ふとした時に起こってしまう”やけど”。ひどいやけどの場合には、皮膚がただれて痕が残ってしまうことがありますが、近年では医療技術の進歩により、ひどいやけど痕でも移植によって元に近い状態に戻すことができます。

 

ただし、やけどの程度は素人には分からないもの。それに移植によってどこまで復元できるかも分かりませんので、まずは整形外科へ受診してください。

 

 

深いやけどは専門医に受診を

 

やけど(熱傷)は、皮膚組織の損傷される深さによってI度・II度・III度にわけられますが、深さによって応急処置も異なります。

 

I度はごく浅い日焼け程度のやけどで、治療の必要はありません。

 

II度熱傷は水ぶくれができた状態で傷の深さにより、「浅いII度」と「深いII度」に分けられます。

 

皮膚全層にわたり死んだ状態になったやけどをIII度熱傷といいます。

 

II度熱傷では、水ぶくれを破かないように水道の流水などで15〜20分間冷やします。II度熱傷でも小範囲の浅いII度ならば、救急箱にある軟膏などで処置すれば2週間以内でほとんど治ります。

 

「深いII度」やIII度では、やけどの範囲にかかわらず専門の医師への受診をすすめます。深いII度以上では、傷あとが残り、いわゆるケロイド状の瘢痕(はんこん)(肥厚性瘢痕−ひこうせいはんこん)になりやすいからです。

 

やけどの深さは、受傷した時点でほぼ決まってしまいます。

 

炊飯器やポットの水蒸気は高温であるため、乳幼児のやけどでは、「深いII度」ないしIII度の熱傷となることがほとんどです。

 

とくに幼小児の場合、「深いII度」ないしIII度熱傷ではやけどの治ったあと、ほとんどが盛り上がった赤い傷あと、すなわち肥厚性瘢痕となります。

 

肥厚性瘢痕が関節付近にある場合には、その後次第にひきつれ(瘢痕拘縮)をおこすことが多々あります。

 

 

植皮もしくは皮弁手術で治る

 

指間が水かき状になったときでもごく軽度ならば、保存的治療で治ります。しかし、ほとんどの場合は手術が必要です。

 

手術内容は瘢痕による拘縮を除去し、正常の皮膚の足りない部分を植皮または皮弁移植することにより治療します。

 

幼小児では、麻酔は自ずと全身麻酔となり、入院期間は約1週間から10日間です。治療には健康保険が適用されます。

 

植皮の場合、皮膚は多くはそけい部(脚のつけ根)より採取しますが、その部位は縫縮されますので、採皮部の醜形はほとんどありません。

 

移植した皮膚は約2週間〜3週間の安静療法を行い、皮膚の完全な生着をみた段階からリハビリをスタートします。

 

しかし、幼小児では、リハビリの必要性はほとんどありません。手を使い遊び始めれば、それが自ずとリハビリテーションにつながるからです。

 

 

少しでも早い対処が大切

 

傷の程度にかかわらず、なるべく早く受診して、専門の医師と治療方針を相談すべきです。

 

手指の水かき状のひきつれは、そのまま放置すると成長期にあたる子どもですから、関節の変形、骨発育の障害などを合併しがちです。やけどあとの問題については、形成外科のある病院への受診をすすめます。

 

ひきつれを起こしている場合には、多くが手術を受けることになりますが、ひきつれがない場合でも形成外科での保存的治療でよりきれいに治ります。

 

たとえば、「浅いII度」の場合、軟膏で治療すれば2週間前後で治っていくことが多いですが、その後紫外線を防止することで傷あとのしみ(色素沈着)を回避することができます。

 

「深いII度」やIII度の熱傷では、2〜3ヵ月すると多くの場合、皮膚が赤黒く盛り上がって、ケロイド状の肥厚性瘢痕が次第にあらわれます。その際、かゆみや不快感が伴います。

 

これらも前もって専門医の診察を受け、スポンジなどを用いた圧迫療法を行うことで肥厚化はかなり抑えられ、ひきつれなどがおきても最小限で済みます。

 

これらの保存療法にはこのほか内服療法やステロイドの局所注射などを併せて行い、かなりよく治るようになってきています。

 

やけどの治療にはインフォームド.コンセント(十分な説明と同意)が重要です。形成外科専門医に受診して、どのような変化が次の時期におきるのかを前もって知り、適切な治療法を必要に応じて積極的に受けることが大事です。