拒食症や過食症は主にストレスなどの精神的な要因から引き起こる病気ですが、実はダイエットにも大きく関わっています。特に無理なダイエットの反動が誘引となり、多くの女性にとって非常に大きな問題となっているのです。

 

 

ダイエットの反動が引き起こす拒食症・過食症

 

拒食症・過食症といわれる摂食障害は、10代後半から20代前半の若い女性に圧倒的に多い病気です。ダイエットの反動で過食症になり、またやせようとして拒食になるというように、過食と拒食をくり返す人もかなりいます。

 

拒食症の典型的な症状は、文字通り、食べることを拒むこと。ダイエットをきっかけに始まるケースがほとんどですが、とにかく意志が強く、カロリーの高いものを絶対に食べようとしません。ダイエット食品ばかりを食事がわりにしている人もいます。

 

しかし、食欲は人間に備わった本能的なものであるため、完全に抑えることはできません。そのため、抑えようとすると、逆に“食”に執着し、飽きることなく厳密なカロリー計算をくり返したり、自分では食べないにも関わらず、料理に熱中する人もいます。

 

拒食症になると、極端に食物が食べられなくなることから生命にも関わりますので、入院しての治療が必要です。また拒食症の人は、どんなにやせていても、自分が病的にやせていること、それが病気であるということをなかなか認めない傾向があります。

 

 

悩むことによる悪循環

 

外来治療を訪れるのは、拒食症よりも過食症の人のほうが比較的多いのです。過食症の典型的な例は、コンビニで3000円分ぐらいのお菓子を買い込み、1~2時間で一気に食べ、その後トイレで吐くというパターン。当然、おいしいと感じたり、満腹感が味わえるはずもなく、すぐに後悔の念に襲われます。

 

食べ始めのときはほっとするのですが、途中から「どうして私はこんなに食べるのだろう」と落ち込み、泣きながら食べている人もみられます。その後で、口に指を突っ込んで吐いたり、下剤を常用するようになります。

 

やせたいのに食べてしまうという自己嫌悪、食べたものを吐くみじめさなどから、徐々に精神的にもうつ状態になってきます。このころになると、病気の自覚も生まれ、自ら病院に行くケースも多いのですが、治癒には年単位の時間を要します。

 

 

誘因となるのは心の問題

 

摂食障害を起こす誘因として、思春期には親と子の関係から自立して社会的な存在になる課題がありますが、それがうまくいかない、という心の問題があげられます。

 

拒食症・過食症を引き起こしやすいのは、小さい頃から親のいうことをよく聞き、いつも友だちのグチの聞き役、というタイプの人が多いようです。自分のなかにある怒りや不安を人に話したり、困ったときに相談にのってくれる友人をうまくつくれないために、ストレスをため込んでしまいます。そして吐き出す対象が食べ物に向いてしまうのです。

 

また「大人になりたくない」「女になりたくない」など、女性の体に成長していくことへの拒否感が摂食障害としてあらわれるという説もあります。

 

 

過食症・拒食症を治すためには

 

完治のためには、やはり専門医に相談することが大切。心理療法や薬物療法など、専門的な治療を気長に受けることで、かなりの改善が望めます。

 

具体的な治療法としては、医師やカウンセラーの前で、日常にある嫌なことやつらいことを話す練習をします。両親、とくにお母さんに聞き役をやってもらうことも効果的です。

 

子どもの頃からの対人パターンを変更する練習ですから、完治までには通常3~4年の長い年月を要します。過食症の人は食べることでストレスを発散しているので、その間も過食がすぐに止まることはありませんが、徐々に自分の言葉で語ることができるようになり、ストレスの解消法を身につければ自然に過食をすることもなくなり、その後ときどきの揺れ戻りがありながらも立ち直り、普通の生活を送ることができるようになります。

 

また、拒食症の人も精神的な要因が多いため、原因である精神的な要因を改善させていく必要があります。自力解決はやはり難しいので、出来るだけ早く医師に相談しましょう。

 

食事は健康において非常に大切なことです。完治まで時間がかかる場合もありますが、焦らずゆっくり、家族の手を借りて治していきましょう。

 

 

積極的にストレス発散を

 

イライラや不安があるときに、そのストレスを食べ物によって解消しようとすることは、決してめずらしいことではありません。「やけ食い」という言葉があるように、とくに女性では食べ物、ことに甘いものをとることによって心理的な安定を得ようとする傾向があります。

 

ですから、食べることでイライラが解消されて、気分がすっきりとするというのであれば、さして心配ありません。摂食障害(拒食・過食など)を過度に恐れる必要はありませんが、ささいなきっかけから発症することも事実です。

 

摂食障害への兆候としては、

  • 食べ物をおいしいと感じて食べることができなくなっている、
  • 食べることに罪悪感や不安定な感情が伴っている、
  • 体重、体型、食べ物へのとらわれや恐怖心がある、
  • 食行動が以前と大きく変化している、

 

などの点を目安にふりかえってみて、あてはまるようであれば要注意です。

 

満腹感や空腹感を感じられず、どういう食べ方をすればいいのかわからなくなることも多いので、わかりやすく「お腹で食べていますか、頭で食べていますか」という尋ね方をされることがあります。

 

前述の項目に当てはまるようであれば、なるべく早めに心療内科、精神科を受診するか、あるいはカウンセリングを受けることが大切です。摂食障害に限らず、病気や不調は早期に治療を始めたほうがよいことはいうまでもありません。

 

ストレス解消の方向を広げる

いっぽう、まだそれほどでもないけれども、どうしてもストレス解消が食べ物にしか向かない、という場合は、何か一つのことにとらわれやすい傾向があるのかもしれません。

 

ストレス解消が一つのことに集中しているのもよし悪しです。「ストレス解消」というと、たいていの人が「何かをする、趣味やスポーツに取り組む」ということを考えますが、積極的に動くことで解消される人もいれば、のんびり過ごしているなかで解消される人もいます。

 

大切なのは、生活にメリハリがあり、いろいろなことを見聞きすることです。そしてそのなかから自ずと自分にとって楽なもの、楽な時間がみつかればいうことはありません。自分自身の振幅の幅が広がれば広がるほど、一つのことへのとらわれは少なくなっていきます。

 

食べることは本能であると同時に楽しみの一つですから、食事がおいしいと思えるのであれば、それは量の多少にかかわらず健康な証拠です。しかし、逆にふり回されるようであれば、やはり早めの受診をおすすめします。