子どもは、何でも口にしてしまいますので、誤飲の可能性はしっかりと考慮しなければいけません。固形物による呼吸停止、危険物によるショック、これらによる死亡例は毎年多数、報告されています。特にタバコや洗剤、化粧品など身近にあるものは誤飲の可能性が高い傾向にあります。

 

誤飲したからと言って必ずしも重篤になるわけではなく、誤飲したもの、対処の仕方によって症状を抑えたり、死亡率を大きく下げることができますので、万が一何かを食べてしまっても、慌てずに対処しましょう。

 

 

子どもの誤飲について

 

本来口に入れるべきものでないものを口に入れることを「誤飲」、飲み込むことに失敗して気管などに入ってしまうことを「誤嚥」といいます。子どもはとにかく何でも口にします。直接それで亡くなる頻度は高くはないものの、実際に発生する事故の中では最も多いものです。特に気をつけなければいけない物としては、タバコ、小銭、ボタン電池、化粧品、洗剤、薬品、農薬・肥料、灯油、殺虫剤、ナフタリンなどです。

 

中でもタバコは圧倒的に多いもので、まわりが禁煙することがベストですが、やめられないときもタバコや吸殻の置き場所にはいつも神経を使うようにしたいものです。1メートル以上の高さのところにそういったものは置くようにしましょう。1メートルの高さが届くくらいの年齢(3歳ころ)になれば誤飲は起こしにくくなります。

 

気道異物で最も多いのがピーナッツです。3歳くらいまでは、硬い豆類は与えないようにしましょう。口に入れても大丈夫なものか、危険なものかの判断は難しく、安易な判断は危険です。何かを間違えて口に入れてしまったら、病院や中毒センターなどに電話したり本で調べたりして受診した方がいいのか、様子をみていいのかをきちんと確認しておきましょう。病院を受診するときには、必ず食べたものの容器や残りがあれば持っていくようにします。

 

 

誤飲後すぐに意識の確認を

 

意識はあるか。何をどれだけ食べた可能性があるのかを落ち着いてチェックします。意識がなければ、すぐに救急車を呼びます。

 

≪意識があるとき、どうすればいいか≫

これは何をどれだけ食べたかによって大きく異なります。まずある程度食べたとしても何も問題のないようなものであれば、そのまま様子をみます。下記のものは比較的誤飲の頻度が高いものですが、毒性は低くあまり心配のないものです。しかし、それはあくまで1・2歳の子が常識的に口に入れるであろう量を基準にした話であり、大量に誤飲した場合は必ずしも安全とは言えないものもあります。

 

頻度は比較的高いが毒性の少ないもの
インク、クレヨン、クレパス、消しゴム、のり、チョーク、粘土、水彩絵の具鉛筆の芯、ボールペンのインク、 ベビーオイル、ベビーローション、紙おむつ、シャボン玉、体温計水銀、おむつかぶれの軟膏、口紅、化粧用クリーム、ファンデーション、植物活力剤、シリカゲル、線香、蚊取り線香、蚊取りマット、マッチ、ろうそく

 

次に毒性がある物質の場合では、量が多ければ問題になるもの、量が少なくても問題になるものの2通りに大きく分けて考えると、前者で明らかに食べた量が少なければ、そのまま様子をみることも可能ですが、実際の誤飲では食べた量がはっきりしないことがほとんどです。

 

基本的に毒性があるものであれば、病院を受診したほうがいいでしょう。その場合、あらかじめ家で吐かせておいた方がいいものと、吐かせてはいけないものがあります。病院まですぐ到着できればいいですが、多少時間を要する場合、吐かせておくべきものは家で吐かせた方が賢明です。しかし、逆に吐かせてはいけないものを吐かせてしまうことは危険です。吐かせてはいけないものは、しっかり記憶しておきましょう。

 

吐かせてはいけないとき
  • 意識がないとき
  • 石油製品(石油、灯油、シンナー、ベンジンなど)を飲んだとき
  • 酸性やアルカリ性の強い洗浄剤などを飲んだとき
  • けいれんを起こしているとき・起こしかけているようなとき

 

 

誤飲した時の吐かせ方

 

上記に該当しないような場合では、誤飲のもっともよい処置は吐かせることです。吐かせるときには、指やスプーンをのどの奥に深く入れ、舌の根元のところを強く押して吐かせます。吐かせるときには仰向けにはせず、大人が立て膝をして、その上に子どもをうつぶせに乗せて、頭を低くするようにして吐かせます。

 

また、吐かせる前に牛乳を飲ませると、毒を牛乳に吸着させることと吐かせやすくする作用があり効果的です。ただし、この際にも牛乳を飲ませてはいけないものがあるので、これもよく覚えておきましょう。これらの物質は脂肪に溶けやすいので、牛乳を飲ませるとその毒性の吸収を早めてしまうことがあるからです。

 

牛乳を飲ませてはいけないもの
灯油、ガソリン、ベンジン、マニキュア、除光液、液体蚊取り、しょうのう、ナフタリン、ホウ酸団子

 

 

中毒110番

(財)日本中毒情報センターでは化学物質、医薬品、動植物の毒などによっておこる急性の中毒について情報提供していますので、利用してみるのもいいでしょう。ただし、小石やビー玉などの異物誤飲や食中毒、常用量での医薬品の副作用については受け付けていません。一般家庭用品の中毒情報は(財)日本中毒情報センターのホームページからも検索できます。

 

中毒110番・電話サービスの利用方法
■大阪中毒110番(365日 24時間対応)072-727-2499 (情報提供料:無料) 

■つくば中毒110番(365日 9時~21時対応)

029-852-9999 (情報提供料:無料)

 

※なお、一般専用電話に医師および医療機関の皆様からお問い合わせを受けた場合、情報提供料は有料(1件につき2,000円)となりますので、ご了承下さい。

 

■たばこ専用電話(365日 24時間対応、テープによる情報提供:一般向け)

072-726-9922 (情報提供料:無料)

 

 

誤飲一覧表

 

次に誤飲の頻度の高いものについて、個別に一覧にしてみます。しかし、表の分類の中に含まれると考えられるものでも、商品によって多少成分が異なっているため、必ずしも該当しない場合がありますので注意してください。また、「様子をみる」と記載されていても、子どもに異変がある場合は必ず受診させてください。

 

誤飲物質危険度対応・家庭での処置
洗剤類
トイレ用などの
住宅用洗浄剤
酸性
アルカリ性
★★★牛乳を飲ませて受診、吐かせない
中性★★一口以上飲んだ可能性あれば牛乳を飲ませて受診、吐かせない
漂白剤(原液)★★★牛乳を飲ませて受診、吐かせない
台所用洗剤★★牛乳を飲ませるが吐かせない
漂白剤入りや濃縮タイプは少量でも受診。それ以外はなめた程度なら様子をみる。
洗濯用洗剤★★牛乳を飲ませるが吐かせない
漂白剤入りや濃縮タイプは少量でも受診。それ以外はなめた程度なら様子をみる。
石鹸大量でなければ心配ない。牛乳を飲ませる。
化粧品
マニキュア・除光液★★★少量でも受診、何も飲ませず吐かせない
化粧水一口くらいなら様子みる。たくさん飲んで、顔が赤くなったり苦しそうなら受診
乳液、クリーム、口紅よほどの大量でなければ心配ない
シャンプー少量であれば、牛乳を飲ませて様子みる
香水・オーディコロン★★なめた程度なら様子みる
飲んだときには牛乳を飲ませて吐かせて受診
日焼け止めローション★★なめた程度なら様子をみる
たくさん飲んだときは、牛乳を飲ませて吐かせる
身の回りの品
液体蚊取り★★なめた程度なら様子みる。一口以上飲んでいれば受診
何も飲ませず吐かせない
防虫剤しょうのう★★★少量でも受診
何も飲ませず吐かせない
ナフタリン★★★なめた程度なら様子みる。少しでも食べていれば、水を飲ませて吐かせ、受診
パラジクロロベンゼン★★★かけらくらいなら心配ない。1/4個以上食べて入れば、水を飲ませて吐かせ、受診
ボタン電池★★★飲んでいればすぐ受診
食品乾燥剤生石灰★★★牛乳を飲ませてすぐに受診。吐かせない。
シリカゲル心配ない
芳香剤固形、ゲル状のものは心配ない。液状のものは水か牛乳を飲ませて吐かせる
タバコ★★1本以上で致死量。2cm未満なら様子みる。それ以上なら吐かせて受診。何も飲ませない。
吸殻入りの水・ジュース★★★★少量でも飲んでいれば受診。何も飲ませない。
ホウ酸団子(ゴキブリ駆除剤)★★★明らかに食べていれば水か牛乳を飲ませて吐かせ、受診。商品によってホウ酸含有量は異なり、量が少ないものは危険性は少なくなる
灯油・ベンジン・ガソリン★★★★少量でも(なめた程度でも)すぐ受診
何も飲ませず吐かせない