多くの人は、1年に1回以上、風邪をひくことでしょう。体が弱い人や子供・お年寄りは、年に5回、10回引くこともあるでしょう。このように、風邪は私たちの身近な病気ですが、悪化することで死亡する可能性があるということを覚えておいてください。

 

多くは肺炎に進行し、さらに悪化することで、免疫力の低い人は、死に至るケースがあるため、風邪といえども軽視することなく、ゆっくり体を休めるなど、早期改善を図るようにしてください。

 

 

軽視できない風邪

 

肺炎は、日本人の死因のなかで第4位。がん、心臓病、脳卒中の3大死因の次に当たります。 ところが、お年寄りの死因では、俄然トップに。慢性疾患で亡くなった場合でも、その約7割に肺炎の兆候がみられるといわれています。

 

そしてまた、肺炎で亡くなった人はほとんどが何らかの基礎疾患を抱えており、お年寄りの死と肺炎は、密接なつながりをもっています。

 

ところが、お年寄りの肺炎は、若い人のように高熱が出たり、咳が出たり、胸の痛みを訴えるなどの症状がありません。ほとんどが微熱だけ。

 

しかも、その微熱の症状を3日間がまんしただけで、かなり重症になってしまい、家族が気づいたときにはすでに手遅れ。病院に運んだ翌日には死んでしまったという例もまれではありません。

 

したがって、かぜの時期になったら、家族や周囲の人は、お年寄りの発熱には十分に注意してください。

 

微熱であっても、何となく元気がない、食欲がない、ぼーっとしていて反応が悪いなどの状態があれば、すぐに受診してください。レントゲン検査によって、その時点で肺炎かどうかが確かめられます。

 

重症になると、これだけ多くの抗生物質が存在しながら、どんな抗生物質を使用しても効果がないことが多くなってしまいます。

 

 

予防策は徹底すること

 

予防には、かぜをひかないように十分に注意すると同時に、その年にインフルエンザの流行にも敏感になって予防接種を受ける、肺炎球菌ワクチンを接種しておくなど、万全をきしてください。

 

肺炎球菌ワクチンには、肺炎を起こす原因菌の代表・肺炎球菌約80種のうち、感染機会の多い23種について免疫をつけることができます。この23種は、肺炎球菌感染症の約9割を占めています。1回の接種で免疫を獲得し、よく持続し、その効果が5年以上続きます。

 

アメリカにおいては、政府機関である疾患防疫センター(CDC)などにおいて、お年寄りやハイリスクグループへの肺炎球菌ワクチンが勧告されており、その接種率も世界各国において、近年、とくに高まっています。日本においては、まだあまり知られておらず、医師ですらも知らないこともあるようです。

 

 

風邪の悪化は肺炎を招く

 

かぜかな、と思っていると、突然に肺炎に……。それがマイコプラズマ肺炎です。2〜3週間の潜伏期間ののちに、乾いたせきとともに発熱します。熱はさほど高くはなく、37〜38度台が続きます。

 

全身の倦怠感や頭痛をともなったり、かぜ症状のあとに引き続き胸痛や耳痛をともなって現れることもあります。いずれにしても、この程度で肺炎?と思うほど、簡単に、突然、屈強な若者までも襲うことが特徴。

 

救急措置を必要とすることは少ないのですが、なかに意識障害、貧血、出血斑などの合併症をともなうことがあるので、そのときにはすぐに病院に搬送します。飛沫感染なので、集団で発生し、小学校や幼稚園が閉鎖になることもあります。

 

この肺炎の原因はマイコプラズマ・ニューモニエという細菌。細菌とはいっても、細胞膜をもたない特殊な菌で、この菌に感染すると、気管支から肺胞にかけて炎症がおこります。

 

菌自体がもっている毒性によって炎症が起こるのか、それとも菌を異物として認識し免疫反応が起こった結果、炎症が起こるのか明らかにはなっていません。

 

通常は、そのまま安静にしているだけでも自然に治りますが、重症化することもあるので、マクロライド系抗生剤を投与して治療します。8歳以下の幼児では、合併する細菌性肺炎のために、ペニシリン系抗生剤も併用します。

 

マイコプラズマ肺炎には4〜5年に1回の流行の周期があり、冬季オリンピックの開催年が流行年。したがって、今年が流行年になり、じわじわと患者数が増えています。