高血圧症は現在全国で3000万人いるといわれています。つまり、4人に1人が高血圧症。生活習慣病の陰に高血圧あり……といわれるように、高血圧の人の95%が、自分の生活習慣のなかに血圧を高くするなんらかの要因を抱えているといわれています。

 

脳卒中や心疾患に深く関わっている高血圧。この2つの疾患のみでも総死亡の30%にものぼります。お年寄りばかりなく、若い人にもおこりますから、安易に考えて放置しないようにしましょう。

 

関連ページ:高血圧の現状と基準値、患者数は増加傾向

 

血圧が高いとは?

 

血圧をはかったとき、その数値を上だの下だの、最高だの最低だのと表現します。上というのは、心臓がギュッと収縮して血液を動脈に送り出したときに動脈壁にかかる最大の圧力のこと。

 

最大血圧、収縮期血圧といいます。収縮が終わって全身を巡った血液が戻ってきて、心臓が拡張したときの動脈の内壁を押す圧力が、いわゆる下の血圧。最小血圧、拡張期血圧といいます。

 

ちょうど、ポンプで水をくんで、先のホースに流すと考えてください。水をくむポンプが壊れていたり、性能が悪ければ、しっかり水をくむことができません。

 

また、せっかくポンプが正しく作動していても、先のホースが詰まっていたり、細くなっていたりしたのでは、水はスムーズに流れませんし、その分、ポンプも強い力で送り出さなければなりません。

 

これが心臓と血管の関係。

 

この2つの関係のどちらにも異常がなく、心臓がしっかりと血液を送り出し、血管のどこにも異常がなければ、血液はスムーズに体内を循環し、このときの血圧が正常血圧。

 

その血圧が高いということは、心臓と血管のバランス関係がなんらかの状況によって崩れたことを意味しています。ただし、なぜバランスが崩れて血圧が高くなるのかについての原因はほとんどわかっていません。

 

この原因がわからない高血圧を本態性高血圧といい、日本人のほとんどの高血圧はこのタイプです。

 

まれに、腎臓の病気や甲状腺機能異常などの病気によっておこる高血圧もあり、二次性高血圧といいますが、これは原因となる病気を治療すれば、ほとんどは血圧も正常に戻ります。

 

 

生活改善をおこう行う非薬物治療と薬物治療

 

高血圧と指摘されたら、まずは「非薬物療法」である食事や運動、生活改善に取り組むことになります。改善のポイントは肥満解消、食塩の摂取、カリウムの摂取、運動の4点。

 

したがって、高血圧と指摘されたら、血圧計を自宅に用意して自分の血圧を計り状態を把握し、まず「非薬物療法」といわれる食事や運動、生活改善などに取り組みましょう。

 

そして、いつ血圧測定をしても最低血圧が100以上になったら医師に相談し、本格的な治療を開始します。ただし、血液検査や心電図などで高血圧による臓器障害が発見されたりしなければ、軽症高血圧程度の場合には、初診でいきなり降圧薬は使わないのが専門医の常識。

 

基本的には、一定期間様子をみて、「非薬物治療」を3カ月程度行うのが基本。それでも改善できない場合には、薬物を併用することになります。

 

 

必要ならば怖がらずに薬物で治療しよう

 

昔とは格段の進歩と改良がなされているとはいえ、薬にはかならず副作用の問題があります。

 

できるだけ薬は飲みたくない気持ちは誰でも同じ。軽症高血圧の場合には、薬物を使わなくても、高血圧改善の4つのポイントをしっかり行えば、約8割は悪化しないという追跡調査結果もありますから、本気で薬を嫌うならば、まずはしっかり生活習慣改善を行いましょう。

 

ただし、それだけで対処できるのは、1部を除く軽症高血圧まで。中等度以上の高血圧については、降圧薬の使用をむやみに避けるとかえって危険なこともあります。

 

どんな状態になったら薬物を使い、どんな状態ならば非薬物でも大丈夫なのかを、医師に尋ねて知っておきましょう。適切な降圧治療をすべきときに放置すると、かえって血管障害や合併症を引きおこすこともあります。

 

 

高血圧治療薬の代表選手

 

●カルシウム拮抗薬

カルシウムは、血管の収縮に非常に重要な役割をしています。このカルシウムが血管平滑筋に入り込むのを阻害するこの薬は、血管の収縮を抑え、血液の流れをよくします。副作用として、頭痛、心悸亢進、顔面紅潮などがあります。

 

●β遮断薬

心拍数と心拍出量を減らす作用が強く、血液の流出量を減らすために、血圧が下がります。この薬の種類は多く、その作用のしくみも一律ではありません。副作用として、めまいや倦怠などのほか、心臓の悪い人、気管支ぜんそくの人には使えません。

 

●降圧利尿薬

尿の量を増やし、体にとって余分な水分を排出することで血流量を減らします。このとき水分を貯め込む働きをするナトリウムもいっしょに排出されるため、降圧の効果が高くなります。肥満、血糖値の上昇、高尿酸値、痛風などの副作用があるとされています。

 

●ACE阻害薬

レニンアンジオテンシン系という血圧を上昇させる機能をコントロールし、この系をブロックすると血管を収縮させる酵素ができないため、血圧を下げることができます。血圧を下げると、脳への血流低下がおこりやすくなりますが、この薬の場合には脳に保護的に働くため、脳卒中予防、再発予防にも有効です。