子供は、警戒心が薄く、また危険なものに対する認知が低いことから、怪我がつきものとなりますが、怪我の中でも特に怖いのが「やけど」です。軽度なもの(表皮熱傷)であれば冷やして様子をみるだけで治っていきますが、皮下まで達する中等度・重度のものになると命に関わる場合もありますので注意が必要です。

 

見た目に軽度と考えていても、中等度・重度の可能性もありますので、少しでも「やけど」した際には皮膚科や外科などへ受診するようにしてください。また、症状を軽減させる目的として、病院に連れていく前に適切な対処を行うようにしてください。

 

 

熱傷(やけど)

 

医療の世界では、やけどのことを熱傷(ねっしょう)と言います。これは、高熱のものが、触れることで起こる皮膚や粘膜の障害(傷)を意味するからです。酸やアルカリなどの化学薬品によるものは、化学熱傷(薬傷)といいます。

 

熱傷は、温度による影響が皮膚のどの深さまで及んでいるかによって、分類されています(下表参照)。医療機関とは、皮膚科・外科・救急指定病院を表しています。

 

旧分類皮膚学的分類目で見た症状自覚症状緊急度
第1度表皮熱傷赤くなり、腫れる軽くヒリヒリと痛む広範囲の場合は医療機関を受診
第2度真皮浅層熱傷赤く腫れて水疱ができているヒリヒリと持続性に痛む必ず医療機関を受診
命に関わる重症熱傷です直ちに救急車を呼びます
真皮深層熱傷浅い潰瘍(びらん)焼けるように持続性に痛む
第3度皮下熱傷白っぽい、又は黒っぽい(壊死)ほとんどの場合痛みを感じない

 

深さは、「温度×時間」で決まります。つまり、ホットカーペットやコタツによる熱傷は、温度が低いけれど触れている時間が長いために第2~3度の熱傷になることが多く、アイロンやお湯・火などによる熱傷は、温度は高いけれど触れている時間が瞬間的なために第1~2度になることが多いのです。前者を「低温やけど」、後者を「高温やけど」と一般に言います。

 

 

子供のまわりは、危険がいっぱい

 

熱傷はいろいろな原因で起こります。子供って、何でも触って確かめようとしますよね。熱いアイロンやストーブ、ファンヒーターの吹き出し口、たばこの火などに触ったり、ヤカンをひっくりかえしたり、テーブルの上のポットをいじくってお湯をこぼしたり。他には、コーヒー、みそ汁、ス-プ、ラ-メン、てんぷら油・・・切りがありません。

 

過熱した浴槽内への転落は、乳幼児の広範囲な熱傷の最も多い原因です。外に出ればオ-トバイのマフラ-、炎天下の乗用車のボディーやマンホールなんかも原因になります。冬場は、ホットカーペット、コタツ、電気毛布、電気あんか、湯たんぽ、暖房便座、使い捨てカイロなどによる低温やけども起こします。睡眠中は、温度に対する感覚が鈍りますから使うときの温度にも気をつけましょう。

 

家の中も外も熱傷の危険がいっぱいですね。家の中では、子供の手の届く所へ危ない物を置かないことが大切です。家の外では、危ない物に子供を近づけないことや解る年齢になれば何が危ないのかを教えてあげましょう。熱傷をさせてしまってから悔やんでも悔やみきれません。

 

痛いだけでなく後遺症を残してはあまりにもかわいそうです。熱傷はチョットした注意をしておけばほとんどの場合防ぐことが出来ますから、ここはお母さんの腕の見せ所です。熱傷をさせないことが一番だけど、もし、熱傷をさせてしまった場合に、少しでも軽くすませるための処置の仕方を覚えておきましょう。

 

 

家庭でできる応急手当

 

熱傷をしてしまったら、まず第一にすることは、出来るだけ早く流水で冷やすことです。早期の冷却は、やけどの進行を止め、痛みの軽減に役立ちます。あえて氷や氷水を使う必要はありません。水道水で充分です。

 

冷やすことが熱傷の最善の手当て・処置になります。水道水のない場所の場合は、きれいな川の水でもいいですし、バケツに汲んだ水の中に患部を浸けるだけでもかまいません。氷しかないのでしたらそれでもいいのです。とにかく冷却することが大切です。でも、赤ちゃんや乳児の場合には、広範囲(片腕・片足以上)を長時間流水にさらすことで低体温にならないように患部以外は保温することも忘れないで下さいね。

 

顔などの流水で冷しにくい場所は、汚れを流し落としてから清潔なガーゼや薄いハンカチを1枚だけ熱傷した皮膚にあてたままにし、その上から水でぬらした清潔なガーゼやタオルをひんぱんに替えて冷やします。摩擦によって熱傷した皮膚の損傷を防ぐためです。

 

衣服に覆われた部分が熱傷をした場合は、衣服の上からまず水をかけます(10~15分の冷却)。広い範囲のやけどは、全身の冷却を続けると体温が低下するので、数回水をかけた後は清潔なシ-ツ、タオルなどで全身を覆い保温します。衣服などが非常に汚く汚染されている場合は、感染を予防するために冷却と洗浄をしながらそっと脱がせていきます。

 

水疱が破れたりしそうな場合は衣服をハサミで切ることも必要です。また、皮膚に一番近い一枚を残して脱がせる方法でもいいでしょう。しかし、熱傷した皮膚と衣服がくっついていたりしている場合は、家庭で無理に脱がせる必要はありません。そのままで、医療機関を受診して下さい。

 

子供が熱傷をしたらどこの親も気が動転してしまい慌ててしまいますよね。不安にもなるでしょう。当然のことです。でも、熱傷を負った本人はもっともっと大変です。たとえ、子供の不注意で熱傷をしてしまった場合でも怒るのは後にして下さい。熱傷の大小に関わらず、処置を優先させましょう。

 

子供は痛みを我慢することは出来ませんから、泣き出したり、暴れたりするでしょう。流水を掛けて冷却するのもひと苦労だと思います。子供は、親の態度を見て、不安が高まりパニック状態になることもあるでしょう。まず、大きく息を吸って、ゆっくり吐き出してから、「大丈夫よ」と優しく声を掛けてあげて下さい。お父さん、お母さんの言葉は、何よりの安心です。

 

皮膚が赤くなった程度の場合(第1度)

範囲が小さく、赤くなった程度の熱傷であれば、冷却し、痛みがとれれば、副腎皮質ホルモン配合の油性軟膏を塗り、清潔なガーゼなどでおおうようにしましょう。乳幼児の場合、受傷した直後は、赤くなっていただけなのに、数時間後に水泡を形成することがよくあります。その後の経過を見て、水疱が形成されるようであれば、医療機関を受診しましょう。

しかし、 乳幼児で熱傷の範囲が広範な場合(だいたいの目安)や範囲が小さくても傷をともなっている場合は、冷却・洗浄し、清潔なガーゼでそっと覆った状態で直ぐに医療機関を受診しましょう。傷からの細菌感染によって、治りにくくなったり、重症化することがあります。昔から使われている、チンク油、馬油、しょうゆ、みそ、ポマード、いもや大根おろし、アロエなどの民間療法は熱傷を負った皮膚には刺激が強すぎて、皮膚の炎症をひどくさせたり、不潔になって感染を起こす危険がありますから絶対に止めましょう。

 

水疱(水ぶくれ)ができた場合(第2度)

冷却の時の流水の強さに気をつけましょう。あまり勢いよく水をかけると、水疱が破けてしまうことがあります。水疱が破けてしまうと細菌感染の危険性が高くなってしまいます。細菌感染を起こすと重症化し、治りが遅くなったり、治った後の傷が引きつって醜くなったりしてしまいます。冷却後は、水疱をつぶさないように清潔なガーゼなどでそっと保護をしておきましょう。そして、熱傷の大きさに関わらず、直ぐに医療機関を受診しましょう。

 

上記以上の場合(第3度)

第3度の熱傷のある場合は、第2度から3度の熱傷が部分的に混在していることがほとんどです。上記のように冷却、洗浄をしながら救急車を依頼し、救急車が到着するまでは、熱傷した部位の清潔を保ちましょう。