冠動脈と呼ばれる血管が急速に細くなってしまったり、血管が完全にふさがってしまって血液が流れなくなり、心臓の機能が低下したり、心臓の筋肉細胞が死んでしまったりする病気のことを、「心筋梗塞」と呼びます。心筋梗塞はほとんどが急に出現しますが、知らず知らずのうちに出現してしまっている場合もあります。

 

死んだ心臓筋肉細胞の範囲と程度にもよることなのですが、不整脈や極端な心機能の低下をもたらすこともあり、突然死を引き起こす原因となることもある恐ろしい病気です。

 

 

大人の心臓病

 

心筋梗塞(しんきんこうそく) は、胸の病気です。心筋(心臓の筋肉で横紋筋と呼ばれます)へ酸素と栄養を運んでいる冠状動脈に血栓(血のかたまり)が詰まってしまい、閉塞が起こると、血液がいき渡らなくなるので心筋の細胞はくさって壊死してしまいます。これが急性心筋梗塞です。

 

1999年の急性心筋梗塞の死亡者数は男性は約26,900人で女性は約23,000人となっていました。狭心症、心筋梗塞は冠動脈の動脈硬化によって血管が、詰まりかけたり詰まったりすることが原因で起こる病気です。

 

血管の内側にコレステロールが張り付き、jそれがたまって、塊になることを粥状(じゅくじょう)硬化といいますが、この塊が破れ、中からドロドロな状態の脂肪の塊が出てくると、これを修復するために血小板が集まります。

 

こうなるとさらに大きな塊となって血管内腔を塞ぎ、狭心症、心筋梗塞を招くこととなります。コレステロールが増える原因としては飽食や運動不足などがありますので、近年の大人のライフスタイルはコレステロールが増えやすいのです。それが理由で、心筋梗塞は「大人の心臓病」と呼ばれています。

 

大人がかかる心臓病で最も多い病気といえるものであり、決して見逃してはいけない病気が狭心症、心筋梗塞です。この狭心症と心筋梗塞は、冠動脈に異常を来たし、心臓の動力源が不足する病気なので、二つをまとめて総称して「冠動脈疾患」(かんどうみゃくしっかん)と呼びます。

 

 

身近にある心筋梗塞の危険性

 

現在、日本人の死因の第三位は心臓に関する病気「心疾患」(しんしっかん)です。そしてその死亡原因となる病気の名前は「心筋梗塞」なのです。心筋梗塞は数年前までは、発病後24時間以内に急死する例が非常に多く、この病気にかかってしまった人の3分の1は、1~2週間以内に死亡したといわれています。

 

しかし現在、CCU(冠状動脈集中治療室・持続的に心電図を監視できる特殊な施設を持つ病棟で、狭心症や心筋梗塞の患者を専門治療する所です)という病棟ができてから、死亡率がおよそ半分になり、現在の死亡率は全患者の12~30%程度とまで減少しました。それほどに心筋梗塞という病気は、医師と看護士による綿密な治療と看護が必要となる病気なのです。

 

 

危険な心筋梗塞の症状

 

○心筋梗塞をおこした患者さんの内、およそ7~8割の人が感じた症状。

突然、胸全体に「激痛」としか言い表せないような激烈な痛みが襲う。ときには、あまりの激痛にショック死する人もいます。痛みのほかには、呼吸困難、冷や汗、脂汗を流し、吐いたり、胸焼け、下痢などを訴えることも多く、胃痙攣などの胃腸症状と間違えられることもあります。発作は30分以上続き、繰り返して1~2日も続くこともあります。脈の乱れやショック、急性心不全で死ぬ人が多く、入院が必要です。

 

○心筋梗塞をおこした患者さんの内、2~3割の人が感じた症状。

背中やみぞおちの痛み、むかつき、左肩や腕の痺れ・痛み、頭痛やあごの痛みなど。このように胸とは関係がなさそうなところに、心筋梗塞は異変が起こることもあるので、本人が「心筋梗塞かもしれない」と思いもしないうちに病気が起こることもまれではありません。

 

※40~50歳以降の男性で、突然、上半身におかしな感じ、特に、胸部の不快感、不安感、を感じたら、放っておかないで病院に行き、診察を受けた方が良いでしょう。

 

 

心臓の病気の前兆

 

次のような症状が見られた人は要注意なので、病院へ行って医師に相談することをおすすめします。

 

「狭心症・心筋梗塞の疑いがある症状」

○狭心症の場合、胸の痛みが1~10分続いて治まる。

○心筋梗塞の場合、胸の痛みは激痛で、呼吸ができない、冷汗が多量にでるなどし、10分以上痛みが続きます。

 

「不整脈の疑いがある症状」

○急に激しい動悸が起こり、脈拍が異常に速くなる。胸が苦しくなったり冷汗が出ることもある。

○ドキンと脈が飛んで、動悸や胸が苦しい感じがしたりする。

 

 

心筋梗塞の発作への対処

 

心筋梗塞に限ったことではなく、心臓に関係する病気、狭心症・不整脈にもあてはまる、発作を起こさないための基本的な心構えです。狭心症、心筋梗塞、不整脈は、日頃のストレスや疲労、急な血圧の変動を避けることが、発作を起こさせないために必要となります。なので、日常生活を送るうえで心がけるべきことがいくつかあります。

 

①お風呂は「ぬるめ」で入る。

血圧の急な変動を避けるために、40度以下のぬるま湯に入るようにしましょう。

 

②トイレは暖房し、いきまない。

血圧の急な変動を避けるため、トイレは暖房をいれて寒くしないようにし、力を入れて踏ん張る行為、いきみをしないようにするのです。夜の排尿は血圧を変動させやすいので、男性も座って排尿するようにしましょう。

 

③冷たい水で手や顔を洗わない。

血圧の上昇につながるので、ぬるま湯を使用しましょう。

 

④力む行動を避ける。

重いものを持ったりすると、血圧の上昇につながってしまうのです。

 

⑤充分な睡眠をとる。

血圧を下げて安定させるには、十分な睡眠が必要です。

 

⑥朝はゆとりを持って行動する。

朝起きてから血圧が上昇し始めるため、慌ててバタバタして血圧を上げないように、早起きしてゆとりある行動をとるように心がけましょう。

 

⑦水分を充分に摂取する。

血栓予防のために、起床、就寝前、汗を流した後は十分な水分補給をするようにしましょう。

 

 

心筋梗塞の発作が起きてしまったら……

 

狭心症で、過去に発作を起こしたことがあって、ニトログリセリンを持っている場合は服用して様子をみます。しかし薬が効かないときは、心筋梗塞の疑いがありますので、大至急、救急車を呼んで病院へ行きましょう。

 

自分で行動が出来ないような場合は、周りの人に救急車を呼んでもらうようにします。初めて発作を起こした人の場合は、衣服をゆるめ、楽な姿勢で座ったり、いすに座るなどして、安静にします。寝っころがると一気に心臓に血流が戻って負担がかかるので、上体を起こした状態での安静が基本です。

 

10分以上の発作が続くようでしたら、すぐに救急車の手配をしましょう。発作が治まった場合でも、すぐに受診してください。

 

周囲の人がするべき対処ですが、心筋梗塞の発作は、呼吸困難やあまりの激痛で、もがき苦しむことが多いので、大至急、救急車を呼んで病院へ運ぶことが大事です。また、呼吸停止、心停止が起こったら、人工呼吸と心臓マッサージを行ってください。