運動をすると、血液中のブドウ糖が消費され、血糖値が下がります。しかし、糖尿病の運動療法は、エネルギーを消費したり、肥満を解消する手段として行うものではなく、インスリンの感受性を高めるために行うものです。

 

「無理なく事故なくすすめる」ことがポイント。1日1時間くらいの運動を朝夕、あるいは朝昼晩に分けて無理のない範囲で行いましょう。

 

事前に主治医に相談し、メディカルチェックを受けることが大事。血圧、心電図、脈拍などと同時に、糖尿病の状態を調べて運動処方箋を作成してもらってください。

 

 

15~20分の運動を1時間

 

運動には有酸素運動と無酸素運動があります。糖尿病の運動療法は有酸素運動が中心になり、体操・ストレッチなどの筋肉運動を組み合わせて行いましょう。

 

通常、運動の効果は2〜3日持続するといわれていますが、実際的には24時間と考えたほうが妥当です。1日置きに……などと考えるとなかなか習慣づかないので、できるだけ毎日、日課にしてしまうことがポイント。

 

生活のなかに運動を取り込み、生活の一部にしてしまうのがコツです。1回の運動時間は短くとも15〜20分持続しないと効果が薄れます。

 

1日1時間の運動でも、2〜3回に分けて行えば、苦痛なくクリアできます。

 

 

ある程度の強度が効果を発揮する

 

運動の習慣のなかった人は、まずは習慣づけが大事ですが、ある程度運動していた人の場合には、強度を増すことによって運動効果を期待することができます。

 

1回の運動時間を増やすよりも、強度を高めたほうが簡単に運動量が確保できます。

 

運動中の脈拍を測ってみて、1分間120程度まで運動強度を高めてください。今そのくらいの強さで運動している人の場合には130くらいまで上げましょう。それ以上は強くなるので、医師の指示にしたがってください。

 

 

運動における注意点

 

◎薬物療法をしている人

かならず医師の指示に従い、低血糖にならないように、運動は食後1〜2時間に行い、長時間に渡るときには糖分の補食を。激しいスポーツでは、朝の内服薬は減らしたほうがよいこともあるので、医師に相談しましょう。

 

◎糖尿病性網膜症の人

程度の軽い単純網膜症の場合は通常の運動は支障がなく、かえって進行予防に効果があります。重度に進行している場合には、毛細血管がもろくなっているので切れてしまう危険があるため、過激な運動は控えます。

 

◎糖尿病性腎症のある人

高血圧、たんぱく尿、浮腫のある人は運動はやめます。

 

◎糖尿病性神経障害のある人

軽度であれば、運動によって痛みやしびれ感が緩和することがあります。自律神経に障害のある場合には医師に相談してください。

 

◎極端な肥満の人

腰や膝に負担がかかるので、抵抗の少ない水泳や水中歩行、マット運動などを行いましょう。

 

◎心臓に持病がある人

運動開始時に注意。とくに狭心症の発作をおこしたことがある人は医師に相談。問題ない程度を見極めてもらうことがポイント。

 

◎高血圧があり降圧剤を飲んでいる人

降圧剤には脈拍の上昇を抑える作用があるので、ついオーバーワークに。うっすらと汗をかく程度に。