女性の体は非常に繊細で、生理不順が起こる大きな原因となるのが「ホルモンバランスの乱れ」によるものです。ストレスや悩みを抱えていたり、食生活が不規則になっているとホルモンバランスが乱れて生理不順を引き起こしますが、ダイエットによる影響も非常に強く、特に体が未発達な10代の女性の多くが、ダイエットが原因で生理不順が引き起こされています。

 

では、なぜダイエットが原因で生理が遅れたり、生理こないという状態になってしまうのでしょうか。その最も大きな要因となるのが“急激な体の変化”であり、体が変化することでホルモンバランスが変化し、これに伴って生理不順が引き起こされるのです。

 

 

急激なダイエットによる弊害

 

体重が急激に減少することで、体にさまざまな悪影響を及ぼします。ダイエットを行う人のほとんどが「食事制限」をしていますが、短期間の極端な食事制限は「栄養不足」を引き起こしてしまいます。

 

栄養不足に陥ると、貧血や頭痛、下痢などの症状が現れ、いわゆる「体調不良」の状態になります。さらに、精神にも影響を与え、怒りやすくなったり気が沈みやすくなったりします。

 

女性のホルモンは、「エストロゲン」「プロゲステロン」と呼ばれるホルモンが関係しており、正常時には一定の量が分泌されますが、心身ともに衰弱している状態では、多くなったり少なくなったりと分泌量が不安定になってしまいます。

 

そうすると、排卵がされなくなったり、黄体を形成するのに時間がかかったりと生理のリズムが狂い、結果的に生理不順が引き起こされ、これが進行すると生理が長期間こないという状態に陥ってしまうのです。さらに、生理が来ないことで体調が悪化するという悪循環に陥ることもあります。

 

また、生理というのは子供を産むための非常に大切な体内運動ですが、生理不順になったり、長期間こないという状態になると、子供を産みにくい体、いわゆる「不妊」の状態になります。

 

若いうちは“不妊”と言われてもあまり実感はないでしょうが、子供を産みたい時に産めないという状況に苦しんでいる方はたくさんいらっしゃいます。また、不妊は簡単に治るものではなく、多くの時間と費用を必要とするため、女性としての機能を守るためにも、急激なダイエットはすべきではないのです。

 

 

若い女性ほど短期間に大きく体重を落としたがる

 

痩せている方が可愛い、スタイルが良いと綺麗にみえる、という考え方は昔からあるため、いつの時代も女性とダイエットには切っては切れない強い関係がありますが、昔よりも今の方がダイエット思考が強い傾向にあり、特に10代の若い女性に顕著にみられます。

 

インターネットが普及したことで、今ではさまざまなダイエット法を簡単に知ることができ、またSNSの普及により、ダイエットを実施している人の日常を簡単にみることができます。

 

さらに、多くの人がダイエットを行っていることで、“自分ももっと痩せたい”、“周りが痩せてるから自分が太ってみえる”など、ダイエットを「生活の一部」だと考える人や、ダイエットを「しなければいけない」状態にある人が増えています。

 

一般的に若ければ若いほど健康に対する意識も低くなりがちで、10代の若い女性は急激なダイエットに抵抗がないのも実情です。

 

 

生理不順を起こさない理想のダイエット法

 

このように、急激なダイエットは体に悪影響を与え、ホルモンバランスを乱すことで生理不順を引き起こしてしまいますが、なにもダイエットをすれば必ず生理不順が起こるというわけではありません。

 

生理不順の引き金となるのは“急激なダイエット”であり、いわゆる「極端な食事制限」にあります。また、適正体重を下回っている場合も“栄養不足”とみなされるため、食事制限だけに頼らずゆっくりダイエットする、適正体重の範囲に抑えることが理想です。

 

カロリーを抑えたバランスのよい食事を

10代~20代の女性の一日に必要なカロリーは「約1800~2200Kcal」です。もちろん、運動をしている人はこれよりも多くのカロリーが必要となります。ダイエットを行うにあたって食事制限が最も効果的ですが、一日に「1200Kcal」以上は必ず摂るようにしてください。

また、昨今では“○○ダイエット”というように、特定のものだけを食べるダイエット法が多く紹介されていますが、これだけでは必要な栄養素を確保することができません。野菜やお肉、果物などバランスよく食べることで、必要な栄養素をまんべんなく確保することができるため、カロリーを抑えても必ずバランスのよい食事を心がけてください。

 

一日3食、決まった時間に食べること

食事の時間がバラバラだと体内のリズムが崩れてしまいます。また、食事の回数を少なくすると、一度の消化に多くのエネルギーを費やすため、胃や腸に大きな負担がかかってしまいます。それゆえ、可能な限り決まった時間に食べるように心がけ、また食事の回数は朝・昼・晩の1日3回摂るようにしてください。

 

適正体重の範囲内に抑える

日本人の理想とされる体重は、「身長(m)×身長(m)×22」で求めることができます。たとえば身長155cmの場合、「1.55×1.55×22」で52.855kg(約53kg)となります。少し重すぎると感じるかもしれませんが、これが栄養面を考えた上での理想体重です。

この体重から±5㎏が許容範囲で、身長155cmの人であれば、48kg~58kgが標準体重で、48kg以下なら低体重(痩せ過ぎ)、58kg以上なら肥満(太り過ぎ)と診断されます。身長155cmであれば48kgを下回らないように注意してください。

 

適度な運動で体脂肪を減らすこと

とはいっても、もっと痩せたいという人も多いはずです。しかし、ほとんどの人は体重を落としたいというより、“細い体になりたい”と思っているのではないでしょうか。実際、体重が減っても見た目が変わらないことが多く、その原因が「筋力の低下」「体脂肪」によるものですので、細くみえるようにするには、ある程度の筋力を維持しながら体脂肪を減らすことが最適です。

そうするためには、適度に運動することが最も効果的です。また、適度に運動することで新陳代謝が高まり、太りにくい体になる、痩せやすい体になるなど、リバウンドを防ぐことができます。

運動系の部活に入っている人なら、一日に必要な運動量はこなせているので問題はありませんが、日常的に運動していない人は毎日30分程度のウォーキングをすることを強くお勧めします。ただ歩くだけではなく、姿勢を正して少し速めに歩くことで、筋力の増強や有酸素運動による体脂肪の減少に効果がありますので、ダイエットを意識したウォーキングを行うことが大切です。

 

 

理想のダイエットは1か月で現体重の5%

 

1週間で3kg痩せたい、1か月で10kg痩せたい、という気持ちは分かりますが、上述のように急激なダイエットは体に大きな負担がかかり、時には重い生理不順を引き起こしてしまいます。

 

そのため、ダイエットを行う時は長期的な目でみて、今の体重が60kgなら1か月で3kg、55kgなら1か月で2.75kg、50kgなら1か月2.5kgというように、「1か月あたり現在の体重の5%減」を目標にしてください。

 

これよりも速いペースで体重を落とすと「極端なダイエット」となり、体に大きな負担をかけてしまいます。極端なダイエットは生理不順の引き金となりますので、1か月あたり現在の体重の5%減を目標にダイエットを行うようにしてください。

 

 

ダイエットだけではない!生理不順を引き起こすさまざま原因

 

ここまで述べたように、ダイエットと生理不順は非常に強く関係しています。しかし、生理不順を引き起こす原因はダイエットだけでなく、さまざまな病気が影響していることもあります。もちろん、極端なダイエットで体に負担がかかり、それが原因となって病気が引き起こされることもあります。

 

これらの病気の多くは、20代後半以降から徐々に発症率が高まりますが、10代の若い女性でも起こるものですので、“ダイエット=生理不順”と独断しないようにしてください。

 

①卵巣機能不全

何らかの影響で、卵巣の働きが十分でない病気がこれに当たり、不正出血がみられることもあります。ストレスや乱れた食生活、運動不足、痩せ・肥満などが原因に挙げられ、多くの場合、ストレスを取り除いたり乱れた生活を正すことで改善されます。

 

②多のう胞性卵巣

卵巣の中に複数の卵胞(卵子の元)ができて、排卵が起こりにくくなる病気です。多のう胞性卵巣の原因は未だハッキリしていませんが、心身の変化によりLH(黄体化ホルモン)とFSH(卵胞刺激ホルモン)と呼ばれる2つのホルモンの分泌量のバランスが乱れることが主な原因とされています。

生理不順だけでなく無月経や、経血(生理の血)が多くなるなどの症状がみられ、多のう胞性卵巣の治療は主に排卵を促す、排卵誘発剤を用いて改善を図ります。

 

③卵巣のう腫

卵巣の中に良性の腫瘍ができる病気です。腫瘍が小さいうちは、生理不順の程度は小さく気づきにくいため注意が必要な病気です。

腫瘍が大きくなると、生理不順の程度が大きくなり、場合にはよっては激しい生理痛・腹痛の症状がみられます。卵巣のう腫の治療は、ピルや黄体ホルモン剤の投与、または手術による摘出(取り除く)を必要とします

 

④子宮筋腫

子宮の筋肉や粘膜の下に良性のコブができる病気で、大小にかかわらず女性の4人に1人が子宮筋腫を持っています。激しい生理痛、経血(生理の血)量の増加、地の塊が混じるなどの症状がみられれば子宮筋腫の可能性があります。

良性であるため特に心配する必要はありませんが、ひどい貧血を起こし生活に支障をきたすことがあるため、治療を行うことが勧められています。筋腫が小さければ薬を用いて改善を図りますが、大きければ(約5cm以上)であれば摘出手術を行います。

 

⑤子宮内膜症

子供のベッドとなる子宮内膜が子宮の内部ではなく、他の場所にできる病気が子宮内膜症です。多くはホルモンの影響でさまざまな場所に子宮内膜が形成されます。

生理痛、腰痛、下腹部痛、排便痛、性交痛など、痛みが症状として表れるため、生活に支障をきたす場合には治療することをお勧めします。子宮内膜症の治療は、痛みに対して鎮痛剤、病気に対してピルを用いて改善を図ります。

 

⑥子宮内膜ポリープ

子宮の内膜にポリープと呼ばれる腫瘍がある病気です。生理と関係の深いエストロゲンと呼ばれるホルモンが過剰に分泌されることで腫瘍が形成され、症状は程度の低い生理不順のみと発見の難しい病気です。子宮内膜ポリープの治療には摘出手術が行われます。

 

⑦子宮頸管ポリープ

子宮の入り口のあたる子宮頸管と呼ばれる部分に腫瘍ができる病気です。多くは、生理不順と不正出血の症状がみられ、痛みは伴いません。

主に細菌による炎症やホルモンバランスの乱れが原因とされていますが、未だ完全な原因は解明されていません。子宮頸管ポリープの治療には摘出手術が行われます。

 

⑧悪性腫瘍(がん)

子宮がん、子宮頸がん、卵巣がんなど、生理と関係の深い臓器に悪性の腫瘍(がん)がある場合にも生理不順または無月経が引き起こされます。

また、不正出血やおりものの量の増加・悪臭など、さまざまな症状がみられます。早期の場合であれば、摘出手術や放射線療法で治療を行い100%治すことができます。

 

生理不順が続いている場合で、経血(生理の血)が多くなった、生理痛がひどくなった、おりものが変(色や固形物など)、不正出血がみられる場合は、いずれかの病気を発症している可能性があります。

 

 

ダイエット中なら一度見直してみよう

 

生理不順を引き起こす原因はさまざまありますが、ダイエットと同時に生理不順が起こったという場合には、ダイエットが原因と考えてよいでしょう。

 

適切な方法でダイエットをしていれば生理不順は起きませんので、「極端なダイエット」が原因です。バランスのよい食事が摂れているか、適正体重の範囲内に抑えているか、急激に体重を落としていないか、などを一度見直し、改善の余地があれば改善に向けて取り組んでください。

 

また、生理不順がずっと続いている場合には、何かしらの病気が原因となっていることもありますので、一度病院へ受診することをお勧めします。

 

生理というのは女性にとって非常に大切なものであるとともに、「健康のバロメーター」でもあります。生理不順の時には、体は正常な状態ではありませんので、軽く考えず、改善に向けて取り組むようにしてください。