インフルエンザウイルスは、伝染力が強く、感染すると普通の風邪より症状が重いのが特徴ですが、保温・保湿に気を配り、安静に過ごせば1週間で治ります。ただし、インフルエンザから他の病気を発症することも考えられますので注意が必要です。

 

また、特に子供の場合にはインフルエンザ単体での重症例が多数ありますので、軽視せずに、しっかりと状態をみておかなければいけません。なにか異常が見受けられれば、すぐに病院に受診するようにしてください。もちろん、これは子供だけでなく大人も同様です。

 

 

インフルエンザとは

 

インフルエンザは、インフルエンザウイルスに感染することによって発病する病気です。鼻やのどに炎症を起こす点が普通のかぜと似ていることから”かぜ症候群”のなかのひとつのタイプと位置づけられていますが、とくに問題となるのことが多いのは、症状が強く、合併症を起こしやすく、毎年のように大流行を繰り返すという特徴によってです。

 

インフルエンザウイルスには、A型、B型、C型と3つのタイプがあります。そのなかで特に感染力が強いのがA型で、約10年に1度の割合で、大きく変異した新型ウイルスが登場し、世界的に大流行しています。B型は局地的に流行するケースが多く、3〜5年に一度、中規模の流行を起こしています。C型についてはよくわかっていません。

 

インフルエンザウイルスに感染すると免疫が出来るため、普通なら数年から10年程度の期間は発病しないはずです。ところが、A型のウイルスは同タイプでも毎年微妙に形を変えるため、せっかくの免疫が役に立ちません。毎年のようにインフルエンザが流行するのは、こうした事情からです。また、A型の免疫はB型には効力がないので、ひと冬に2回インフルエンザにかかることもあります。

 

 

インフルエンザの症状

 

鼻やのどに急性の炎症を起こす病気を総称して”かぜ症候群”といいます。かぜ症候群には、インフルエンザ、普通感冒、急性咽頭炎(扁桃腺が腫れる)、咽頭結膜熱(別名プール熱。のどの痛みと結膜炎)、急性喉頭炎(咳、呼吸困難)、急性気管支炎(咳、痰)、異型肺炎(咳、痰、発熱、胸痛ほか)、肺炎などがあります。

 

普通感冒はいわゆる”鼻かぜ”ともよばれるもので、これもほとんどの場合ウイルス感染が原因です。ライノウイルスによるものが多く、ほかにパラインフルエンザウイルス、アデノウイルス、コロナウイルス、エコーウイルスなどが原因になることがあります。普通感冒は、鼻粘膜の炎症による症状が中心で、くしゃみ、鼻水、鼻づまりなどが起こります。のどの痛み、咳、発熱、頭痛などをともなうこともありますが、いずれも軽症です。とくに発熱はあっても37℃程度ですみます。

 

これに対して、インフルエンザウイルスによるインフルエンザは、はじめにゾクゾクする寒気(悪寒)が襲い、まもなく39〜40℃の高熱が出るのが特徴です。熱と同時に、頭痛、腰や手足の筋肉痛、関節痛など全身症状が現れます。これと同時かやや遅れるようにして、のどの痛み、咳、声がれ、鼻水といった症状も出てきます。インフルエンザウイルスに感染すると1〜2日の潜伏期間をおいて、突然悪寒に襲われることになります。

 

また、普通感冒の場合、下痢、食欲不振といった消火器症状はみられないことが多く、あっても比較的軽くすみます。これに対して、インフルエンザの場合は消火器症状が強くでることが珍しくありません。普通感冒もインフルエンザも、1週間ん程度で回復しますが、インフルエンザの場合は、乾いた咳や全身の倦怠感がしばらく残ります。

 

 

インフルエンザ感染の原因

 

インフルエンザウイルスは、感染している人の鼻や口から、咳やくしゃみとともに飛び出す粒子を吸い込んでしまうことからうつります。1回の咳で飛び出す粒子は約10万個、くしゃみだと約100万個が飛び散るといわれています。

 

粒子の大半はすぐに落下しますが、一部は30分ほど空気中を浮遊します。湿度が低いと、浮遊時間は長くなります。また、いったん床に落ちた粒子も、乾燥するとほこりとともに空気中に舞い上がり、呼吸の際にからだの中に入ってしまうこともあります。こうしたことから、通勤・通学電車や学校・オフィスなど、一定の空間に多くの人が集まっているところが、感染しやすい場所といえます。

 

気候とインフルエンザ

インフルエンザはウイルスの感染によって引き起こされるものなので、寒さは直接の原因ではありません。しかし、患者発生のピークを調べると、毎年、気温が一番低い1月下旬〜2月上旬の約1ヶ月に集中しています。

 

気温が低いと、たくさんの人が集まる場所がどうしても締め切った状態になりやすいため、感染者が放つ粒子が室内に長い時間浮遊してしまうというのも、この時期に患者が多いひとつの理由と考えられています。ところが気温よりもっと重要な要素は湿度です。湿度が高いとインフルエンザウイルスは弱まり、感染力も低くなるという事実は、実験でも裏付けされています。

 

 

インフルエンザの治療

 

インフルエンザのウイルスを直接退治する薬は今のところありません。したがって、症状に合わせた薬を飲みながら、安静を保つことが大切です。保温。・保湿にも注意して下さい。室温は18〜20℃、湿度は70%前後と少し高めに保つほうがいいでしょう。とくに乾いた咳が出るときは、加湿器を使って積極的に湿った空気をのどに送り込むと効果的です。

 

栄養補給は必要ですが、食欲不振のときに無理に食べると、下痢などの消火器症状を悪化させるので注意が必要です。場合によってはかぜ用の栄養ドリンクを飲む、病院で点滴を受ける方法もあります。ただし、水分は必ず補給して下さい。とくに発熱すると発汗しますから、水分補給が欠かせません。

 

対処療法の薬には、解熱鎮痛剤、鎮咳去痰剤、抗ヒスタミン剤などがあります。解熱鎮痛剤は、38℃以上の高熱が続く場合、からだの衰弱などの悪影響を考えて使います。ただし、熱がインフルエンザウイルスの増殖を抑える効果があり、発熱自体が合併症の早期発見に役立つことから、無理に平熱まで解熱する必要はなく、37℃台まで下げれば十分と考えられています。

 

鎮咳去痰剤は、咳が出る反射経路をブロックすることによって咳を鎮めると共に、痰の粘りけを調整して体外へ出しやすくする薬です。また、抗ヒスタミン剤は、くしゃみや鼻水の症状を抑えるのに有効です。この薬は鎮静作用、催眠作用もあるので、安静が必要な患者にとっては好都合です。ただし、車の運転などは危険ですので注意が必要です。このほか、二次感染を防ぐために抗生物質が使われることもあります。ただし、抗生物質はインフルエンザウイルスそのものに対しては効果がありません。

 

<かかったときに抑えておくべきポイント>

  • 安静を保ち、からだを休める。
  • 自分の症状に合った、薬を服用する。
  • 室温は20℃前後に保つ。
  • 加湿器などを使い、室内の湿度を70%前後に保つ。
  • 食欲不振のときは無理に食べない。
  • 水分補給は十分にする。
  • 症状が治まるまで、外出は避ける。
  • 熱があるうちは入浴を避ける。
  • 持病のある人、小児、妊産婦は薬の服用に特に注意を払う。
  • 二次感染の症状が出たらすぐに医師の診察を受ける。

 

 

インフルエンザの合併症

 

インフルエンザは、適切な治療をして安静にしていれば、1週間程度で回復しますが、こじらせるとやっかいです。よくみられるのが、急性気管支炎や咽頭炎です。乾いた咳が続き、インフルエンザの熱とは別に、再び38℃前後の熱が出て、黄色っぽい痰がみられるときは、これらの病気を疑います。

 

合併症は、インフルエンザウイルスによって侵された呼吸器の粘膜に、ウイルスや細菌が二次感染するのが原因で、この場合には抗生物質が有効です。乾燥して寒い日が続くと、こうした合併症が起こしやすいので注意が必要です。また、喫煙や大気汚染が誘因になっています。

 

さらに気をつかないといけないのが、肺炎です。インフルエンザウイルスそのものによって、肺炎を起こすこともありますが、多くはだんだん粘膜に肺炎球菌やブドウ球菌などの細菌が侵入することによるものです。肺炎にかかると、38〜39℃の熱が出ます。咳と痰、さらには刺すような胸の痛みが起こってきます。肺炎は放置しておくと死に至る場合もあるこわい病気ですから、疑われる症状がある場合は、すぐに医師の診察を受けて下さい。

 

子どもの合併症に気を配って

子どもがインフルエンザにかかったと判断されるときは(高熱が出ている場合)は、すみやかに医師の診察を受けて下さい。部屋を暖め、湿度も高めにして、とにかく安静に休ませることが大切です。

 

特に注意しなければならないのは、合併症です。合併症には、急性気管支炎、咽頭炎、肺炎などがあります。子どもの場合は中耳炎になるケースもあります。耳がつまった感じ、耳の痛み、耳鳴り、難聴などを訴えた時は、耳鼻咽喉科の受診が必要です。なお、子供の場合は、風邪の時にも合併症に細心の注意を払わなければいけません。(子供の風邪|二次感染(合併症)に注意、細かな観察が必要

 

帰宅した時にうがいをして、手をお湯や石鹸でよく洗うこと、汗をかいたらすぐに下着をとりかえること、過労を避け、十分に栄養をとることなどは、普通感冒も含めた予防策ですから、日ごろから心がけ、子どもに実行させるようにしたいものです。

 

 

インフルエンザの予防

 

インフルエンザにかからないためには、感染しそうな場所に近寄らないことが第一ですが、電車や学校、オフィスなど、日常生活を送る場所で感染することが多いので、難しい面があります。食事のバランスをよくし、栄養面ではたんぱく質とビタミン類が不足しないよう気をつけてください。

 

寝不足や過労を避け、ストレスをためないなど、からだの抵抗力を高めておくことが、結局は予防につながります。外出先から帰宅した時は、よくうがいをし、お湯で手を洗うなど衛生面の大切です。家庭では、室内の保温・保湿・換気に気を配りましょう。インフルエンザウイルスは乾燥した状態を好むので、加湿器などで、部屋の湿度を高める工夫も有効です。

 

インフルエンザウイルスはマスク程度では通り抜けますので、マスクは予防にあまり役立ちませんが、かかった人がウイルスをまき散らさないという効果はあります。またマスクによってのどを湿った状態を保てるので、その点では多少の感染防止効果もあるでしょう。とくに持病のある高齢者や妊産婦などは、感染の後の合併症が心配です。インフルエンザが流行している冬の間、混んだ電車、デパートや劇場など人が多く集まる場所を避け、積極的に予防したほうがよいでしょう。

 

喫煙も、のどの粘膜が変性し、ウイルスに対する感受性が高まるといわれています。一般的に、湿度が低く換気の悪い喫茶店などは、インフルエンザウイルスが蔓延する環境にあるうえ、タバコの煙がのどをいためるので、避けたほうが賢明です。

 

<予防のために抑えておくべきポイント>

  1. ウイルスが多く浮遊している可能性が高い人込みに近づかない。
  2. 食事のバランスをよくし、ビタミン不足にならないよう気を配る。
  3. 睡眠を十分にとる。
  4. 過労にならないよう注意する。
  5. ストレスをためない。
  6. 外出からもどったら、うがいと手洗いをする。
  7. 部屋を暖める。
  8. 加湿器などを使用して、部屋の保湿に努める。
  9. 部屋の換気に気を配る。
  10. タバコをひかえる。