腹痛は小児の訴える痛みの中では最も多いものの一つです。外来診療の中で「おなかが痛い」との訴えをとてもよく聞きます。

 

その原因の多くは便秘、急性胃腸炎、心因性などでありますが、しかし、すぐに外科的処置を必要とするような急性腹症と呼ばれる重い病気もあるので軽視できないところです。2歳以下でははっきりと腹痛を訴えることはできないのでただただ機嫌悪く泣いているということもあります。

 

ここでは小児がおなかが痛いと訴えた時にどのような事に注意したら良いか。さらに初めて腹痛で病院にかかる時どのような検査がなされ、医療費はどのくらいかかるのかなどについてお知らせいたします。

 

 

腹痛の時の注意点

 

1、随伴症状:

下痢、吐き気、嘔吐、便秘、血便、発熱などがあるか

 

2、痛みの部位:

おへその周り、下腹部(右下、左下、真中)、みぞおち、側腹部など

 

3、痛みの程度:

強いまたは鈍い痛み、持続的または間欠的な痛みなど

 

4、一般症状:

元気はよいか、ぐったリしているか、顔色は蒼白か赤いか、歩行できるか、前屈みで歩くか、ジャンプはできるか、食事はできるかなど

 

 

緊急を要するあるいは外科的処置が必要となる病気

 

1、腸重積症:

2歳以下に多い。嘔吐を伴う、間欠的に痛み(強く泣く)を訴える。浣腸で血便を見る。

 

2、急性虫垂炎:

1歳以下はまれであるが、低年齢では訴えが乏しく診断が遅れやすい。病初は吐き気、微熱、上腹部痛、次第に右下腹部へ痛みが移る、前屈みで歩くようになる、ジャンプすると右下腹部痛が増強する。

 

3、ソケイヘルニア嵌頓:

乳児期に多い。ヘルニア内容が絞扼された状態にあり、そのまま放置すると内容が虚血性壊死に陥るヘルニアである不機嫌になり、下腹部の痛み、嘔吐などが見られる。

 

4、睾丸捻転:

幼児・小児期の男子に見られる。陰のう部腫腿・痛み、下腹部痛を訴える。

 

5、卵巣のう腫茎捻転:

小児期の女子に見られる。左または右下腹部の痛みを訴える。

 

6、腸軸捻転:

乳幼児に多い。激しい痛み、胆汁(緑色の吐物)を嘔吐する。

 

 

その他の病気

 

1、心因性腹痛:

反復性であり、幼児・小児期に多い。腹痛は短時間であリ朝に訴えることが多い。

 

2、便秘:

小児の腹痛の原因で最も頻度が高く、腹痛以外の症状はほとんどない。

 

3、急性胃腸炎:

下痢や吐き気、嘔吐を伴うことが多い。

 

4.アレルギー性紫斑病:

紫斑(皮下の出血斑)や関節痛を伴うことが多いが、初症状として腹痛のみを訴えることもある。

 

5、メッケル憩室炎:

下血が最も頻度の高い症状であるが炎症に伴い腹痛を訴える。

 

6、自家中毒症:

幼児期から小児(低学年)に多い。かぜやストレスで吐き気、嘔吐が出現し、尿にアセトン体が出る。

 

7、その他:

膀胱炎、腎盂腎炎、肺炎、中耳炎などの感染症に腹痛が伴うこともある。

 

 

腹痛を訴えた場合の対応について

 

一般的な対応としては横に寝かせて安静を保ってみる。集団生活で精神的なストレスが強い子供は、休学や保健室での休息が最良の手段となる場合もある。食事は濃厚食、冷飲食物は避けて、あたたかく水分が多くうす味のものを摂る。

 

腹痛のみで随伴症状のない時は便秘をしていないか、便が固くなっていないかをよく聞いてみる。外来診療では便秘症で腹痛を起こす例が多く、強い腹痛を訴えていても浣腸をして便が出てすっかり良くなる患者も多い。

 

まず、自然排便を試みてみる。排便があった場合は流す前に便の性状、色、血便の有無などを見ておく。

 

腹痛が反復性で、短時間であり随伴症状がないかあるいは逆に吐き気、頭痛、食欲不振などの不定愁訴が多い場合は心因性の腹痛も考えられる。

 

嘔吐、血便などの随伴症状がある時は吐いたものや便をしたおむつをもってなるべく早く受診する。一般状態でぐったりしていたり顔色が蒼くなっている時もまた、前屈みで歩行しているような時もまた、痛みの程度も強くみぞおちや下腹部で圧痛がある時も注意を要するのでなるべく早く受診するようにする。

 

 

腹痛で病院を受診した場合かかる医療費について

 

外来で浣腸だけで良くなってしまう場合もありますが、必要に応じて血液検査、尿検査や腹部レ線、腹部超音波検査なども行われます。

 

その場合小児の年齢によっても違いがありますが、被保険者家族で3割自己負担として初診時1,500円から5,000円くらいでしょう。