いまや、国民の9人に1人が関わっている可能性があるといわれる糖尿病。病気そのものより合併症が恐れられているのが、大きな特徴です。それだけに、いったん発症すると長期にわたる治療が必要ですが、正しくコントロールすれば、普通に生活することもできるのです。

 

糖尿病の治療においていちばん大切なのは食事療法で、その次が運動療法です。もちろん毎日の生活のなかで実践していくことが基本ですから、その必要性と実際をしっかりと身につける必要があります。(関連:糖尿病の治療(食事・運動・薬物療法)と治療薬の種類について

 

また、糖尿病とはどういう病気か、合併症にはどのようなものがあり、いつ必要で、どんな副作用があるのか等々正確にしっかり理解することが糖尿病のコントロールにつながります。そこで多くの病院で実施しているのが「糖尿病教育入院」です。入院期間は約2週間。その間に糖尿病についての正しい知識を身につけていただくことができるというものです。

 

 

糖尿病とは

 

人体はエネルギー源としてブドウ糖を利用しています。インスリンは、ブドウ糖が実際に使われる細胞のなかに取り込まれる時やエネルギーとして利用される時に必要となるホルモンですが、このインスリンの働きが落ちて慢性的に血液中のブドウ糖濃度が高くなる病気が糖尿病です。

 

血液中のブドウ糖濃度が高くなり、170mg/dlを超えると尿中にあふれ出てくるようになります。この尿に糖がまじることをさして糖尿病と呼ぶようになったのです。インスリンはまた、たんぱく質の同化や脂質同化にも必要かつ不可欠ですので、糖尿病になるとたんぱく質や脂質代謝にも著しい障害をきたします。

 

糖尿病が恐ろしい理由

血糖(血液中のブドウ糖値)が少々高くなっても、少しのどが渇きやすくなったり疲れやすくなるだけで、痛くもかゆくもありません。しかし、これが5年10年と長く続くと、網膜症、腎症、神経症等の糖尿病に特徴的な合併症が出てきます。ちなみに、現在失明のいちばんの原因は糖尿病で、人工透析のいちばんの原因も糖尿病になりつつあります。それだけでなく、糖尿病になると脳卒中や心筋梗塞を起こす危険性が2、3倍増えるといわれています。

 

 

糖尿病の教育入院について

 

多くの病院では糖尿病を正しく理解してもらうために、糖尿病教育入院をされた方を対象に、2週間1コースのセミナーを下記の日程で糖尿病スタッフを中心に行っています。

 

<第1週>

 
午前中自己血糖測定

マスター負荷心電図

マスター負荷心電図

心臓血管外来受診

運動療法の実際運動療法の実際

 

理学療法の実際
13:30外泊に向けての説明

運動療法開始にあたっての説明

蓄尿・自己尿糖測定法
自己血糖測定法

食事の基本的な考え方と基礎栄養の話食品交換表の使い方や人工甘味料・油の使い方食事療法について合併症について外泊(土~日)
食事献立表記入
14:30
15:30
マスター負荷心電図糖尿病とは糖尿病と薬1日の献立の立て方

献立表の記入の仕方

 マスター負荷心電図

 

<第2週>

 
午前中運動療法の実際運動療法の実際運動療法の実際

運動負荷前後の自己血糖測定

運動療法の実際

前日と同時刻の自己血糖測定

退院指導
13:30糖尿病の諸検査(1)糖尿病の諸検査(2)外食料理について

食事療法の実際

運動療法について昼食会・食事の質疑
14:30
15:30
糖尿病における眼の合併症体調不良時の対処法(シックデイ)

 

 

信頼に応えるきめ細かな指導

 

以上のようにこの「糖尿病教育入院」では、糖尿病専門病棟に入院し、糖尿病専門医師、眼科医師、看護師、栄養士、薬剤師、検査技師、理学療法士等により糖尿病に関する講義を受けながら、食事療法や運動療法の実際を体験します。1回の定員は、6名程度。きめ細かくゆき届いた指導で、参加された方々からもご好評をいただいています。

 

長期化が辛い糖尿病ですが、自分なりの管理が習慣化すれば、毎日もより快適になります。ここでご紹介した「糖尿病教育入院」は、正しい糖尿病とのつきあい方を身につけるのに最適です。ご希望の方は、最寄りの病院の病診連携室もしくは内科外来にお問い合わせください。