腎臓は血液をろ過し、いるもの、いらないものを選別し、体の内部の環境を整える臓器です。したがって、快適な環境づくりが何よりもの予防や改善法になります。

 

食事に注意し、適度な運動を行うことにより、かぜなどをひかないように免疫力、抵抗力を強めておくことが何よりもの予防。

 

それでも避けがたく腎臓病にかかったとしても、きちんと治療を行い、コントロールしていけば、進行を先送りすることができ、何年も何十年も現状維持のまま過ごすことさえできます。

 

 

体の内部環境を整える

 

腎臓は体の内部環境を整える器官ですから、内部環境が整っていれば、腎臓の負担は少なくなります。できる限り、環境を整えて、腎臓に負担がかからないよう、日常生活習慣のなかでカバーしてあげましょう。

 

急性糸球体腎炎は、一般のかぜ(上気道感染)が先行し、それに伴った免疫反応の異常によって発症すると考えられています。先行感染の重い・軽いにかかわらず、ひどいかぜをひいたから腎炎になるとか、鼻かぜ程度だから大丈夫といった線引きはできません。

 

ただし、すでに腎炎の診断を受けている場合はかぜなどによって悪化させることもあるので、かぜなどをひかないように注意し、ひいてしまったらすみやかに治療を受けることが大切です。

 

また、それ以外の一般的な感染症、たとえば肺炎、胆のう炎、敗血症などにかかった場合、重症なほど腎臓に悪影響を及ぼす可能性があります。なぜならば、発熱や水分摂取の減少などによって脱水状態となり、腎臓に流れる血液が減少するからです。

 

また、カロリー不足により異化作用(体のたんぱく質をこわしてエネルギー源とする)が亢進して、たんぱく代謝産物が増加し、腎臓に負担をかけることになります。

 

尿路感染症では、とくに腎盂腎炎が腎臓に悪影響を及ぼすことがあります。すでに腎機能障害がある場合や高齢者で腎臓に動脈硬化(腎硬化症)のある場合には、腎機能を急速に悪化させることになるので、すみやかに適切な治療を受けることが必要です。

 

 

腎臓に優しい日常生活習慣

 

腎臓を労わるためには、さまざまなことに気を配らなければいけません。しかしながら、どれも難しいものではありませんし、ちょっとの気配りでできることですので、腎臓病を罹患する可能性のある方やすでに罹っている方も積極的に行っていきましょう。

 

①冷えや過労をしないように

冷えや過労は、体の抵抗力や免疫作用を低下させます。感染症にもかかりやすくなるので、体を冷やさない工夫、十分な休養に心がけましょう。

 

②健康感度を高めよう

心臓病、糖尿病、高血圧、痛風などの生活習慣病が進むと、腎臓機能の低下がおこります。すでになんらかの病気にかかっている人はできるだけ早くに改善をしましょう。

 

③塩分を制限しよう

腎臓病にかかると、血圧が上昇します。これは、腎臓のなかの血圧調整機能の低下によるもの。また、高血圧が腎臓の機能を低下させる原因にもなっています。高血圧を昂進させないために塩分の制限を行いましょう。また、塩分の過剰摂取は、血液のバランスを一定に保つために排除しなければならず、腎臓機能を酷使する原因になります。

 

④かぜ、扁桃炎は早めに治療、ゆっくり養生

急性腎炎はかぜや扁桃炎のあとにおこることが多いので、できるだけかからないようにし、かかったときには早めに治療して大事に至らないようにしましょう。

 

⑤日常生活でおかしいと思ったらすぐに受診しましょう。

顔やまぶたが腫れる、尿の様子がおかしい、排尿のときに痛みや違和感がある、頭痛、視力障害などがあれば、かならず受診しましょう。

 

⑥体を清潔にしよう

腎盂腎炎や膀胱炎など、尿道からの細菌侵入を防ぐために、体をいつも清潔に保つために、入浴、下着の取替えをまめに行いましょう。

 

⑦定期的に検査を

腎臓病はほとんど自覚症状がない病気です。そのために、腎臓病を発見するために尿検査が行われます。腎臓病の顕著な所見であるたんぱく尿は、検査してはじめてわかるものですから、定期的な検査が必要です。

 

 

慢性腎炎・ネフローゼの食事療法のポイント

 

腎臓病の食事のポイントは、たんぱく質と塩分、そしてエネルギーの取り方です。たんぱく質に対する考え方は、ここ十数年で大幅に変化していますので、注意してください。

 

従来、慢性腎炎の場合にはたんぱく質を制限し、尿中にたんぱく質が大量に排泄されるネフローゼでは、その分しっかりと摂取しなければならず、高たんぱく食をすすめていたものです。しかし現在では、どんな場合でもたんぱく質を制限することが基本になっています。

 

1日のたんぱく質の摂取量は、健康な人でも1日体重1キロ当たり1.2?1.5グラム程度。ネフローゼも含め、腎臓病の食事療法では、1日のたんぱく質は体重1キロ当たり1グラム以下、というのが一般的な専門医の指導です。

 

つまり、体重60キロの人では1日60グラム。しかし、それ以下を指示する専門医も多く、1日40グラム程度の低たんぱくに抑えると明らかに効果が高くなります。たんぱく質のコントロールによって、病気の進行度には大きな違いが生じます。

 

たんぱく質の制限を始める時期は、血清クレアチニン値が目安になり、2mg/dl以上になったらそろそろ始め出し、3~5mg/dlになったら厳しく制限。10mg/dl以上になったら、透析が必要になります。したがって、血清クレアチニン値をしっかりとコントロールしていけば、透析に入る時期をずっと先送りすることができます。

 

食塩は、血圧が高いときには、1日7グラムに制限します。慢性腎不全がある場合、ネフローゼでむくみがある場合には5グラムに制限。塩分を少なくしても、食生活の質を落とさないためには、香辛料を上手に使ったり、料理にメリハリをつけるなどの工夫が必要です。

 

最近では、減塩の調味料も多く、また料理内の塩分を測れるグッズなども市販されているので、上手に利用して減塩生活を長続きさせましょう。

 

また、ネフローゼでは肝臓でのコレステロールの合成をさかんにします。そのため、血液中のコレステロールが高くなっていることがあるので、動物性脂肪を控えて魚や野菜中心にし、調理には植物性油を使うようにします。

 

エネルギーはふつうに摂取します。1日の摂取エネルギーは、体重1キロ当たり30~35カロリー程度。基礎代謝量だけで25キロカロリーが必要になるので、ふつうに生活している場合には、この程度が必要になります。

 

たんぱく質を制限すると、なかなかエネルギーが摂取できず、ともすれば不足に陥りがちです。またエネルギーだけでなく、ビタミンやミネラルの摂取も大事です。

 

腎不全になると、水分のほかにカリウムがたまりやすくなります。したがって、カリウムを多く含む野菜類をふんだんに食べてビタミン補給を行うことができなくなることもあります。

 

血清カリウム値が高くなると、医師はカリウム制限の指示をしますから、その場合には、野菜はいったんゆでて使ったり、カリウムの吸収を阻害する薬を用いたりします。こうした食事療法を覚えるためには、体験入院することがもっとも効率よく実行できる手だてになります。

 

 

日常生活の過ごし方

 

日常生活をどのように過ごすかについては病気の進行度によって違います。これはクレアチニン・クリアランス値によって安静度が示されます。その値によってどの程度の生活が可能なのかの判断ができます。

 

生活指導基準は5段階に分かれており、5は「ほぼ正常」、4は「ほぼ正常から軽度の低下」、3は「中等度低下」、2は「中等度ないし高度低下」、1は「高度低下」と区分されます。

 

この区分で4、5の場合には、ごくふつうの生活が可能。3、2になると生活が規制されます。ここで、きちんとした食事管理をし、規則正しい生活をすれば、病気の進行を遅らせることができます。

 

運動も同様に、3、2になると個々の病状、体力に合わせた指導を受ける必要がありますが、その前ならあまりハードなものでなければ、ふつうに行っても大丈夫です。学生の場合には、体育の授業は受けてもかまいませんが、運動の部活は控えるようにしましょう。

 

文化活動的な趣味は、何でも自由にやってかまいません。4、5の場合なら旅行でどこに行ってもかまいません。家事、入浴、夫婦生活などは,どの段階でもふつうに行ってかまいません。

 

 

まとめ

 

腎臓は体の機能の中で特に重要な臓器ですので、腎臓の機能が低下したり、腎臓の病気を患うと生活上で大きな支障となるばかりか、病気の種類によっては寝たきりになってしまうこともあります。

 

そうならないためにも食事や生活上さまざまな点に気をつける必要があり、暴飲暴食や塩分の過剰摂取は特に避けなければいけません。日々、腎臓を労わる生活を送ることで、たとえ程度の重い腎臓病を患っていても進行を先送りにでき、また治癒を早めることができるため、面倒くさいと思わず積極的に改善に取り組んでいってくださいね。