人によって一日に必要なカロリー摂取量は異なりますが、その必要量以上のカロリーを摂取することで燃焼が追い付かなくなり、脂肪がどんどんたまっていくようになります。要するに、必要以上に食べ過ぎてしまうことが原因となっているわけです。

 

今ではさまざまなダイエット法が考案されていますが、ほとんどの人がやる気はあっても長く続かないことでしょう。長く続かなければ当然、体重を落とすことはできません。

 

ダイエット法が間違っているということもありますが、最も大切なのは「継続」であり、それを成し遂げるためには気持ちに余裕を持つことが大切です。体重はすぐに落ちるものではありませんので、「一日少し」という考えで自分のペースでゆっくり続けていくことで、健康的に痩せることができます。

 

 

肥満は万病の元

 

肥満が万病の元であるということは多くの方がご存知のことと思います。どんな病気になりやすくなるかというと、

 

■動脈硬化

高血圧と同様に、全身の動脈硬化、つまり、血管の老化を進める事になり、将来的に、心筋梗塞や脳梗塞などの重篤な病気にかかりやすくなります。

 

■高血圧

高血圧だけでも全身の動脈硬化を進めるわけですから、肥満が加われば、鬼に金棒、じゃなくって、弱り目にたたり目といったところでしょうか。

 

■糖尿病

これも動脈硬化を進める恐い病気で、放置すると、失明したり、腎臓の働きが悪くなって人工透析が必要になったり、脚が壊死(血流障害で腐ってしまう事)を起こして切断しなければならなくなったりします。ただ、肥満によって糖尿病になっている人の多くは、体重を標準まで戻せば軽快するのですから、がんばって減量するべきでしょう。

 

■高脂血症

これもやはり動脈硬化の原因ですが、やはり、減量で低下する事が多いので、やるべきでしょう。

 

ざっと挙げてみましたが、肥満が万病の元であるという事がご理解いただけたかと思います。健康で長生きしたい方は、肥満を解消する必要があります。

 

でも、中には、「いや、私は、太く短く生きるんだ。好きなものを好きなだけ食べて人生を楽しんだのなら、たとえ早く死んだとしても本望と言うものだ。食べたいものも食べないで長生きしたって、死んでも浮かばれないって言うもんだ。」といった考えの方もいるかもしれません。

 

確かに、そういう生き方もあるでしょう。好きなものを好きなだけ食べて、肥満して、ポックリ死ねれば、メデタシメデタシでしょうし、更には、高額の生命保険に加入でもしていれば、残された家族も文句はないでしょう。ところが、世の中そう、うまいばかりにいくとは限りません。

 

肥満を続けていれば、当然ながら全身の動脈硬化、つまり血管の老化が進んでいるわけですから、上で述べたように様々な病気にかかりやすくなります。心筋梗塞で即死、大往生できればラッキーかもしれませんが、脳梗塞にでもなって半身不随で言葉もしゃべれない寝たきり老人になった場合、本人も大変ですが、重量級の寝たきり病人を介護するはめになった家族はさらに悲惨です。

 

美食を謳歌してきたつけが、人生後半の寝たきり生活で、家族のお荷物になってしまったのでは、それこそ不本意な最期ではないでしょうか。その辺も考慮なさり、肥満を改善するかしないかを選択されてはいかがかと思います。

 

 

肥満改善法

 

食事療法が体重を減量する上で一番重要な事であるという事は、どなたもご存知の事と思います。ところが、太った患者さんに、「どうすればやせられると思いますか?」と質問すると、大抵の場合、しばらく考え込んでから「やっぱり、運動でしょうねー。運動してないからなー。」という答えが返ってくるのです。

 

でも、運動で体脂肪を1%減らすには42.195kmのマラソンを2セット位、水泳なら約10時間、必要といわれており、運動だけで体重を減らす事など余程運動好きでなければ無理なのです。

 

また、ドーナツ半分が約100キロカロリーなのですが、運動で100キロカロリーを消費するには、縄跳びなら10−13分、ジョギングなら12−16分、サイクリングなら24−32分、ウオーキングなら27−36分、必要なのです。

 

この事から、ドーナツ半分の誘惑に勝てなかった方でも、食べた後で縄跳びを10分以上やれば体重は増加しないという結論にもなるわけです。でも、実際問題、あなたなら、縄跳びなどやる気になりますか?

 

体重の減量のために、「ちょっとした減食」と、「ちょっとした運動」のどちらが手軽かは皆さんのご判断にお任せするとしましょう。では、なぜ、先ほどの患者さんが、「食事の量を減らす事」を一番に挙げずに、「運動でしょうねー」と答えたのでしょうか。

 

人間は、食欲、性欲、睡眠欲など、ある種の快感をもたらしてくれる物は追い求めても、快感を伴わない物は追い求めないようにできています。従って、「スポーツ欲」などという言葉がないように、面白みのあるゲームとしての運動や、健康回復のため、記録更新のためなどという目的がある運動は別として、単純に疲労するだけの運動などやりたいなどとは思わないものです。

 

ですから、「どうすればやせられると思いますか?」という私の質問に対して、患者さんは、しばらくの間、心の中でこんな風に考えていたはずなのです。

 

『本当は、食事制限が一番重要なのだろうけど、これを一番に挙げてしまって「そのとーり!」なんて言われちゃったら、快感をもたらしてくれる食事を制限させられる羽目になってしまう。そんな、自分で墓穴を掘るような事はしたくない。うーん、困った。そうだ、運動だ!運動が減量に効果があるということもよく聞くから、あながち間違った答えでもないはずだ。

自分は、運動など好きなほうではないし、第一、毎日仕事でくたくたになっているんだから運動などやっている暇があったら休んでいたいというものだ。でも、もしかしたら、ちょっと運動するだけで、痩せられるのかもしれないから、好きな食べ物を減らさずに痩せられるのだったら、少しは運動するしかないかもしれないなー。第一、この医者が、「減量には運動が第一だ」とでも言ってくれれば、これからも食事量を減らさずに済むという物だ。』

 

と、その結果が、先ほどの「運動でしょうねー」という答えになった訳です。

 

このように、快感追求の本能に根ざした「食事」という物を減らすことに、人は非常な抵抗感を感じるのが普通なのです。確かに、食事量を減らさなくても、運動をしない人が運動を始めたり、普段から運動している人が、運動量を増やせば消費カロリーが増えますから体重は減るでしょう。

 

実行できればいいですよ。でも、多くのスポーツはお金と時間がかかりますし、ウオーキングの様に、タダではあっても、面白みのない運動を長続きさせることは難しいというのが実際ではないでしょうか。忙しくストレスの多い現代ですから、「運動する時間があったら寝ていたい」という方も少なくはないのではないかと思います。

 

しかも、先ほど申し上げたように、たとえ運動したとしても、体脂肪を速やかに減少させるには、相当な運動量が必要であり、消費エネルギーの少ないウオーキングに至っては、他の運動に比べて同じカロリーを消費するのにより多くの時間が必要なのです。

 

つまり、一番手っ取り早く、今日からすぐに、しかもいくら忙しい人でも毎日実行できるのが、食事による摂取カロリーを減らす事であるという事が、これまでの説明で納得いただけたのではないでしょうか。

 

で、なにも、絶食したり、食事を抜いたりする必要などないわけで、一番簡単なのは、朝昼晩三食の主食(ご飯、パン、そば等)をそれぞれ一口分だけ減らせばいいのです。肉、魚、野菜などのおかずは今まで通り、間食やアルコールなども今まで通りで構いません。

 

このくらいだったら、食事の楽しみを損ねる事なく実行できるのではないでしょうか。「千里の道も一歩から」少しづつではあっても確実に体重は減っていくと思います。ただ、せっかく一日三口分の主食を減らしても、「ちょっと口寂しいから、どれ、ドーナツをもう一個...」などという事では元の木阿弥というものですから、何度も申し上げますが、間食、アルコールなど、主食以外は今まで通りにして下さい。

 

もし、一口分減らしたご飯に慣れ、もっと速やかに減量したいとお思いになったのなら、そこから更に一口分を減らしてみてはいかがでしょうか。

 

 

なぜ中年太りになるのか

 

人間の体重は、食べ物、飲み物から取り入れたカロリー(摂取カロリー)と、自分で消費したカロリーのどちらが多いかによって決まってきます。摂取カロリーの方が多ければ、少しづつ体重は増えますし、消費カロリーの方が多ければ体重は減っていきます。

 

でも、若い時と比べて食べる量は変わっていない、つまり摂取カロリーは変わらないのに30代、40代と、歳を追うごとに体重が増えていく人が多いのはなぜでしょうか。

 

その理由は、簡単で、人間は、歳と共に消費カロリーが減るようにできているからなのです。一概に消費カロリーといっても、運動等で消費されるものだけではなく、「基礎代謝」といって、一日中寝たままで何もしなくても必ず消費されるカロリーも含まれます。

 

この、基礎代謝と、筋肉収縮、脳の活動等、日常生活のいろいろな活動で消費されるエネルギーとの合計が、一日の総消費カロリーになるわけです。で、この基礎代謝というものは、15才位をピークに、以後次第に低下していくのです。

 

例えば、一日2500キロカロリー必要とされる人を例にとると、20代では基礎代謝が1500キロカロリーにもなる、つまり、何もしなくても一日1500キロカロリーは消費されるのです。ところが、この基礎代謝が、30代だと1400キロカロリー、40代だと1300キロカロリーというように、年令と共に低下していくのです。

 

つまり、一日の総消費カロリーが、20代の頃2500キロカロリーであった人は、30代では2400キロカロリー、40代では2300キロカロリーに低下してしまうのです。消費カロリーが低下しているのに、摂取カロリーが同じまま、つまり20代と同じ量の食事をしていたらどうなるか。それは明白なことで、余ったカロリーが、体脂肪として蓄積されてしまうわけで、これが中年太りの主原因なのです。

 

更に、女性の場合には、年令と共に、女性ホルモンの低下等から食欲が増す為、体重増加も加速されるわけです。このように、中年以降に体重を増やさない為には、歳と共に食べる量を減らしていく必要があります。

 

どの位減らせばいいのかというと、自分の身長から出した標準体重(身長150cm以上の人の場合は、身長から100を引いたものに、0.9をかけたもの。例えば身長160cmの人なら、160から100を引いた60に0.9をかけた54kgということになります。

 

身長が150cm以下の人の標準体重は、身長から100を引くだけです。)や、体脂肪率を正常範囲に近づけるような量の食事量ということになります。

 

「前と同じ位しか飲み食いしていないのに、なぜかどんどん太ってきた」という方も、これでなぜそうなるのかわかっていただけたかと思います。理屈がわかったのですから、今までと同じ量の食事ではいけないという自覚もできたのではないでしょうか。今日からあなたも、主食を一日3口分減らしてみて下さい。

 

 

過食症の方へ

 

先ほど申し上げたように、食欲、睡眠欲、性欲等、人間は、快感を与えてくれるものを求めるようにできており、それによってストレスを発散するという側面もあるわけです。しかし、ストレスの発散法が、「食欲を満足させる快感」にほとんど集中してしまっているのが過食症の方でしょう。

 

こういった方は、「食欲を満足させる快感」だけに求めていた快感の種類を、他の種類の活動から得られる快感、例えば、趣味、スポーツ、旅行、テレビ、映画、ビデオ、読書、漫画、友人とのダベリ、ゲーム、種々の遊戯施設、その他いくらでもあるストレス解消法から得られる快感、充実感、達成感等に種類数を増やす事が大事です。

 

食欲を満足させる快感以外の物でもストレス解消をするようにし、ほとんど食べることだけがストレス解消法であるという間違った思いこみを少しずつ変えていくべきでしょう。そうする事によって、強大な食欲は少しづつ低下していき、減量も可能になるはずです。