胃潰瘍や十二指腸潰瘍は、腹部の臓器の潰瘍であるため、食事には特に気を配らなければいけません。もともと胃腸が弱い人や、繰り返し発症している人は、今以上に食生活に気を配らなくては、さらなる病気を招く可能性があります。

 

ここでは、胃潰瘍や十二指腸潰瘍における正しい食生活の在り方や、注意すべき食べ物など、食事療法に関して詳しく説明していますので、胃潰瘍や十二指腸潰瘍に”縁”がある人は、最後までしっかり読んで、参考にしてください。

 

 

胃・十二指腸潰瘍はなぜ起こるのか

 

潰瘍が起こる原因については多くの研究がなされていますが、まだ十分に解明されたとはいえません。しかし、胃液の分泌と胃粘膜の防衛力のバランスの破錠によって起こることは、ほぼはっきりしています。ではなぜ、必要以上に胃液が過剰になったり、粘液の力が弱まってしまうのか。

 

代表的なものとして、3つの条件が考えられます。ストレス(精神的・肉体的)が自律神経に作用して、多量の胃液を分泌させたとき。薬剤の乱用による副作用が起こったとき。アルコール・コーヒーなどの刺激物で粘膜をいためられたとき。これらの条件が揃えば揃うほど、潰瘍の起こる確率が高くなると考えて下さい。

 

 

どんな人が胃・十二指腸潰瘍になりやすいか

 

精神的ストレスにさらされやすい人ほど、潰瘍が発生しやすくなります。なぜなら肉体的ストレスも、薬剤の乱用も、刺激物の摂り過ぎも、すべて精神的ストレスに関係しており、潰瘍の発生条件の第1位が精神的ストレスであることが、はっきりしているからです。

 

ストレスが重なりやすい人には、いくつかのタイプがあります。つまり、『やり手』『出世型』『モーレツ社員』と見られる人たち、一般的には、物事にこだわる執着気質で、それだけにまじめで、几帳面な完全主義者であることが多い人たちです。さらに、このタイプが仕事一筋の無趣味人間でありがちなことも指摘されています。

 

 

胃・十二指腸潰瘍の症状

 

腹痛、出血(吐血・下血)、酸症状(胸やけ・げっぷなど)の3つが胃・十二指腸潰瘍の代表的な症状で、3大症状と呼ばれています。吐き気や嘔吐が起こることも少なくありません。

 

しかし、人によって症状の現れ方がまちまちで、すべての症状が出そろう人も、まったく症状が現れない人もいます。定期的に健康診断を受け、体の状態を常にチェックしておきたいものです。

 

●腹痛

空腹時や食後に、みぞおちや上腹部、背中の中央部いわゆる胃裏などに差し込むような強い痛み、焼けるような痛み、しくしくするような痛み、なんとなく上腹部が圧迫されるような痛みを感じます。また、痛みを感じなくなっても潰瘍が治ったとは限らないので注意しなければなりません。

 

●出血

潰瘍があると目に見えない出血(潜血)がありますが、胃粘膜にある比較的太い血管にまで及ぶと血管が破れて出血し、吐血や下血を起こします。血液の色は、吐血では濃い褐色となり、下血では、黒光りしたコールタールのような色になります。

 

●酸症状

胸やけ、げっぷなどの不快症状を酸症状といいます。これは、胃に異常が起こっていることを知らせる警報と考えて下さい。

 

●吐き気や嘔吐

胃や十二指腸に潰瘍ができると痛みや酸症状が刺激になって吐き気や嘔吐をおこしやすくなります。

 

 

これだけは守りたい食事の5ポイント

 

胃潰瘍や十二指腸潰瘍を発症しないため、また、再発防止のために食事に気をつけなければいけません。以下に食事において守るべき5つのポイントをご紹介します。

 

1)ゆとりを持って食べましょう

特にサラリーマンに関していえることですが、急いで食事をとる人が多く見られます。現代人は、ただでさえストレスが多く、しかも、タバコやお酒で胃を酷使しています。食事のときぐらい胃の働きを助けてあげましょう。

 

たとえば、昼食のときなど、昼休みになったからといってすぐ食べるのではなく、10分程度は心と体を休ませてから食べること。もちろん、そのあいだのタバコは禁物です。

 

そして、少なくとも20分程度の時間をかけてゆっくりかんで食べる習慣をつけましょう。忙しいときほど、ゆとりを持った食事を心がけて下さい。

 

2)食後20分は運動禁止です

食後すぐの運動は、消化にマイナス作用をおよぼします。胃で使うはずの血液を体全体に、うまく分泌しなくなるからです。できれば、からだの右側を下にして横になっていれば、胃に負担がかかりにくくなります。

 

3)お腹を圧迫しないようにしましょう

一見、何の関係もないように感じますが、腹筋を鍛え、姿勢を正すことは、胃・十二指腸潰瘍の人に大変効果的です。座敷で食事をした後など、特に胃がもたれるという人は、たいてい姿勢の悪さが原因になっています。

 

あぐらをかいてやや前かがみになっていると、お腹を圧迫して血行が悪くなり、消化液の分泌かうまくいかなくなるのです。できれば、普段の生活は、椅子で。それが難しければ、正しい姿勢で座る習慣をつけたいものです。

 

4)偏食を直しましょう

栄養が不足すると、胃・十二指腸潰瘍の回復を遅らせます。

 

好き嫌いを直して、積極的に栄養を補給することによって体力をつけ、傷ついた粘膜を回復させなくてはいけません。蛋白質やミネラルを豊富に含んだ消化のよい食品を、適量食べるのが理想的です。

 

5)食事の回数を増やしましょう

一度に適量の食事がとれない人は、回数を増やしてでも栄養を確保するべきです。間食を上手に取り入れることも、ひとつの方法かもしれません。

 

 

注意すべき食品

 

1)アルコール、カフェイン

アルコール、コーヒー(カフェイン類)や抹茶は胃を刺激し、胃の粘膜をいためます。特に、アルコールは、潰瘍を重症にしてしまうばかりか、他の成人病にも影響し、合併症を招きかねません。

コーヒーとともに、少しずつでも飲む回数を減らしましょう。コーヒーや抹茶は、空腹時を避け、コーヒーなどにはクリームを入れて飲むのが良いでしょう。

 

2)タバコ

タバコは『百害あって一利なし』。胃の粘膜をいためることはもちろんのこと、せっかく治った潰瘍を再発させる恐れもあります。健康のため、禁煙することをおすすめします。

 

 

上手な献立づくり

 

1)油物や繊維質は、避けましょう

消化が良いということは、胃の中でのこなれが早く、腸へ移行するまでの時間が短いということです。一般的には、油っぽいものや繊維質のものは、胃での停滞時間が長く、こなれが悪い食品です。注意して摂りたいものです。

 

2)食欲を刺激させる工夫をしましょう

潰瘍は、栄養を必要とする病気。食欲がないからといって、何も食べないわけにもいきません。ほんの少しだけ、香辛料を使ってみてはいかがでしょうか。少量の香辛料は、食欲を増進させる作用を持っています。空腹時やドクターストップがかかっているときは、もちろん使ってはいけませんが、上手に使えば、案外効果があるものです。

 

3)消化を助ける調理の方法

消化吸収をよくする調理方法を紹介します。

 

●鶏卵は、生のままでは消化が良くありません。しかし半熟にするとかなり消化しやすくなります。ただし、しっかり火を通した卵焼き、ゆで卵にすると消化が悪くなります。

 

●ご飯やパンは、もともと消化の良いものですが、やわらかめに炊いたり、おかゆにしたり、パンなら焼いたりすると、いっそう消化が良くなります。

 

●肉類や魚類も加熱すると消化しやすくなりますので、煮物や汁物、蒸し物などにするのがよいでしょう。

 

 

栄養にも気をつけよう

 

・毎朝ちゃんと食べましょう

ぎりぎりまで寝ていて、食べる時間がない、食欲がない、ダイエットのため、などの理由からつい抜いてしまいがちな朝食。この傾向は、現代の若い男女に多く見られます。

しかし、これは胃腸にとっても、からだにとってもよくありません。朝食を抜きつづけたことが原因で胃や十二指腸潰瘍にもなりかねません。せめて、もう10分は早起きして朝食を食べるようにしましょう。

 

・蛋白質をしっかり補給しましょう

朝など、あわただしいときは、手軽に作れて、蛋白質がたっぷり摂れる食品を選んで食べるようにしてください。特に蛋白質は、胃腸のためにも食べたいものです。牛乳やヨーグルト、ゆで卵 (半熟) などは簡単に蛋白質を補給できるので、積極的に食べましょう。

 

・栄養があり、消化のよいものをたべる

忙しくて疲れ気味のとき、胃腸の調子がすぐれないときのメニューです。栄養があって消化の良いものばかりを集めてみました。ぜひ、参考にして、よりよい食生活を楽しんでください。

消化のよいメニューの一覧
マフィン、ヨーグルトゼリー、プリン、ミルクセーキ、ローストチキン、オムレツ、ホットケーキ、スクランブルエッグ、ポタージュスープ、シチュー、ホウレンソウのお浸し、グラタン、ハンバーグ、納豆、そぼろごはん、茶わん蒸し、刺し身、焼き魚(カレイ・キス・あじ・カマス・サケなど)、親子どんぶり