関節痛がみられる急性期を過ぎた頃に、半数以上の患者の心臓に炎症が現れることです。特に心内膜に炎症を起こすと、後遺症として心臓の弁が十分に開かなかったり閉じなくなる心臓弁膜症が残る危険が高くなります。

 

このほかの症状としては、舞踏病、輪状紅斑、皮下結節があります。舞踏病は自分の意志に反して手足や顔の筋肉が動いてしまう症状で、特に女児に多く、輪状紅斑では、輪を並べたように見える紅斑が胴体や四肢に出たり消えたりします。皮下結節は、肘や膝の隆起部の皮膚の下に硬いしこりができるものです。

 

 

膠原病の検査と診断

 

■検査

溶連菌の先行感染を示す毒素抗体価(ASO値)、赤沈(血沈)の亢進、急性炎症や組織破壊を示すCRP値、白血球数などから溶連菌感染や炎症の有無を調べますが、リウマチ熱の特有な検査所見はありません。心臓の炎症の有無を聴診や心電図などで調べ、胸部X線検査で心肥大などの異常を確認します。

 

■診断

リウマチ熱は診断基準(下の表参照)に基づいて診断します。鑑別が必要な病気には、ほかの膠原病、白血病、敗血症、感染性心内膜炎などがあります。

 

≪リウマチ熱診断基準≫

大症状小症状
  • 心炎
  • 多関節炎
  • 舞踏病
  • 輪状紅斑
  • 皮下結節
[臨床症状]

  • 関節痛
  • 発熱
[検査所見]

  • 急性期反応
  • 赤沈値
  • CRP
  • 心電図PR時間延長

先行するA群溶連菌感染の証拠

  • 咽頭培養陽性または連鎖球菌迅速反応の陽性
  • 血清連鎖球菌抗体の高値または上昇

 

大症状が二つ以上、または大症状一つに小症状が二つ以上あり、かつ溶連菌に感染している場合にリウマチ熱の可能性が高いと判定します。

 

 

膠原病の治療と予後

 

心臓に後遺症を残さないことが治療の中心になります。

 

■治療

1ヶ月ほど入院して、安静を保ちながら薬物療法を行います。溶連菌を除去するためにペニシリンなどの抗生物質、心炎治療にステロイド剤などが用いられます。発症してから2週間以内にステロイド剤を使用すれば、心臓の炎症を完全に抑えることができます。関節炎にはアスピリンが有効です。

 

■予後

治療開始から2ヶ月たって再発がないと、病気の活動期は終了したと考えられます。心内膜炎が発症しなければ症状が消えてから2ヶ月で完全に回復したとみなされ、炎症があっても心雑音が消えてから6ヶ月間異常が現れなければ、元の生活に戻れます。心臓弁膜症が残っていた場合には、日常生活の規制が必要になります。

 

子どもの膠原病は発熱などの全身症状が先行するケースが多く、大人のように各疾患に特有な初期症状が現れにくいために、診断が難しいとされています。感染症の兆候もなく原因不明の発熱が続き、あちこちの筋肉や関節が痛んだり体重が減るようなときには、ただちに小児科を受診して、早期の診断と治療を心がけましょう。寛解しても再発する疾患も多いので、医師の指示に従って粘り強い治療が必要となります。

 

なお、膠原病と関わりの深い若年性関節リウマチについては、「子どもに起こるリウマチ「若年性関節リウマチ」について」をご参照ください。

 

 

その他の膠原病

 

子どもがかかる、このほかの膠原病は、いずれも難治性が高く長期の治療が必要ですが、全身性エリテマトーデス以外は、子どもには極めてまれです。

 

■全身性エリテマトーデス

患者の約20%が小児期に発病するといわれる全身性エリテマトーデスは、皮膚や全身の臓器に炎症が起こり、発病初期は40℃に達する発熱や関節痛が主症状です。子どもの場合は、全身性エリテマトーデスの特徴とされる、チョウが羽を広げたような形の蝶形紅斑が鼻の両側に現れることは少なく、診断が難しい病気です。

 

■皮膚筋炎

からだの中心に近い四肢の筋肉に炎症や変形が起こって、力が入らなくなる多発性筋炎に皮膚の紅斑が伴います。皮膚筋炎には急性型と慢性型があり、急性型は重症筋無力症や筋ジストロフィーと間違われることがあります。

 

■強皮症

皮膚が硬化して薄くなる病気で、関節や食道などの消化管のほか、肺や心臓にも障害が起こるため、全身性皮膚硬化症ともいいます。

 

■シェーグレン症候群

涙腺や唾液腺のような分泌腺に炎症が起きて、耳下腺炎を繰り返し、目や口、皮膚などが乾燥する病気です。

 

■多発動脈炎

全身の中小動脈の壊死が原因で起こる病気で、侵される血管が年齢によって異なります。授幼児期では冠動脈に発症することが多く、乳児型多発動脈炎ともいわれています。