辛抱強く、じっと耐えれば耐えるほど、プッツンしたときのダメージは激しい……肝臓も例外ではありません。

 

急性肝炎から慢性肝炎へ、そして肝硬変から肝がんへと次第にエスカレートしていきながら、肝硬変になってさえもじっと耐え抜き、悲鳴を上げません。

 

そしてついに肝がんという終着駅まで走り続けるのです。そうならない前に早期発見、早期治療につとめましょう。

 

関連ページ:肝臓は沈黙の臓器ゆえ、悲鳴を上げた時には手遅れに!

 

肝臓に負担をかけないことが大切

 

肝臓の働きを思い出しましょう。「代謝」「解毒」そして胆汁などの分泌や合成です。この働きを阻害する行為は、すべて肝臓にとってはマイナス。

 

食べ過ぎれば、その分、分解や合成、貯蔵の負担を大きくするのでマイナス。アルコールは肝臓にとっては毒物ですから、解毒のために負担をかけるのでマイナス。その他、薬物や食品添加剤も毒物なので肝臓の負担になります。

 

そう考えれば、肝臓に負担をかけないような食事を中心とした生活習慣と、体にとって好ましくないものを継続して食べたり、大量に摂取しないように心がけることが、肝疾患への何よりもの予防法であることがわかります。

 

 

成人の5人に一人が脂肪肝

 

正常な肝臓細胞内の脂肪は3~5%程度ですが、30%以上に中性脂肪が詰まった状態を脂肪肝といいます。

 

肝臓は、血液によって運ばれた脂肪分から中性脂肪やコレステロール、リン脂質などを合成し、放出しています。この脂質代謝のバランスが崩れると肝臓に脂肪がたまり始めます。

 

その主な原因は、カロリーのとり過ぎによるもの。飲み過ぎや食べ過ぎによって過剰になったエネルギーは中性脂肪となり、中性脂肪が肝細胞のなかに異常にたまった状態が脂肪肝です。

 

定期検診を受診した3000人について調査したところ、男女合わせて約21%の人に脂肪肝がみられたという結果がでています。つまり5人に1人が脂肪肝なのです。

 

しかし、脂肪肝に対する認識は浅く、ほとんどの人が病気ではないと思っていたり、多少は気になったとしてもたいしたことはないと考えて放置しがちです。

 

 

脂肪肝は生活習慣病の基礎を作る

 

一般的には、脂肪肝だけでは肝硬変や肝臓がんなどの恐ろしい病気に移行することはないといわれていますが、脂肪肝を放置したまま、さらにアルコールを飲み続けると急性アルコール性肝炎がおこり、脂肪肝と急性アルコール性肝炎とが合併しながら、肝硬変に移行していきます。

 

しかも、脂肪肝は生活習慣病の素地をつくり、心疾患や糖尿病を招く大きな要因となっており、その発病率は、脂肪肝のない人の2倍という報告もあります。

 

アルコール以外に肥満や糖尿病等が原因となる場合もあり、その原因を取り除けば回復します。

 

アルコールと関連性の高い脂肪肝とアルコール性肝炎の終着駅は肝硬変や肝がん。定期検診で脂肪肝やアルコール性肝炎といわれたら、自覚症状がまったくなくても、細心の注意をはらってください。

 

脂肪肝

お酒だけではなく、脂肪や糖質のとり過ぎでも起こります。肥満や糖尿病の人によくみられます。検査値では、GOT、GPTが中程度に上昇し、コレステロール、中性脂肪値が上昇します。

 

アルコール性肝炎

脂肪肝になっているところに、さらに大量のアルコールが入ると、肝臓の代謝能力をオーバーして急性アルコール性肝炎が起こります。そして脂肪肝と急性アルコール性肝炎とが合併しながら肝硬変に進行していきます。検査値ではγGTPが高くなります。治療の第一は、禁酒で、さらに高タンパク食をとることにより、割合早く改善できます。

 

肝硬変

肝硬変は、肝細胞が破壊されて繊維が増え、やがて肝臓が硬くなり機能が低下する病気で、アルコールもしくはウイルス肝炎によるものがほとんどです。かつては、肝硬変になると数年の命といわれたものですが、最近では、発見さえ早ければ、進行をくいとめつつ、合併症を治療し、ほとんどの人が10年以上生きられるようになっています。

 

肺がん

肝がんは肝硬変のなかからジワジワと併発してきます。その背景には、B型肝炎ウイルスかC型肝炎ウイルスがあり、とくにC型肝炎ウイルスに関連した肝がんが大部分を占めています。50歳未満で肝がんになった場合には、B型肝炎ウイルスとの関連が強く、50歳以上ではC型肝炎ウイルス、とくに60歳以上になると80%以上は、C型肝炎ウイルスに関連しています。

 

このほかにも、薬剤や代謝障害、自己免疫などに起因する肝疾患があります。

 

 

肝臓に優しくしてあげよう

 

日常生活では、肝臓に与える負荷を最小限にするため安静が原則ですが、脂肪肝など症状によっては適度な運動をしたほうがよい場合もあります。

 

食事療法は病気によっても違いますが、基本的には高たんぱく・高ビタミンを心がけ、病状に合った適正カロリー量を守ることです。

 

また、食品添加物が多く含まれる加工食品やインスタント食品、古い油、焼けこげといったものも、肝臓の解毒機能に負担をかけるため、できるだけ避けるようにします。

 

飲酒についてはアルコール性肝障害の人はもちろん、ほかに原因のある場合でも禁止すべきです。

 

バランスのとれた食事、十分な休養、肥満解消を心がけるとともに、ダメージを受けた肝細胞の修復に必要な良質のたんぱく質を十分に摂取してください。

 

食事療法の原則は、そのまま肝疾患の予防にも通じるといえます。肝臓を常にいたわり、検査も定期的に受けるようにしましょう。

 

 

下記の症状が当てはまれば診断へ

 

肝臓クンは寡黙ですが、間接的に異常を知らせています。肝臓クンの叫びに耳を傾けてください。次のような症状があれば危険信号。できるだけ早く、検査をしましょう。

 

●手のひらが赤い
●体の力が抜けたようにだるい
●アカンベーをしたときに白目が黄色くなっている
●首筋や胸、肩にかけて赤い斑点が出ている
●手が震える
●体がかゆい
●紅茶色の尿がでる
●油っこい料理が嫌いになる
●お酒がまずく感じる
●日焼けしたように顔色が黒くくすんでいる