カビが繁殖するためには、適当な温度と湿度、酸素、栄養分が必要です。この4つのなかのひとつでも欠如すると生育できませんが、とくに必要なのは温度と湿度。かびの生えにくい5℃以下の温度では生活できませんが、コントロール可能です。

 

しかし、湿気は台所や浴室ばかりでなく、人間の体からも発生しており、洗濯や拭き掃除、ペットなどからもかなり出ており、湿度を低めに保つのものもなかなか大変ですし、最近、好乾性のカビ多くなっており、カビはますます住まいを占拠しています。(関連:カビは害がある?ない?様々なカビの種類を一挙に紹介

 

 

建材の中から水分を吸収して生育

 

すべての生物の構成要素のなかでもっとも多いのは水分。カビも生物ですから、当然水分が必要になります。栄養物を体内に取り込み、菌糸を成長させるためのすべての作業に水が必要。この水分の補給は、菌糸を土のなかに伸ばして得る種類もありますが、多くのカビは建材のなかに含まれる水分を利用しています。

 

カビは住まいのなかの建材や素材のなかに含まれる水分を利用するチャンスをいつも狙っていますが、水分がある限界を超えなければ利用できません。この部分の水を自由水といい、これを利用してカビは生育し続けます。

 

木造住宅や木や土の壁では、湿気を吸収したり放出したりする調整作用がありますが、最近のコンクリート住宅やクロス壁紙にはそうした調整作用がありません。そのため、コンクリートの余剰水のように建材のなかの含水量が増加し、クロス壁紙の裏面の含水率が高くなったときにも湿気を放出できずに自由水が生じてしまいます。

 

また、建材の表面温度と室内温度の関係から結露を生じたり、浴室のタイルの目地や木製の簀の子などのように常時水や湯がかかっていたりすると、これも自由水となるため、カビに十分な水分補給をすることになります。機密性の高いマンションなどは、湿気が逃げず、冷暖房の普及により窓を開けない生活が多く、カビに恰好な発育の条件を与えてしまいます。

 

ふつうのカビは湿度が 100%に近づくほどには旺盛に繁殖しますが、なかにはさほど湿気を必要としない「カワキコウジカビ」などの好乾性のカビもあり、湿度を65%以下にしないと発育が止まりません。そのため、一見乾燥している居間・寝室の壁やカーペットなどにまでカビが出現。長い時間を過ごす場所でのカビの発生は、健康に大きな被害をもたらすことになります。

 

 

マンションはカビの大好物が揃っている

 

明るい出窓に美しいカーペットを敷いたマンション生活。明るく、清潔で、文化的のようにみえますが、実は、そのマンションに入居して4~5カ月もたつと室内がカビの巣窟になる……というトラブルが多発しました。最近では、防カビ処理をした施工が多くなり、以前よりも被害が少なくなっていますが、それでも新築マンションでのカビの発生は問題になっています。

 

サッシの窓は機密性が高く、湿気を閉じ込めてしまいます。そこに冷暖房の完備で室内の温度は夏も冬もさほど変わることがないため、1年中、カビの発生しやすい条件を整えることになります。また、カビはプラスチックや塗料の成分を増殖するための栄養物にしてしまいます。ビニルクロスの壁紙の素材はポリ塩化ビニル、裏面の塗料は水溶性のエマルジョン塗料。ともにカビの好物です。

 

しかも、コンクリートからは水分も十分に補給されますから、壁面と壁紙の間には、カビがびっしりと生え、表面にまで現れます。ビニルクロスの塗料はかなり改善されていますが、それでも日本の夏にはカビの猛威を止めるまでに至らず、住まいばかりか病院やホテル、スポーツセンターなどでも被害に頭を悩めています。

 

壁紙に使用されているポリ塩化ビニル(製品)は、一般家庭でもっとも多く使用されています。軟質のポリ塩化ビニル製品には浴室用品、シャワーカーテン、ホース、人工芝、家庭用手袋などなど。洗濯機内の遠心ドラムの回転ボックスの内壁、家具やシステムキッチンの内部の棚や引き出しのなか、洗面所の引き出しなどに使用されている硬質のポリ塩化ビニルにもカビがはびこり、独特の臭気を感じることがあります。

 

 

クーラー/暖房を清潔に保つことが大切

 

クーラーや暖房を回すと、カビ臭く感じたことがありませんか。それは内部がカビているせいです。よく見ると、クーラーの吸気口も排気口も黒く汚れているのがわかります。

 

室内のカビが吸気口から入り、(熱交換器のアルミニウムの羽の部分に付着して)内部で増殖。そして冷やた空気といっしょに室内にばらまかれます。クーラーは温度を低くし、湿気をとるためには必要不可欠なツールですが、使い方によっては逆にカビを振りまく凶器にもなります。

 

クーラーからドレンパイプを通って外に排出される水は、6~8畳用で1時間に1リットル。この水分は室内の湿気を凝縮した水で、その水にカビが生え、ホースの内部で繁殖。ホースを詰まらせることすらもあります。この冷却水管理の欠陥から急性肺炎を起こし死亡する事故なども起こっています。また、冷房によるクロス壁紙の表面と空気の間に温度差が起き、結露を生じることもカビを発生させる原因になります。

 

カビを防止するために、抗カビ剤を使用しても、カビの生えやすい環境を代えない限り追いかけごっこ。とにかくカビを発育させないように、まめに拭き掃除をし、窓を開けて空気を流通させ、室内の湿気を追い出す工夫をしましょう。内部まできれいに掃除したクーラーや除湿器を使って、温度や湿度を見張ることもカビ対策になります。