更年期。女性にとってはなんとも憂うつな言葉ですよね。閉経の前後5年くらいを更年期といいますが、程度の差こそあれ、ほてり、のぼせ、めまい、うつなど、自律神経の乱れからくる症状が出てきます。

 

女性の更年期のことを医学用語で「メノポーズ」といいますが、これはギリシャ語で「生理が止まる」という意味です。しかし現在では若い人にも生理がない人や、あっても周期が乱れている人が半数近くもいるそうです。まさに「老いも若きも更年期時代」といった感じです。

 

 

更年期障害はエストロゲン(卵胞ホルモン)の減少が原因

 

生理は卵胞期、排卵期、黄体期、生理期の4つの時期がリズミカルに、かつ周期的に訪れます。しかし40代後半になると、生まれつき持っていた卵子の数が残り少なくなり、卵巣機能も低下して、エストロゲン(卵胞ホルモン)の分泌が減ってきます。すると、指令を出している視床下部や脳下垂体の方でも混乱が生じ、同じ視床下部でコントロールされている自律神経も乱れてきます。

 

そしてさらに、この時期までエストロゲンによって抑えられていたコレステロール値の上昇、骨からのカルシウムの流出などが起こりやすくなります。また、若い人たちに多く見られる生理不順は、ストレス、偏食、急激なダイエットなどが原因でエストロゲンの分泌が減少してしまう事により起こると考えられています。

 

 

○イソフラボンがエストロゲンの不足を補う!

 

「日本の女性は欧米の女性と比べると、更年期障害が比較的穏やかである。」「欧米人に比べ日本人に乳癌が少ない。」ということが広く知られています。

 

その秘密を探った結果、そのカギを握っているのは、大豆に含まれる「イソフラボン」ではないかという答えに達したようです。そしてイソフラボンについての欧米での研究が盛んに行なわれ、更年期障害をはじめ、乳癌、前立腺癌、骨粗しょう症、成人病などに対する効果についての多くの論文が発表されています。

 

イソフラボンは大豆の胚芽、ザクロの種子、レッドクローバーなどに含まれる「にがみ成分」です。その分子構造はエストロゲンとよく似ていて、植物エストロゲン(フィトエストロゲン)と呼ばれます。効力は本物のエストロゲンの1000分の1であるために、穏やかに作用します。

 

ですから、エストロゲンが不足しているとき(更年期、生理不順、前立腺癌、骨粗しょう症、高脂血症など)は、それを補い、エストロゲンが過剰なとき(乳癌、子宮癌など)はその働きを抑制します。

 

 

○大豆イソフラボンの更年期障害(のぼせ)に対する効果

 

大豆イソフラボンが更年期女性のほてりの回数を減少させるという報告があります。きな粉を1日に45g摂取してもらったところ、1日のほてり回数が平均で6回だったものが6週間後には4.2回、12週間後には3.5回と明らかな減少を見せています。

 

ほてりは自律神経の乱れによる症状です。エストロゲンと似た働きをもつイソフラボンを摂取することで、ホルモンバランスの乱れが和らぎ、自律神経のバランスも正常に戻ってきているといえます。

 

 

○大豆王国日本もイソフラボン不足!?

 

日本食は納豆や豆腐、味噌といった大豆加工食品が多く、欧米に比べるとイソフラボンの摂取量は多いのですが、食生活の欧米化に伴い、その摂取量は1日の必要量40mgを大きく下回っていることが解りました。

 

京都大学大学院家森教授らの研究によると、日本人の1日のイソフラボン摂取量は、20代10mg、30代12mg、40代15mg、50代20mg、60代23mgとなっています。全年代の平均は18mgで、必要量40mgの半分以下となっているのです。

 

 

○腸内環境を整えて、大豆食品を積極的に摂りましょう!!

 

大豆加工食品100mg当たりに含まれるイソフラボンの量は、きな粉260mg、納豆130mg、豆腐50mg、豆乳40mgとなっています。食品に含まれるイソフラボンは、糖と結合した「配糖体」という形で存在していて、そのままでは吸収されず、腸内でビフィズス菌などの細菌によって加水分解されなくてはいけません。大豆製品を摂るときには腸内環境を整えることが大切といえます。

 

なお、納豆は納豆菌が含まれているので、イソフラボンとして吸収されやすい食品です。また、イソフラボンは毎日40mgが必要量とされていますが、気になる症状がある場合には1日100mgを目安に摂るといいでしょう。食事で摂れない場合はサプリメントで補うと良いでしょう。

 

追記:ザクロ種子にはイソフラボンの他にエストロゲンの1種であるエストロンの存在が報告されていますが、果汁に関してはその存在は確認されていません。しかし、(株)マルキン忠勇が日本食品科学工学会誌に発表した研究報告によると、ザクロをまるごと圧搾してつくられた果汁にも明らかなエストロゲン様活性作用が確認されています。