眠りを科学する、枕を科学する、とはいっても科学では解明できない心地よさとは、自分自身が作り出していくもので、自分独自のものということができます。

 

各メーカーから健康枕や安眠枕、機能枕など、それぞれに睡眠中の健康効果を目指したシステムの枕が売り出されています。それらは人間工学に基づいて多角的に機能を追求、研究開発されたものです。目的に応じて使ってみましょう。

 

 

自分の感覚を大事にする枕選び

 

各寝具メーカー、枕メーカーがそれぞれに研究開発した枕を売り出しています。

 

寝ながらにして森林浴ができるというヒノキやキリのチップを入れたものもあれば、「頭寒足熱」をキーワードに、豊かな大自然に育てられた竹や石を利用したもの、ポリエチレンやカーボンパイプを用いて、カビの発生を防ぎ、通気性をよりよくした枕、センサーによっていびき音を感知し、枕が動いて頭の向きや角度を変えてくれるハイテクのいびき防止枕などもあります。

 

最近、とくに健康枕、機能枕として人気が高いのがウレタンフォーム。そのなかでも使う人の体形に合わせて変形する低反発ウレタンフォームは、圧力を分散・吸収するので、血行を妨げず、圧迫感を感じさせないとして大人気。

 

このように、各メーカーが最先端の技術を駆使して開発した素材や、そうした素材にさらに天然素材を混合したものなどがありますが、最終的に選ぶのはあなた自身。自分の感覚を大事にすべきです。実際に触ってみたり、頭を乗せてみたりして感触を確かめ、放熱性、通気性、吸湿性のあるものを目安に選びましょう。

 

 

病気の治療やリハビリにもなる枕

 

健康なときでも大事な枕です。闘病生活や寝たきりの生活になったら、どれほど大事か、火を見るよりも明らか。とくにお年寄りの場合には、寝具には十分に気づかってあげましょう。とくに枕は大事で、大きさや硬さを選ぶことによって、病気の治療やリハビリにもなれば、床ずれの防止、治療にもなります。

 

たとえば、心臓疾患のある方の場合にはマットレスを高くして上体を上げ、膝を深く屈伸することによって心臓の負荷を軽くします。このときに使用する枕は、通常よりも大きくないとずり落ちてしまい、体の安定が保てません。

 

また、肺炎になる危険性があるときは、上半身の下に枕とクッションを当てると、肺が拡張し、ガス交換が容易にできるようになります。このときには、肺の特定部分を拡張できるように枕とクッションを効果的に組み合わせる必要があります。

 

こうした体位をとることは、腰背部の手術後の安静時や背骨付近の床ずれ防止にも役立ちます。このように医療用の目的で使用する枕は健常なときにも有効です。

 

たとえば、床ずれができない体位を保つということは、体の一部分を圧迫したり、負担をかけたりしない寝姿を保つことでもあるわけですし、肺炎の危険がなくても、呼吸が楽にできれば、その分、熟睡感も高まります。

 

最近よく眠れない、歳かもしれない、など、睡眠の変調、体力の低下を感じたときには、医療用の枕に慣れておくことも転ばぬ先の杖として大事なことかもしれません。

 

 

様々な枕の種類

 

各メーカーともに、詰め物が移動しないよう、また仰向けと横向きに寝たときに高さが自然に調節できるよう、自分なりの高さの調節が可能になっているものがほとんど。しかも、その構造は、人間工学に基づいてつくられています。

 

●ドーナツ枕

中央に凹部があることから「ドーナツ枕」という名称で親しまれています。中央の凹部は布のみになっていて詰め物が入っていません。その凹部の上には後頭部調整口、下には首筋調整口、左右には横寝調整口がついていて、いずれも自分でなかの詰め物を出し入れすることにより、自分にぴったりの枕に調整することができます。

大きさも通常の63センチ幅から70センチとワイドになり、楽に寝返りができます。柔らかめ、ふつうの硬さ、硬めの3種類、それぞれに高さは自由に調節できます。

 

●高低差が違う4パート枕

全体は4つのパートに分けられています。肩元の横長のパートは、6つの素材別に高さが4種類(3・4・5・6センチ)ずつあり、自分に合った高さを選択することができます。

肩元の高さが一定しているため、仰向けで寝たときに肩を包み、保温効果を高めています。縦の3パートは、真ん中が低く、左右は横寝に合わせて高くなっています。

 

●フィット感を重視した5パート枕

全体は5つのパーツに分けられています。両サイドのパーツは、寝返りによって横寝になったときに肩の高さにフィットするように高くなっています。なかに挟まっている3つの横のパートは、後頭部がのる真ん中が低くなっています。その前後は中くらいの高さ。

枕の高さには、素材ごとに5段階あり、自分の首に合わせて選ぶことができます。そばがらやパイプなどの粒状素材のものは5パートすべて詰め物で高さを調節することができます。

 

●テンピュール枕

テンピュールとは、体圧分散機能をもつ新素材の名称。スウェーデンのポリマー素材の専門企業ファゲダーラ社によって開発されました。この素材が商品として市販されるようになったのは、1991年のことですから、その歴史は25年ほどになります。

しかし、その素材の開発のきっかけはもっと古く、60年代のアメリカで推進されてきたスペースシャトル打ち上げのときに、飛行士にかかる強烈な重力を緩和するため、NASA(航空宇宙局)で研究されてきたことにあります。

NASAの研究グループは、熱と圧力に敏感な素材を開発、その技術を生かし、スウェーデンで民間用に開発されました。それがテンピュール素材です。人の体温と体圧に変化して体をベストなバランスでサポートする確かな効果が認められることにより、現在、世界40カ国で愛用されている枕です。

 

●医療用枕

現在、ドイツ・L社を中心に医療用として開発されており、縦横ともに80センチという大きいものから、用途に応じて何種類かがあります。基本的な詰め物は、ロンボフィルとロンボメッドの2種類。ロンボフィルを構成している小片は弾力性に富み、空気を多く含むハニカム(蜂の巣)構造になっています。

この素材は、体にかかる圧力を分散し、軽減する効果があります。枕のなかの空気がスムースに流れるようになっているので、軽く振るだけで簡単にふくらみ、高温で洗濯することもできます。

ロ ンボメッドは、ロンボフィルの小片と、より弾力性の高いチップを混合したものです。枕やクッションにすると、乾いた砂のような役目をし、頭や体の形にぴっ たりと合わせることができます。これらを用途に応じて寝床時に補助道具として使用すれば、体を楽に支えることができます。

 

 

さいごに

 

睡眠は人間の活動時間の約3分の1を占めており、いかに熟睡できるかが”やる気”や”健康”に大きく関わっているため、枕選びは非常に重要なのです。

 

現在ではさまざまな会社からさまざまな枕が販売されており、科学的な根拠をもとに選ぶのも良いのですが、自分の感覚や心地よさを重視して選ぶのも一つの手となります。ぜひ、自分に合った枕を見つけて、熟睡できる毎日を過ごしていただければ幸いです。