現代社会にはいたるところに「冷え」が潜んでいます。この「冷え」がいつしか体のなかに溜まり、自分が冷えていることを自覚しはじめたら、もうあなたは立派な「冷え症」。

 

一刻も早く、さまざまな心身の不調を生み出す「冷え」をなくし、身体の芯からの健康を目指しましょう。

 

 

思い込みの冷え症ってあるの?

 

本人は足が冷たいと訴えているのに、他人が触ってみると、そんなに冷たくはない、ということがあります。反対に本人はむしろ熱いくらいに感じているのに、本当は冷えきっている状態のこともあります。

 

もともと西洋医学には「冷え」という概念がないので、自覚症状と検査的な見解との間に違いがあると、「思い違い」「そう感じるだけ」……挙げ句の果てには「自律神経失調症」といった病名でごまかされてしまいがち。

 

実際には冷たくないのに、本人が冷たいといって大騒ぎするような冷え症を「思い込み冷え症」などといわれ、まるでうそをついているみたいに思われがち。

 

しかし、これを漢方的にいえば「真寒仮熱」といって、身体の芯は冷えているのに身体の表面は温かい、という状態です。体の芯や足のなかが冷えていて、それに対する反応でその部分を温めようと、血液を送り込もうとして熱を発散しているのです。

 

これは、「冷え」に対する体の防御作用が働いている結果です。しかし、それでもなお「冷え」をため込むような原因を重ねると、ついには防御作用も働かなくなり、「思い込み冷え症」の状態をとおり越して、ついには「ホンモノの冷え症」になってしまいます。

 

 

冷え性は病気の1つ

 

人間の身体は、寒いと感じると体内の温度を下げないように反応します。これは体内の熱を逃がさないようにする生体反応で、身体のなかの外気に近い末梢部分の血管を収縮させて、温かい血液を流れにくくさせることにより、体温の保持につとめる仕組み。そうなると、心臓からもっとも遠くにある足や手などがまず冷たくなります。

 

手や足が寒いと感じると、多くの人は自然に手足を動かしたり、こすり合わせたりした温かくなるような動作を行います。寒いときに震えるのも、その振動によって細胞をこすり合わせ、熱を発するための自然の反応です。それによって、健康な人の場合には血液循環をよくし、冷えも感じなくなります。

 

ところが、冷え症の人は、いったん寒さに反応して血液を流れにくくさせてしまうと、回復するのが鈍く、うまく対応できません。もともと体内温度も低いことが多く、外気温がある程度の高さにならないと、血管の収縮が元に戻らず、足や手のほうへ血液が流れていきません。

 

そのため、冬のように外気温が低いときには慢性的に「冷え」が蓄積されてしまいます。こうして慢性的な「冷え」が原因となって症状を現すことになると「冷え症」が成立。血液循環が悪いことから、いわゆる不定愁訴のような多種多様な症状をしめします。

 

 

冷え性は遺伝的要素の強い病気

 

「冷え症」は遺伝的要素の強い疾患です。もともと生まれもって「冷えやすい」という体質の人がいます。そういう人の場合には、より冷えやすく、強い冷え症に悩まされがちです。

 

しかし、健康で冷えないように生まれた人でも、冷蔵庫の普及によって子どものころから、毎日、冷えた牛乳やジュースを飲み、冷たい果物を食べていると、次第に冷えを蓄積させることになります。

 

また、毎日のように生野菜サラダを食べる食習慣も、体を冷やす原因。トマトやきゅうりなどの夏野菜は、暑いときに体温を調整するための食品。

 

それを冬にまでふんだんに食べれば、当然、体温を低下させることになります。体温が下がると新陳代謝が低下し、身体のなかでエネルギーが作られにくくなります。

 

また、現代生活の冷暖房も問題。クーラーの冷気は下のほうに溜まるので、上半身と下半身を比べると、下半身のほうがずっと温度が低くなっています。暖房でも、その熱気は室内の上のほうにたまりますから、上半身と下半身の温度差が生じます。

 

この温度差から、下半身の血管は収縮し、体温を一定に保とうとするため、下半身には「冷え」の状態がおこります。また足のほうの温度を低くしていますから、エアコンを使用した快適な部屋にいると、足は常に「冷え」を強いられることになります。

 

そこにプラス、服装も下半身が冷えやすい格好ばかり。女性は上半身は毛皮を着て、下はストッキングにミニスカートという人がたくさんいます。男性にしても真冬と真夏とで上着は変わっても足元は何ら変わらない格好をしています。

 

こうして、男性女性ともに足に血流が行かなくなり、いつも腰から下が「冷え」のなかに浸かった状態。現代という時代は、衣食住すべてが「冷え」を増長させる生活様式になっているのです。

 

 

冷え性になってしまったら・・・

 

冷え症になってしまったら、その「冷え」を取り除くべく、生活のいろいろな場面で注意しなければなりません。

 

まず、衣類では、靴下を重ねる、レッグウォーマーをはく、などによって下半身をしっかりガード。上半身の重ね着分、下半身も重ね着をしてください。上半身が3枚重ね着しているならば、下半身も3枚の重ね着をすることです。足の裏に使い捨てカイロを貼るという方法も効果的です。

 

食事では冷蔵庫で冷やしたものをむやみに食べない、飲まないようにすることが第一。住環境では、エアコンはできるだけ使わないようにし、冬ならば、暖房は床暖房がベスト。できる範囲で衣食住の改善をしましょう。

 

また、早寝早起きが理想。1年をとおして夜は気温が下がりますから、夜更かしをすればするほど身体を冷やしてしまいます。運動も「冷え」に効果的です。歩くだけで十分。歩いて足を動かすだけ血液循環をよくし、足の裏のツボ刺激にもなります。

 

「冷え」を貯めないためには、その日の「冷え」はその日のうちに取り除きましょう。もっとも効果的なのが半身浴です。40度くらいのお湯に心臓をつけないように浸かり、上半身がうっすらと汗ばんできたら、全身を湯につけるようにします。シャワーを浴びるだけでは決して「冷え」はとれません。

 

 

まとめ

 

今や女性だけでなく、男性の冷え性も増えてきており、ここ数十年で急速に発展した便利な世の中が冷え性を作り出す原因にもなっています。

 

冷え性も改善させるためには、生活の見直しが大切。運動不足の人は運動を取り入れ、睡眠や食生活が偏っている方はそれを改善すれば、辛い冷え性が緩和され、冷え性に悩まない生活を手に入れることができるので、積極的に生活の改善を図っていってくださいね。